気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

依空まつり

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごとⅧ

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「わたしに何ができるかは、分かりません……けど」

(略)

「あの頃のわたしより、できることがあると、思うんです」

 

かつて謀略によって冤罪を着せられたモニカの父は、なぜ殺されたのか。

第二王子フェリクスは、後ろ盾である公爵に反発する素振りが見え隠れしていたいけれど、その真意とは。

そういった、様々な真相が明らかになる第8巻。

 

クロックフォード公爵、自分の目的の為は過去にどれだけの貢献があろうと、不要となった駒を切り捨てることを厭わない。

様々な便宜を図ってきたが、違法薬物を国内に持ち込んでいたラビアナ司教。

紐付きとして押し込んだものの、反逆の意志を見せたエマニュエル。

そして……かなり慎重に守り続けて来たフェリクスの秘密も、相手から噛みついてきたならば、排除する。

派閥の大きさなども併せて、クロックフォード公爵のヤバさというのは語られてきましたが、なるほど分かりやすい実例を見せられたものだな、と思いました。

 

モニカの方は、帝国側の間者と接触してとある交渉をしていましたが。

……予想外の相手が乗り込んできていたり、驚かされる場面も。それでもなお、切れる札が限られている中で、条件をもぎ取ったのはお見事。

作家としての顔を持つポーター、モニカを引き取ったヒルダ。モニカの父、ヴェネディクト・レインの死の真相を薄々察知しながらも敵の強大さゆえに何もできないで居た人々。

そんな彼らとの会話や、残してくれたものを使って道をつくろうとしているの、良いですよねぇ。

 

モニカもフェリクスも、目的のために何かを犠牲にできると思っていた。

けれど、これまでの交流を経て相手の事を知った上で、自分が思った通りの行動をとれないことに迷いもするようになって。

ここまでの積み重ねがあるからこそ、モニカや彼が思い悩むのもまぁ分かるんですよね。モニカの方に、特に感情移入しちゃうので、アイザック本当にもう……って気分にもなりますが。

フェリクスの欺瞞が、クロックフォード公爵によって暴かれ、地位を脅かされたとき。

モニカがこれまで隠していた自分の秘密を、他の人々に明かすことにしたの、WEBで読んだときもかなり感動しましたけど、良いシーンですよねぇ。

コミカライズで制服の上にローブを羽織っているイラストを見たから、そこから描写を膨らませた、とあとがきに書いてあって挿絵も含めて読み直しに行っちゃいました。二度美味しい。

サイレント・ウィッチanother 結界の魔術師の成り上がり・下

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「ライオネル、私は優先順位を間違えたりはしないのですよ」

(略)

「人の婚約者に手を出したならず者を、粛清するのが最優先です」

 

卒業して魔法兵団の第三部隊隊長になったルイス。

とある水害の際に奮闘し、「結界の魔術師」の肩書と魔法兵団団長への就任を果たして。

彼のほれ込んだ相手、ロザリーの父は現役七賢人「治水の魔術師」であり……娘を奪おうとしたルイスと対峙した際に、「知性と品性があり、王都に家を持ち、七賢人になれるくらいの男でないと認めん!」と言われたため、その条件を満たすためにルイスは奮闘。

 

ロザリーを待たせたくないと実績を挙げ続けており、学生時代から第一王子ライオネルと親しくしている彼は、第一王子派と目されていて。

そのために第二王子を擁立しているクロックフォード公爵は、彼が七賢人選抜に入りそうな時に潰したことすらあったとか。

その時は、ルイスと同じくラザフォードの下で学んだ「星槍の魔女」カーラが辞める際の枠を埋めるためのものだったそうですが。

 

そんな折、ルイスとロザリーの仲を阻んでいた張本人である治水の魔術師が引退を考えるという話が出て。ルイスの推薦と同時に、ロザリーとの婚約を認めるということにまでなって。

ルイスの努力が実を結びそうだったのは、まぁ良かったですね。ただ、治水の魔術師殿が寄った勢いで執事にロザリーとルイスの文通を妨害していたのもあったり、ルイスが惚気を控えていたこともあって、その婚約が「ルイスが七賢人になるためのもの」という誤解が広まって、ちょっとしたトラブルになったりもしてましたが。

……それもあって、今のルイスはモニカの前とかで頻繁に惚気てるのかなぁ、と思うなどしました。本編1巻で「帰宅した夫にキスぐらいあっても良いのでは」とか割と言葉にしてましたからね。

 

その騒動の中で、グレンを弟子に迎え入れたり、学生時代から何かとぶつかっていたアドルフが対立候補に挙がってきたりもして。

七賢人選抜にモニカも登場していましたが……ルイス達を前に、「私が開始を遅らせないと勝っちゃう」と言えて、実際に勝利を収めてるのトンデモない才能ですよね……。遠隔術式発動するときの挿絵はかなり迫力ありました。

ルイスとロザリーはすれ違いがありつつも、最後には幸せそうで良かったですねぇ。まぁ本編で結婚してるので確定事項ではありましたが。エピローグ、ルイスの故郷に訪問するのが、なんかすごい好きです。

サイレント・ウィッチanother 結界の魔術師の成り上がり・上

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「おい、クソガキ。入学するまでに、友人作っとけよ」

(略)

「でないと、お前は必ず行き詰まるぜ」

 

サイレント・ウィッチシリーズの番外編。

サブタイトルにある「結界の魔術師」ルイスについてのエピソードです。

本編主人公である沈黙の魔女モニカの同期であるルイスですが。実力もあり、妻帯しており、人見知りが過ぎるモニカに比べて交友範囲も広い。まぁ、割と豪快な部分もありつつも、貴族然とした振る舞いも習得している。愉快なキャラだったわけですけども。

 

元は北方にある娼館で、雑用をしていた少年だった、と。

たまたま宿代わりに宿泊した魔術師が落とした魔術書を拾い、それを読んで指導もなしに魔術を習得。

その後、その魔術師……ラザフォードに見つかって指導を受けることになったわけですが、1週間で初級教本の魔術全てを習得したとかで、ルイスもなんだかんだ天才ですよね……。

 

貴族が幅を利かせているミネルヴァに進学して、見下してくる相手に対抗するためにひとまず暴力という力を見せつけて、自分のスタンスをアピール。

それは最初に暴れることで、ちょっかい出そうとしてくる奴を減らそう、という彼なりの理屈があった行動でしたが。入寮初日に2度も指導を受けるのは、ある意味凄い。

天性の才覚はあっても、基礎学習が足りていなかったり、やりすぎたりする部分もあるわけですけど。荒っぽい彼と付き合ってくれる、心の広い人々も居て。

それどころか、無茶している彼のフォローとかもしてくれたりしていた、と。ラザフォードが「周りの人間の厚意に、無頓着すぎる」と問題点に気づいて、荒くれ坊主に合った向き合い方と指導をしてくれたの良かったですね。

ルイスも学園で運命の出会いをして、そのために自分を変えようとしてたり、思った以上に熱い男だなーという感じ。

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女のかくしごと2

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「…動くお金がびっくりするほど大きいのにびっくりするほど管理が杜撰でびっくりしました」

 

人ごみを避けていたら、護衛対象の王子と鉢合わせて。

さらにそのタイミングで鉢植えが落ちてくるちうトラブルまで発生してしまって……そのことで事件の共犯なのではないか、と疑われたモニカは犯人探しの役割を振られることに。

慣れない場所で困惑しつつも、得意の計算で犯人探しは爆速で解決してるのスペックの高さが伺えるエピソードで良かったですね。

肉球ぷにぷにでセラピーしてるモニカとネロの構図、可愛くて好き。

 

自分が犯人を暴いたことで、極刑になる可能性にゾクッってなってたモニカでしたが……そのあと、問題のある会計報告書を見て間違いを指摘。

チェックを王子に依頼されたことで、自分の好きなものに触れられるとウキウキし始めてるの、分かりやすいよなぁ……。

小リスとか小動物に例えられるのも正直良くわかる。

 

数字への才覚を見出され、不正によって飛ばされた前任者の代わりに会計を任されることになったモニカ。

護衛任務的にはありがたい配置ですけれど、対人コミュニケーション能力が低いモニカ的にはハードルがどんどんあがっていますね。

就任を決められたときに衝撃が大きすぎて倒れたのも無理ないね……。

 


サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと1

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「あとな 無駄を楽しむのがいいんだ」

『人生は無駄だらけだならばその無駄を大いに楽しもうではないか』

「ってダスティン・ギュンターも小説に書いてたぞ」

 

コミカライズ作品。

過去二回だけ現れた黒竜という大災害。過去に会では街が複数消え、王国は半壊状態になったとされているとか。

……これ振り返ってみると、複数の街が消える災害が2回もあって、その間に他の竜による災害も起きていただろうに、よくもまぁ王国存続してるなって、別のところに感心してしまった。

 

今回黒竜が現れたケルベック伯爵領のウォーガン山脈。

ケルベック伯爵家、そんな災害を前にしても兵士を連れて戦いに赴く当主と、屋敷に留まり続けて民よりも先に逃げることをしなかったお嬢様たちとで、覚悟が決まっていて良いですよね。

そんな絶望的な状況を救ってくれたのが、王国の誇る魔術師集団「七賢人」の一人である、沈黙の魔女モニカ・エヴァレットだった。

 

人の身でありながら唯一詠唱せずに魔法を使える、無詠唱魔法の使い手でありスペックは飛びぬけているんですが……。

その実態は、数字には強いけれど対人能力は低い引きこもり少女であった。

そんな彼女に同僚の七賢人、結界の魔術師ルイス・ミラーが学園に潜入して王子を護衛する、という任務の協力を半ば強制的に強いてくることになって。

 

第一王派のルイスに第二王子の護衛を任せた。そのためにつくった魔法具が不自然な形で壊れた、などなど。不審な点が多いため、「人見知りであからさまに不審な少女なんて護衛にしないだろう」という裏をかいた作戦ではあったようですが。

説得力を増すために、モニカによって救われたケルベック伯爵家の協力を取り付けていたりするあたり、仕事は早いですよねルイス……あくどいけど。

悪役令嬢ごっこを楽しんでるイザベラ、実に楽しそうで良かった。

サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと7 小冊子付特装版

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「唯一無二の武器があれば、絶対に勝てるというものでもないでしょう。結果的に、勝てば良いのですよ、勝てば」

(略)

「だが、天才が有能とは限らない。一緒に仕事をするなら、無能な天才より、有能な凡人の方が良いに決まっている」

 

クロックフォード公爵とズブズブの七賢人、宝石の魔術師エマニュエル。

しかし彼は、今回の偽王の笛に関する一件を公爵には伝えていなかった。それは、修理できるかも不明だし、途中で報告を挙げたら取り上げられることは必至だったから。

さらには他の七賢人への嫉妬などもあり、彼は他に負けない唯一無二の輝きを求めたのだ。

実際、精霊を原動力にした鎧だとか、特殊な結界を展開する魔道具だとか、かなりの成果を上げていたので、その点では執念が実を結んだようですけども。

 

彼の前任が、身内の不祥事で辞めざるを得なかった星槍の魔女カーラだったというのも、良くなかったかもですねぇ。今回ついに星槍がお披露目されていましたが、あんな輝きと比べられたら、そりゃ影の一つも落ちるでしょう。

まぁ同情できるかと言ったら、まったくそんなことはないですけどね。だから、ルイスがバッサリと言葉で切り捨ててくれたのは痛快でした。

 

モニカがオドオドしながらも、七賢人だから、としっかり行動しているの良いですねぇ。ルイスやブラッドフォードと合流した後、打ち合わせをせずとも各々が為すべきことを為して連携しているのとかその実力を感じさせてくれるエピソードで好きです。

……ルイスが魔力温存のために、途中まで物理で障害排除してたのも、あまりにもあんまりで笑っちゃった。それで対処できるのは武闘派すぎでしょ。

 

加筆エピソードで七賢人たちの個性が見えたの、凄い楽しかったですね。

砲弾の魔術師が使う六重強化術式が、精霊王召喚によって借りた力をそういった形で出力してるのには驚きましたし。

モニカが無詠唱で四重強化までは使えるけど、そのためには彼女の美的感覚では「美しくない」分割という工程を挟まなくてはならず、進んで使いたくはないのとか。尖った個性を持ちすぎなんだよな……誰も彼もが。

 

公爵相手に明かせない秘密を抱えたエマニュエルに、とある人物が接触していたり。

ブリジットが「モニカ・ノートン」の生まれに疑念を抱き、接触してきて。「左手を怪我した女性」の噂を流して、モニカの隠したいことに協力する代わりに、こちらにも手を貸せと脅迫を交えつつ協力することになって。

薔薇の魔女との伝手もあって、公爵邸に侵入して情報を得られたのは良かったですけども。星詠みの魔女が「いよいよ動き出すのね」とこぼしていたりするし、情報が揃いつつある中で、近く事態が動きそうな予感はありますねぇ……。

 

特装版小冊子はキャラのアイコンに台詞が載っている会話劇というか、チャットスタイルというかの短めのエピソードを複数収録した形のもの。

公式アカウント初出の「突風注意」とか「自己紹介」なども収録しつつ、半分以上は書き下ろし。七賢人のエピソードとか笑えるものが多くて良かった。

サイレント・ウィッチⅥ 沈黙の魔女の隠しごと

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「わたしが、あなたに望むものは何もありません」

 

ケルベック伯爵家が、本当に全面的にモニカの味方してくれてるのが分かるプロローグが結構好きですね。

他所の家の間諜が、モニカについて探りを入れようと領内に入ったりも増えてきたみたいですが。それを察知した領民たちからの報告を受けて、「それっぽい状況」を見せつけることで、誤魔化すことに成功していたのはお見事でした。

「いじめられる演技をする少女」を領内から雇い入れて、演技中以外は福利厚生をしっかり整えているの、こだわりを感じてなんか笑っちゃった。

 

モニカが成し遂げた魔術奉納、評判なのは良かったですけど……それを成し遂げた後、注目を集めすぎて失神してしまうのは実にモニカでしたねぇ……学院に通って、大分緩和されてきていたとは思ったんですが。

呪竜騒動について深淵の呪術師レイと話していたのを、七賢人の一人である茨の魔女ラウルに知られてしまって。七賢人の若手で奇妙な協力関係が築かれたのは面白かったですね。

七賢人としての活動中に、シリル副会長に会ってしまったり。怪しんでいるクロックフォード公爵と話をする機会があったり、城に行った分のイベントは発生していましたが。次への伏線になるネタが多かったですかね。

 

休み明けのセレンディア学園。

モニカと悪縁のある二代目ミネルヴァの悪童ディーや、チェス大会で興味を持ったロベルトが転校してきたり、政治的な問題から第三王子までやってくることになったり。

グレンもディーと悪縁があって、魔術の勉強に打ち込んだりしてましたが……。

無詠唱で魔術を使う沈黙の魔女モニカが、「あれは早く発動できるだけで、言うほど大したものじゃない」と割り切ってるの凄いですねぇ。

実際、無詠唱は彼女の武器の一つでありますが、以前ルイスの結界を解析したように魔術への深い理解と見抜く力がモニカの本当の武器みたいな感じがありますし。

 

好き放題暴れるディーが、モニカに気付いて目を付けたことで決闘騒ぎにまで発展。

モニカは実力隠しているので、義憤に駆られたシリルたちが戦うことになったわけですけど。

好き勝手振舞うだけの実力がディーにはあって……モニカがバレないように介入して叩きのめしてるのはスカッとしました。

そして書籍書下ろしのエピソードが差し込まれてて、ズブズブの第二王子派の七賢人宝玉の魔術師が暗躍していた問題に巻き込まれていくことになって。

モニカが敵の使った精霊を捕らえた兵器に即座に対応したのは、彼女の凄さを感じて好き。

 

あとはモニカに雇われたバルトロメウスが「ガキは大人を頼っていい」と言ってたのは良かったですねぇ。複数の七賢人が動く事態になっていたのは、ちょっとワクワクしましたが……決着は次回に持ち越しになったので、早く続き読みたいですね。

あとがきによれば7巻は次の冬頃になって、その前に上下巻でルイス主人公の番外編が出るみたいですが。

6巻(実質上巻)→番外編上巻って刊行順になるの、もどかしいな……。

サイレント・ウィッチⅤ 沈黙の魔女の隠しごと

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「……その目に焼きつけてください」

(略)

「貴方の呪いが、もたらしたものを」

 

学院も冬休みに突入し、予定ではモニカはイザベル達と一緒にケルベックへと帰郷するつもりだったようですが。

星詠みの魔女がこの冬に竜害が起きると予言したため、沈黙の魔女であるモニカは戦力として数えられるだろうから、残ることとなった。

……そこまでは彼女達の予想通りだったわけですけど、予定外なのは時を同じくして行われる第二王子と隣国との外交における護衛を任されることになってしまったこと。

 

万が一にもセレンディア学院の生徒会会計モニカ・ノートンが、沈黙の魔女モニカ・エヴァレットと同一人物だと見抜かれるわけにはいかない。

そうでなくても第二王子は隠れ沈黙の魔女ファンであるため、接触には注意が必要。

さらに当初の予定ではルイスが同行してフォローするつもりだったそうですが、防御能力にたけた彼を王都から離すのを渋られたせいで、代理として彼の弟子であるグレンがやってくることになったんですから、悪いことは重なってます。

 

モニカにとってなかなかハードルの高い任務になってしまいましたが、顔を隠した上で、人型になったネロを従者として扱い会話を任せることで、綱渡り状態の日々を過ごすことに。

そんな中で異常な竜の襲撃を受ける羽目になるんだから、災難というほかないですけど。

竜に起きている異変を察知し、その場で不完全ながら対策の術式を組めるあたり天才ですよね、本当。

 

今回の一件でネロの正体が明らかになったりしてましたが、対人関係はさっぱりでも強いモニカらしさを感じましたねぇ。

暗躍している公爵の操り人形で終わるつもりがない第二王子だったり、モニカを怪しんで調査を入れているブリジット嬢だったり、気になる動きはまだまだ多い状況で。

モニカが父の死にも隠された事情があると知り、これからの彼女がどう動くのかも見逃せません。

サイレント・ウィッチⅣ-after- 沈黙の魔女の事件簿

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「これは、わたしがちょっとだけ強くなれる、おまじないなの」

 

メインストーリーを勧めたいけど、日常のエピソードも大事にしたいという想いから書き下ろされる事となった、4巻と5巻の間を主に描く巻ですね。

プロローグは、モニカがまだ引き籠りしていた時代にルイスに引っ張り出されて、魔導書の封印作業の手伝いをさせられる、というエピソードなんですけど。

なんで(実質)4.5巻でこの時間軸の話するんだろうと思っていたら、しっかり他の話に絡む要素盛り込んであって、構成上手いなーと思いました。

 

ここでルイスから「幸運のお守りの作り方」とか「青いインクで恋文を書くと両思いになれる」みたいな魔術的根拠のない「おまじない」について話を聞くんですが。

魔術と数学ばかりで世界を作っているモニカにはよく理解できず、「一生無縁のものなんだろうな」と思っていたんですよね。

でも学園に進学した後、多くの人と触れ合う中で彼女の情緒も育っていって、おまじないに少しだけ理解を示すようになっていくのが、胸が温かくなる感じで良かった。

 

フェリクスが沈黙の魔女大好きなのは描かれてましたが。

沈黙の魔女の論文載ってる本を読みたいけど、記録が残る形では難しい。だから不良仲間なモニカに協力してもらって、立ち読みしてみようと思い立つのは面白かった。ちゃんとオチもついたし。

グレンにかけられた冤罪を晴らすためにシリルが奮闘したり、モニカとチェスで接点のある音楽家ベンジャミンのスランプに振り回されるエリオットの姿とか、普段とはちょっと違う雰囲気が見られたのも面白かった。

後は、イザベルがノリノリで悪役令嬢やったりもしてますけど、一方でしっかりと貴族としての顔を見せてくるのも好きだなぁ。今回も楽しかったです。

サイレント・ウィッチⅣ 沈黙の魔女の隠しごと

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「もし事情を話せないのでしたら、それでも構いません。わたくし達にできることはありませんか、お姉様? どんなに些細な悩みでも、どんなに大きな困難でも……わたくし達は貴女の力になりたいのです」

 

学園祭の準備に生徒会会計として奔走したモニカ。

まだまだ未熟な部分もありますけど、彼女の成長が実感できる場面が多くていいですよね。学園祭が始まった後にも、自分の苦手な仕事にも挑もうとしてますし。

七賢人としての任務は忘れてないし、侵入者の察知なんかも見事にしてのけますけど……これまで引き籠っていたのもあって、ここで培った縁を手放し難く思っているのが弱点になってしまった。

今回はそこを突かれたのが痛かったですけど……序盤の、壊れかけてしまっていた頃のエピソードを思えば、今の心揺れるモニカの方が断然いいですよね。

 

学園祭当日、七賢人の一人である深淵の呪術師レイ・オルブライトが登場。

この国唯一の呪術士の家系オルブライト家の当主だそうですが。またしても個性的なキャラが出てきたなぁ……。

ネロに「七賢人って、人格破綻者集団なんだな」としみじみと呟かれてましたけど、あまり否定できない……!

WEBとは登場タイミングが変わってましたが、その分彼の良いところとかも見ることが出来てとても楽しめました。

 

あとは、かつてモニカの友人であったバーニー。

彼がどうしてチェス大会に参加していたのかとか、どんな想いを抱えていたのかが明かされましたが。「対等なライバルになりたかった」という想いをもっと早く打ち明けられていれば、何か変わっただろうか。……当時のモニカ、今よりも対人コミュニケーション能力低いから、結末は変わらなかったかもなぁ。

過去のバーニーの行いはアレですけど、変わった距離を受け入れた2人の関係は結構好きなんですよね。

 

この後の5巻は冬休み編となるそうですが……学園祭後~冬休み前のエピソードを描いた書き下ろしとなる4巻アフターが刊行決定したそうで、しかも10月発売予定と結構早めのスケジュール組まれてるみたいで、楽しみですねー。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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