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「それでいいんだよ。これは――私と藍坂くんだけの秘密だから」

 

優等生として知られている少女、間宮優。

主人公の藍坂は、彼女が煽情的な画像を取りSNSに投稿する「裏アカ女子」として活動しているのを、たまたま知ってしまって。

秘密を知られた間宮は当然口封じを図るわけですが……困惑してる藍坂の手を、自らの胸に運んでそれを写真に撮るっていう手法は、ちょっと体を張りすぎだと思う。

お互いにばらされると困る弱みを得た状態で、間宮の裏アカ用撮影に藍坂が付き合わされたり、その縁から普段の生活でも交流が増えてきたりする、不思議な距離感のラブコメ。

 

藍坂は、中学時代に女子の「嘘告白」のターゲットになって揶揄われたことから、女性不審気味になっていて。

間宮の方も、両親が離婚し父に引き取られたものの、父は出張が多く家に寄り付かず……娘から「出張先で新しい女の人を捕まえてるのかも」なんて思われてるくらい付き合いが希薄みたいですが。……これで良く親権取れたな。女親の方がよほど問題抱えてたとかだろうか。

互いに過去の経験から心に傷を負った2人が、事故のような始まりだったとはいえ、少しずつ心を近付けていけたのは良かったです。

 

藍坂くんが特にトラウマが根深く、秘密の共有者が出来て少し素を出せるようになった間宮の笑顔に痛みを覚えてたりするのを見ると、初手脅しからスタートしてる関係なのもあって印象が良くないというか。すぐに間宮も気付いて、顧みてるので嫌いとまでは言いませんが。

 

そうやって付かず離れず微妙な距離感の2人を読者として楽しんでいたら、藍坂くんの親友枠の男子ナツが2人がそろって出かけてるの目撃して揶揄ってくるし。藍坂の過去を知った上で揶揄ってくるのは苦手な反応でしたね……。

藍坂君も調子のいい言動に関しては思う所あるようでしたけど、自分から過去の事打ち明けて変わらず接してくれる、得難い友人だとも思ってるのがせめてもの救いか。

 

まぁそんな感じてちょっと合わない描写もあったんですが、歪な始まりをした2人がそれぞれの傷を打ち明けあって、少し前に進めた感じの展開になるので、総合的には良いラブコメだったとは思います。