「でしたら、この僕が、あなたの敵です」
再読ついでに記事作成。
初版2008年ですって。もう12年前か……信じられないくらい時の流れが早い。
確か去年あたりに電子書籍化されたとかの情報を見て、読み直したいなぁと思ってたんです。時間が取れたので、紙の本引っ張り出してきました。
七つの大罪を具現する〈獣〉、ベスティアと呼ばれる化生が存在する世界。
人々は信仰を武器に戦っていた。もっとも、〈獣〉には喪神現象という精神汚染を引き起こす現象があって、人類一丸となって協力するという訳にもいかず。
2年前に聖都が堕ちたこともあって、かなりジリ貧な環境に想えます。
久瀬イザヤは、その戦いの最前線。〈獣〉と戦うために作られた街にやって来た。
それは本人が望んだわけではなく、追いやられた状況で、手を取るしかない悪魔のような取引の末でしたが。
聖都で英雄と慕われていた、亡き兄の代わりをしてほしい。
双子の弟がゆえに、外見は問題なく。記憶喪失という体裁で、過去の話は乗り切る。
報酬が約束されているからとはいえ、四か月の準備期間で神父の真似事が出来るくらい知識を叩き込んだイザヤ自身も結構能力高いですよね……
実戦を経験していない彼は、窮地で内心ぶつくさ言ってましたけど。
それでも。追い込まれた状況で、逃げを選ばなかった彼の選択を尊びたい。
仮面神父と、彼の剣として戦う人形のような少女のやり取りも楽しい作品。なにかと胡散くさいカルロの事も好きですけどね。