「済まない、白野君」
(略)
「君を関わらせないわけには、いかなくなってしまったみたいだ」
久しぶりに再読。
様々な怪奇現象の裏側には、神様が見た悪夢の欠片が存在している。
それは泡のように漂っていて、時に人の意識の中に浮上して来る。そうすると、悪夢は形を成した災いとして、被害をもたらす。
一般市民はそんな事は知らず普通に暮らしていますが、事情を知っている人々は騎士団という互助組織を作った。
泡の影響を受けた人間にはその欠片――『断章』が残る事があり、トラウマのフラッシュバックによって現実世界にも影響を及ぼしてしまう。
いうなれば爆弾のようなものだから、リスクをゼロにはできないけれど制御する方法を学んだ方が安全でもある。だから、互助会なんですね。
浸食がすすみすぎて「異端」と呼ばれる領域まで行くと、殺すしかなくなると言いますし踏みとどまるための組織だと言う事です。
主人公の白野蒼衣は、そんな泡や騎士団のことなんて何も知らない学生だったはずが……ある時、泡禍に巻き込まれて。
そこで蒼衣もまだ断章を保有している事が明らかになり、今彼の済んでいる街で起きている事件にも影響を及ぼすことが分かった。
だから騎士として活動している少女、時槻雪乃と一緒に行動する時間を増やし、異変の全容解明に奔走する、とそんなお話です。
泡禍の中にはその災害を、童話をモチーフとした形で発現することがあるそうで……1巻はサブタイトルにある通り、灰かぶりの物語です。
どうやって事件を童話であるかのように解釈するか、語り合っているシーンとかが結構好きですね。
泡禍の活動しているシーン、断章を扱うシーンはどうしたって痛々しくなりますが。
1巻なのでまだまだ軽いジャブみたいなものです。この恐怖を楽しめる方は、是非続きを読んでいってほしいですね。
ちなみに1巻2006年発売ですって。時代を感じるわ……。今ならもう全巻BOOK☆WALKERで読めますよ……。