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「楽しめ?」

「ああ。勇者の卵ってことにとらわれ過ぎてちゃあだめだ。悲壮な顔してる奴とか、余裕のない表情の奴とかに助けてもらったとしたら、助けられた奴はありがとう、よりも申し訳ないって思いそうだろ。だからイセリア自身、人生を楽しめ」

 

BOOK☆WALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで4月30日まで。
弟妹を養うため冒険者となり、引退した今はギルドの職員として働いている主人公のアレン。

ギルドの仕事として、モンスターを生み出すダンジョンを適正に管理しなければならないというものがあって。

アレンは、スライムしか出てこないため魅力に乏しく、誰も入らないようなダンジョンからスライムが溢れないように狩る日々を過ごしていた。

 

そんなある日、ダンジョン構造が変化する十年に一度あるかないかというレアイベントに遭遇。

ダンジョンの調査を行ったところ、踏むとレベルが1上がるがステータス上昇量が最低値になってしまうレベルアップの罠と、踏むとレベルが下がってしまう罠の2種類を発見。

罠の検証を始めたアレンは、レベルアップ時のステータス上昇量についてある仮説を立てて……それを自分で実行することに。

一般的な人間はレベル五百が上限とのことですが、せっかくだからレベル1から500まで最大効率で育て上げよう、と考えて成し遂げたのはお見事。

 

それからアレンはギルド職員として働きつつ、休日にネラという偽名でダンジョンに挑む2重生活を送っていくことになります。

ステータス上げすぎて逆にコントロールが大変そうでしたけど、冒険者時代には踏み込めなかった領域を楽々超えていくのはテンポよくて良かった。

偽名での活動がバレないように仮面をつけたローブ姿で活動し、言葉を発さず筆談するネラは不審極まりないですけどね……。

 

ダンジョンでイセリアという少女を救って連れ帰ってきた時も、怪しまれて武器向けられたりしてますしね……。

後日イセリアと再会し、彼女を捨て置けずに協力することにしたり。ギルド職員としても活動してるから、不人気依頼の解消のため顔を出したりと、お人よしなんですよねアレン。慕っている人が多いのも頷ける。

そうやって、少し騒がしくも穏やかな仮面生活が続くのかと思っていたら、ドラゴンが住んでるようなダンジョンでスタンピードの兆候があって、慌ただしくなるんだから儘なりません。

アレンは自身の決断によって立場が少し変わることになってましたが、後悔しない選択をしてたからヨシ。……なんか色々火種はありそうですけどね……。