「俺……あいつに勝ちてえ」
(略)
「凡人の俺の拳が、あの天才様の拳にどれだけ通用するか……一拳闘家として試した見たくなった。……な? 身の程知らずだろ?」
短編3つに中編1つ。
特に中編の「Lost Last word」は表紙からもわかる通り、グレンとセラが死別することになるエピソードの詳細を描いてるわけで……痛かったですねぇ。
展開を知っているからこそ、なお。この直前、状況が整っていたのにグレンは相性最悪の敵とぶつかり、2人を死なせてしまう経験をしていて。
それで限界が来て辞めようとした彼を、セラがつなぎとめてくれた。あるいは、惰性であったとしてももう少し正義の味方であれたかもしれない。
そんな希望を打ち下くジャティスは本当に最悪ですね……。しかし厄介な存在だとはわかっていても、彼による被害が甚大すぎて頭痛い。
特務分室所属のメンバーもかなり削られているのがつらい。ここで人材削られたのが後々に響いてそう。あと、しれっと設定描かれていたジャネットさんかなり気になる設定なのに死亡してて悲しい。
短編はいつも通りの軽いノリが多めで、本編もシリアス中心なので息抜きになってよかった。いつも通りセリカに振り回される「セリカの南海大冒険」に、矜持はあっても金がない世知辛いイヴの生活を描く「家なき魔術師」。
駆けに負けて今月ピンチだから、といつも通りの理由でグレンが拳闘大会に出場したら、才能ある若者と出会い……真剣にぶつかり合うことになったのは熱かった。
いや、ロクデなしな部分も多いけど教育者としての顔もしっかりあるんですよねぇ、グレンって感じのエピソードで好きです。