「勝手に『狐』の名前を使った事を訂正していただきたく思い参上しました」
(略)
「『狐』の名前は俺だけのものなので」
アレクの経営する宿。そこが『狐』と呼ばれる盗賊団のアジトだと目星をつけ乗り込んできたモーリン。
偵察目的なので、日記を付けていたわけですが……宿の快適さに驚き、修行の苛烈さによってどんどん変化していく様は涙なしには見られません。
最後には改心したというか、修行によってアレクを崇めるようになって、当初の目的を自白するまでに至ってましたが。
そもそもモーリンの過去が胡散くさいというか。厳密には彼女を保護した相手が怪しいんですよね。
魔族であるモーリンを差別用語である「亜人」と呼称していたり、女王陛下からの覚えも悪いとかなんとか。……手続きすっ飛ばして一番上に相談に行けるアレクのフットワークの軽さが凄いと言うべきか。
特殊すぎる訓練を積んだアレクの手にかかれば、門番が居ようと素通り出来てしまうんですね!! 未だに何をしてるのか分からないぜ……。「歩いていけるところを歩いて行っただけ」みたいなこと言うしな、アレク。
理屈を捏ねるなら、こう意識の隙間と言うか瞬きとかで死角が生じる瞬間に合わせて通り抜けた、みたいな感じになるんでしょうか。
そして保護者がやっていた悪行を指摘しに行ったわけですが……。まぁ因果応報の類でしょう。
モーリンや同じように保護され妹の様に育った子ども達が救われたのは何よりです。……その過程でモーリンは何度も死ぬような目に会ったわけですけども。最終的には助かってるからセーフ……?