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「ああ、あの子は天才だ。親の贔屓目じゃないぞ。本当に天才なんだよ」
主人公のトーマは転生者。
異世界の神様ティライアがバス事故で亡くなった人たちを纏めて異世界に引き込んだようですが……トーマは実はまだ生きていた。
死んだ人間だけ連れて行く約束だったのに、生きてるトーマを連れてきてしまった失敗を隠すため、時間の流れが違う空間に廃棄されてしまって。
そこで別の神様と出会い、転生させてもらうことになったわけです。
『名を奪われ、忘れ去られた者』だという神様は、力も弱まっており……トーマを転生させることは出来るけど、過酷な環境になるぞと断りを入れてくれてるだけティライアより断然マシでしたね……。
その言葉通り、トーマは生まれてからしばらくは苦労することになります。
彼は奴隷として扱われていた母アリューシャに、貴族のジジイが戯れで手を出した結果生まれた子で。
しばらくは認知もされていなかったけれど、存在が発覚した際に、一応は屋敷の離れに迎えられたわけです。
とは言え、同じように複数の女性に手を出すクズで、その血を引いた本家の孫息子もトーマ相手に暴力振るって楽しむクズだったわけですが。
赤子に母乳をあげられないほどやせ細ったアリューシャの事を思えば、まだ生活できてるだけ良くはなってる。下の下と下の中を比べるの、虚しいですけどね……。
そんなある日、母を妾としているジジイが彼女を手放すことを決めたと聞いて。
自分の寄り子である別の貴族家に下げ渡すって言う、モノのような扱いをされているのには思う所ありますが。ただ放り出されて、生まれた直後の状況を思えば、行く先面倒見てくれてるところだけは、良かった。
彼女を妻として迎えることになるロブ・アシュード・ロックスフォール騎士爵はトーマのことも、アリューシャの事も尊重してくれる良い人で。
前世でも親に恵まれなかったトーマは、厳しい環境でも愛情を注ぎ続けてくれたアリューシャを、彼女を大切にしてくれるロブを父と慕うようになっていって。
恩返しをしたいと『名を奪われ、忘れ去られた』神様から与えられた力で新しいお酒作って贈ったり、色々工夫しているのは良かったですね。
新たな特産になって他の貴族家と交流する武器になったり、そこから新たな発見があったりと。良い方向に発展していけたら良いですね。