気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

冒険者酒場の料理人

冒険者酒場の料理人2

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「俺はこれで料理を作ろう。最下層にこれがあったのはきっと意味がある。もう一度挑むなら俺の料理を食べていってくれ」

 

1巻でも加筆エピソードがありましたが、迷宮関連の話が増えていたりしましたねぇ。

相変わらず迷宮食材を用いた「迷宮料理」を出す店として人気を博しているヨイシの酒場。

異世界ならではというか、酒場の娯楽として吟遊詩人の歌は結構重要で。異世界に来た当初言葉が分からなかったヨイシ的にも、メロディに載って覚えられる歌は良い教材だったようですし、爺さんの葬式での葬送歌も頼んだとかで、かかわりが深かったそうです。

料理のおいしさで話題のヨイシの店は、一晩で帽子がいっぱいになるほどのおひねりが期待できる人気店だそうで……最初のエピソード「透明玉菜」もそんな吟遊詩人のひとりを招いたことで挑戦することになった食材でした。

 

歌にするためにいろんな噂に通じている吟遊詩人から「ヨイシの酒場」として噂になっていると聞くことになったり。最後にはヨイシの歌まで作って去っていったんだから、にぎやかで面白い御仁でしたねぇ……。合間にユグドラとセフィの歌も作ってるので、目の付け所が良い。

 

山二つほど離れたところにある養鶏場が魔物の襲撃を受けたことで、卵の供給が滞ることになって、爆発卵というそのまま割ると爆発する卵の調理方法を模索したり。

迷宮料理の噂を聞きつけたさる貴族から「食べると死ぬ昇天キノコの調理」を依頼されたり。うわさを聞き付けた王家が宮廷料理人を派遣してきたり……その後も式典に際しての協力を要請されたり。

爆発卵は近隣への影響が大きいのもあって、方法確立してからは結構直ぐに情報提供してましたし、「上手い飯を出す店の主」ってだけじゃなくて、ヨイシにそこまでの意識はなさそうですが、名声的な部分も高まってきてる感じはしますね。

 

ヨイシ、根が小市民だからなぁ。爆発卵の調理法を探しているときに、ウカノがちょっと反抗期的な振る舞いを見せて部屋に入れてくれなくなって、盛大に戸惑ったりしてるし。

実際は爆発卵ちょろまかして部屋で羽化させてペット化計画企んでただけだったわけですが。

ウカノのこと鹿とトカゲのハーフかな? とか言ってますが。吟遊詩人からは「ドラゴンみたいな尻尾生えてなかった?」と指摘されてもまさかと流してるし。

あからさまコカトリスだろうウカノのペット・ホウオウも「ニワトリだろ」で流してるし。

 

爺さんとの付き合いもあったアリムラックに不審なところを感じても、なんか丸め込まれてるし。ちょろい。赤い目と長くて尖った耳を持って、鏡の無い診療所でコウモリをペットにして夜間診療を行う、ニワトリの鳴き声で卒倒する一般人が居るか。吸血鬼だよ、それは。

まぁアリムラック先生、一瞬ちょっと危うい場面あったものの、おおむね善良になった吸血鬼ではあるようでしたけど。

閑話「料理人の冒険者」で爺さん世代のエピソードがちょっと見られたの良かったですね。迷宮が土の力を奪うために失われてしまった、かつて王国を代表する作物だった「氷芋」の話があったり。ヨイシを拾った「爺さん」の仲間たちのリーダーの家系、9世代くらい前に女神が居たとかで。わずかな神聖を頼りに迷宮の謎をほぼ解き明かしていた、っていうのも凄いし……そんな彼らですら最下層は攻略できずに、ヨイシが来るまで迷宮都市は健在だったというのが寂しくもある。

 

割と長命なウカノ、ヨイシに懐いていて実に微笑ましいんですけれども。

彼女の母は旦那を亡くしてから娘にあたっていたようですし……寿命差で別れが待ってそうなのとか、不安は尽きませんが。それでも今幸せなのは間違いないから、良いかなぁ。

大迷宮は踏破しないと土地の力を枯れさせ続けるし、成長を続けた果てには崩壊して大規模な砂漠を創り出したり、迷宮の主が外を放浪するようになったりするとか、危険しかないので、ユグドラとセフィが偉業を為してくれたのはホッとする要素ではある。

読了した人は、WEB版の最後に書かれている「裏話」を読みに行くことをオススメしますよー。



冒険者酒場の料理人1

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「それはお前の武器だろ、とっとけ! 別に気にしなくても……いや。そうだな、そんならまた石胡桃を持ってきてくれよ、買い取るからさ。俺は冒険者に旨い飯を鶴久。冒険者は迷宮に潜って、俺に飯のタネを持ってくる。ほら、対等な関係だろ?」

 

魔法や迷宮の存在する異世界に迷い込んだ青年ヨイシ。

迷宮に挑めるような腕っぷしを与えられるでもなく、言葉も分からず頼る先もない。

そんな彼を拾ってくれたのが、迷宮都市で酒場をマスターでもある爺さんだった。

爺さんはヨイシにこの世界の文字を根気強く教えてくれて……ヨイシは美食大国日本での料理知識を活かして酒場に貢献した。

 

日本が食事にこだわりすぎていた、という側面もあれどこの世界の食事は貧相で……。

迷宮の性質のせいで土地は瘦せているし、立地もあって食材を仕入れるのにも限界があるから工夫して少しマシな料理を出せるようにしていたようです。食材以外であれば迷宮から資源として回収できるからこそ、都市としての規模と盛り上がりはあるようですけど。

迷宮に挑む冒険者、という荒くれものが多い街でもあるようです。

 

腕っぷしで冒険者を黙らせるとかはできないものの、ヨイシがなんとか店を切り盛りできる程度になったのを見届けてから爺さんが亡くなって、彼は一国一城の主となった、と。

そうやって酒場の主になったヨイシの元に、新人冒険者が迷宮で取れるけどクソ苦いため食用とみなされていない石胡桃を持ってきて。

礼儀を知る子供だったから、それを買い取ったヨイシはお人好しではありますねぇ。

後日、石胡桃がゴミ扱いされていることに気付いて謝罪に来てるし、その新人……ユグドラとセフィもまた善良な子ではあるんですが。

 

2人が気にしているようだったのもあるし、塩加減や焼き加減といった工夫でクオリティを改善するのにも限界を感じていたヨイシは、石胡桃を食べられるようにする方法はないのか、と模索することを決めて。

 

実際それでうまいこと調理方法を見つけて、酒場を繁盛させることに成功しているんだからお見事。迷宮の食材に可能性を見たヨイシはその後もいろんな食材の加工方法を模索して、新しい方法を発見したらその前のアイデアは公開することでもうけ過ぎて他の店から恨みを買い過ぎないようにしたりと、工夫を続けているのが良かったですね。

成功続きじゃなくて失敗もして解決を先送りにしてる食材もあったりするのが、人間味を感じる……まぁ、失敗してるの糞桃くらいで他は試行錯誤の果てとは言え、これまで食用とみられてなかったものの加工法を編み出し続けてるので、日本での経験で下駄はいてるとは言え才能ある方なのでは。

 

途中で行く宛のない少女ウカノを保護することになったりもしてましたが、骨魚の調理に成功していたことで彼女を餌付けできていましたし……その次の霞肉の調理にも経験が生きているので、めぐりあわせだなぁと感じました。

最初はちょっと警戒心があったというか、お互い手探りなヨイシとウカノの関係でしたけど。ウカノが「おとうさん」と呼ぶような形で落ち着いたのは良かったですねぇ。

ウカノ、鹿のような枝分かれした角と爬虫類系の尻尾を持つ少女であり……冒険者たちもそういった特徴をもついわゆる「亜人」は見たことがないそうですけど。

 

言ってしまえば異質な見た目を持つ少女を「鹿とトカゲのハーフとかかな。直接聞くの失礼かもしれないしやめとこ」で受け入れてるの、日本のサブカルとヨイシの鷹揚さの組み合わせで起きた事故感がありますが。まぁ、ウカノちゃんかわいいからね。可愛いは全てを救う。冒険者たちも、初見「魔物じゃ?」と疑いの目を向けて来る奴がいても、ヨイシの後ろに隠れようとする姿を見て、微笑ましさにほだされてますしね。

水ぶどうの回で、手持無沙汰で酒場のカウンターに飾られていた大鹿の角と角の付き合いしてたりするの、想像すると微笑ましい。

WEBの裏話でヨイシに惚れてるとされつつも「女冒険者」表記だったキャラに、アカルナニアって名前がついて、ちゃんとイラストももらっていたのは良かったですかね。

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