気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

兎月山羊

終わらない夏を終わらせる五つの方法

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「……いちばん大切な、もの」

「そう。それは僕から君に渡したものじゃない。君の中に元々あったもの、全ての人間の内側に秘められているものだ。――だからこそ、学ぶのでも倣うのでもなく、ただ気付いて欲しかった。僕の中にも、君の中にも、それは等しく最初から在るのだと」

 

今は亡き電撃文庫MAGAZINEという雑誌の、20139月号の付録。

実に9年以上積読の山に埋まってたやつをようやく読みました。

日輪市にある神社の裏手には5輪の向日葵が咲き、それを見守る夏の魔術師を名乗る女性がいて。

そしてなぜか、日輪市では去年の夏以来季節が変わらずずっと夏のまま時間が流れていた。

「やり残した想い」を胸に秘めた5人が、魔術師と出会った上でそれぞれの縁を頼りに、後悔を乗り越えていくアンソロジー。

 

蝉川タカマル『エキストライニング』

主人公の清春は、元野球部。

いや一応籍は残っているはずですけど、ある理由から練習に参加するのを辞めて、実家の料理屋の手伝いに打ち込んでいた。

そんな彼を心配する幼馴染や、引き戻そうとする現役の主将などがいて。それでも彼は足踏みを続けていた。彼の後悔を拭えるただ一人が、焚き付けに来てくれたのは良かった。

 

兎月山羊『ガール・アンド・マーダー』

長く殺し屋として活動していた青年が、ある日ミスを犯した。

それは1人の少女に目撃されてしまい……殺したい人がいた少女を弟子として迎え入れることになって。

体格が小さい少女が「殺し」を成し遂げるには障害が多い。意外と人間は即死しないし、反撃を受けたときが大変だからと言っていましたが……少女は相打ちだろうと目的を果たせればよかった。

そんな少女の在り方を見た殺し屋の決断は勝手で……だからこそ、嫌いになれない。

 

茜屋まつり『たんたん・たぬこ』

釣り糸に絡まって鳴いていたタヌキっぽい生きものと出会い、助けた少年。

その直後に「夏の魔術師」とも遭遇するんだから、引きが強いというか。意味深なことを言う魔術師に妙な縛りを課され、さらにはたぬこという謎の女性に付きまとわれ。

トラウマの克服をすることになるわけですが。しっかり過去に傷があって辛い。でも大切なものは間違えなかったので偉い。

 

サイトーマサト『非行計画』

家出した少年ユウトが最初に出会ったのは、夏の魔術師だった。

東京から日輪市へ引っ越してきた両親のもとに生まれたユウトは、幼かったので東京の記憶はほぼないようでしたが。進路面談で東京に行きたいと言ったら反対されて。

それで親に反発して家出したらしいし。夢があって東京に行きたいわけじゃなくて、夢を作りに行きたがってるわけですから、若いなぁというか。

まぁでも家出を通して少し成長できたのは、彼の青春の記憶として残るでしょうね。

 

宇野朴人『アトラスの夢』

ダイダラ岩、あるいはアトラス・ロック。

日輪市にある絶壁の名であり……多くのクライマーたちが命を落とした、危険な場所。

主人公の小倉実樹を登山の道に引き込んだ、山音先輩もまたアトラス・ロックで散った一人だった。

そのことがずっと彼の心に影を落としていて……夏の魔術師に焚きつけられた彼は、自分の実力よりも難易度の高いアトラス・ロックへ挑戦をすることに。

危険な場所故に許可が必要なんですが魔術師が魔術師らしく能力使ってごまかしてたのがなんか笑えた。収録作品の中では一番好きでした。


ザ・ブレイカー 黒き天才、その名は

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「愛とは、自分を滅ぼす力を相手に与えた上で、それでも滅ぼされないと信じること」
(略)
「私達はね。生きているだけで色んなものを与えられるわ。家族や友達。仕事や責任。社会での役割よ。そうして一度でも得たものを手放すというのは、とても難しいことなの。けれど、たとえ得たもの全てを失ってでも、それでも守りたいと思うものがある。自分の身を滅ぼしてでも、優しくしたい人がいるの」


ラノベっぽくはないと思いましたが、そこそこ読める。
メディアワークス文庫あたりから出てもおかしくないんじゃないのかなぁ。
犯罪者に占拠された学校。
犯人は、「重犯罪特殊刑務所に収監されている少年を交渉役として連れてくること」を要求して。
その一方で、人質となった学内の生徒には「私が誰なのか」当てろと言い放つ。

学校には爆弾が仕掛けられ、警察も思うように行動できず、捕まった生徒たちの間には警察への不信が広がる。
交渉役として連れてこられた少年も、まぁ、犯罪者なんだから信用してもらえるはずもなく。
敵の計画が周到で後手後手に回っているなぁ、という感じ。
けれど、対応が遅れようと情報が少なかろうと、全く気にせず、断片をつなぎ合わせて真相を導いたカナタの頭脳は恐ろしいなぁ、というか。
普通だったらわからんだろう、という感じですけど。

しかしまぁ、この作品に出てきた母親は愛が深いというか。
カナタたちの母。あるいは、カナタが出会った宗像サナエ。
この二人は、良い親だったんだと思います。
一方で、組織ぐるみの行動に関与している権力者なんかもいるわけで。
いつの世も人の欲望は醜いというかなんというか。

異能バトルというよりは頭脳バトルになるんだろうか。
超先端科学はぶっ飛びすぎててアレですけど。
続きが出たら買うかなーって感じです。

ザ・ブレイカー 黒き天才、その名は (電撃文庫)
兎月山羊
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-05-10

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ちゃか

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