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「お姫様は悪い奴らを国から追い出し、国に平和を齎して女王となりました。めでたしめでたし……で終わらないのが現実の厳しさってやつだな。本当に」
「現実は子供向けのお伽噺じゃないから」
「夢も希望もないですねぇ」
北方二国の侵攻を打ち砕き、交渉もまとめてきたコースケ。
成功なのは間違いないけれど「やりすぎた感が強くはあるな」なんて言葉がシルフィから出てくる通り、派手にやったのも間違いはなくて。
普段は慎重に行動しようとするのに、いざ実行する段階では躊躇しない思い切りの良さはコースケの美点ではありますけどね。
王国を運営するにおいては、ただ勝ち続けるだけでもいけなくて。足元を固めていく作業も必要で……悪役倒して全部解決! といかないのが現実の世知辛さ。
さて、順調に拡大中のコースケのハーレム。正妻がシルフィで、コースケは王配という立場を得ているわけですが。エルフと人間と言う種族の差はいかんともしがたく。
聖女エレンがシルフィ達に先駆けて妊娠が発覚することに。
グランデも肉食な部分はあるけれど、元々竜だったからかたまに抑えに回ってくれるらしくて、そこはちょっと意外なような。コースケ第一な彼女だから、言われてみれば納得できるような。
そんな折に聖王国から講和の使者が訪れることになって。
徹底抗戦して領地を切り取ったところで治めるのは難しいから、お互いに思う所はあれど講和は成立するだろう状況。
そうやって時間を稼ぎつつ、裏ではコースケの排除を試みたりもするだろう、と帝国の大使は指摘して。
コースケは聖王国との会談には参加せず、実質軟禁状態に置かれることに。シルフィ達とイチャイチャしたり、実はハーピィ達のところで生まれていた自分の子供と交流をしたり。空いた時間で色々と研究を始めたりと、相変わらず自由に過ごしていますが。
……こうやって色々試行錯誤出来る時のコースケの方が危ないんだよなぁ。何しでかすか分からないので。
魔法の知識をアイラやイフリータから教わって。彼女達があまり詳しくないアドル教の聖堂についての情報をエレンからもらって。そういう橋渡しができるのもお相手が多く、この世界の柵の薄いコースケならではですかね。
日々の生活に困窮してる人々への支援を冒険者ギルド伝いにやる施策の提案をしたり。
在野の有望な人材を登用する目的を抱えて、開拓村を作るという名目で各地を回ることにして。
母や姉を毒牙にかけていってるコースケに感謝しつつも複雑な気持ちを抱いているアクアウィルとも交流したり、相変わらず色々やってましたねぇ。……アクアウィルも、感謝の気持ちもあるわけですから、絆されれば割と一瞬な気はしますが。