「他の人間は知らないけれど、僕には僕の矜持がある。それは時に悪魔のような考えかも知れないし、天使のような考えかもしれないけど、根幹があるから、そう簡単には揺らがないよ」
アークレイという世界。
ここには寄り添うように悪魔たちの住む地界、天使たちの住む天界と言う世界があって。
かつて力ある悪魔たちによって、アークレイは制圧されかけて。
人間たちの四つの国、エルフやフェアリィ、ドワーフといった亜種族の奮闘もあって、悪魔たちは退けられたものの……
世界を騒がせていた元凶の悪魔が消え、それに対処するためにやってきていた亜種族・幻獣も彼らの世界に戻り、今度は、人と人の争いが発生してしまった。
最後には、争いにつかれた民衆たちによって、王が殺され国が崩壊したというんだから、本当に何をやっているのか、という感じですが。
その名残で、今も国家という大規模な集団は形成されず、村落・街単位で細々と生き延びているようです。
もう何百年かしたら、この歴史を忘れた人々が集って国家が形成された気もしますがね。
こんな世界でも、定住せず旅に生きる人は一定数居て。
そうした人々を呼び込むことで、村や町はどうにか収入を得て生き延びている。
人を呼ぶためには何か目玉が必要だ、ということで「世界遺産」なるものが各地で認定されているようで。
よくもまぁ、戦乱の中で壊れなかったな……
主人公のデュートは、「世界遺産保護機構」に所属して、各地を巡り世界遺産の状態を確認したりしています。本人が旅と世界遺産をこよなく愛しているので天職でしょうね……
その中で、彼は既にこの世界からいなくなったはずの天使と悪魔と遭遇し。
それぞれと縁を結ぶ事となっていましたが。そもそもの話彼自身にも秘密がありそうですし、彼らの旅路がどうなっていくのかは気になるところです。
全体的にあっさりしていて、かなり読みやすかったので、次回に期待。