「で、どうかな。とりあえず英雄とかなんとかは、ほんと勘弁してほしいんだけど。いけそう?」
(略)
「「「「「うん、無理!」」」」」
シリーズ完結巻。
暴走を見事乗り切ったリエンツの街。それ自体はめでたいことではあるんですが……その中でも目覚ましい活躍をしたジンは、これまで以上の注目を集めることになります。
実際、解決後しばらくしてから情報を探る動きが出始めたみたいですしねぇ。
一介の冒険者でありたいジンからすると、腹を探られたりお抱えにならないかと勧誘合戦が始まるのは避けたいわけで。
渦中であるリエンツを一時的には慣れて、その間に神殿などに後ろ盾になってもらったりして、立ち位置を定める必要が出てきたとか。
まぁせっかくリエンツを出るなら、それに合わせて結婚することになる3人の家族に挨拶していこう、と今回の騒動の中でも良い点を見つけてるのは偉い。
ジンは元老人ということもあって、軸がぶれないのが好感が持てますねぇ。
……そうやって足を運んだエルザの実家であるジャルダ村で、ジンとは異なる世界からやってきた異邦人との出会いを迎えることになるんだから、縁は不思議なものですね……というか。
翻訳機能持ちのジンがいたことで、無為な争いが生じずに情報交換ができたのはありがたかったですね。
交流の後に王都に足を運んだところ、この世界の成り立ちについて少し情報が出てきたりして面白かったです。
最終巻でいきなり新キャラ、というか新種族出てきたのにはビビりましたが。
ジンの後ろ盾問題、最終的には王家の方にまで話が言ってましたが。
英雄と呼ばれておかしくないジンに報いようとしたら、伯爵位を授けても痛くはない。けれど、冒険者でありたいジンは貴族としての義務を果たせない。それなのに、貴族として優遇される権利をもらうわけにはいかない、とジンの生真面目な部分が受け入れてもらえたのは良かった。王様は王様でしっかり強かでしたしね。
そして終盤、ついに待ち望んだ結婚式が行われることになって。
多くの人に祝われて幸せそうなのが良かったですね。最後に、未来のエピソードが少しだけ挿入されていたのも嬉しかった。良いシリーズでした。