気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

十年目帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる

十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる1

ico_grade6_2h

「数を頼みに勝てると思ってるような奴ら相手に 遅れはとらねぇよ」

 

同名作品のコミカライズ。

主人公のトールは十五の時、普通に学校に行こうと家の扉をくぐったところ、異世界に迷い込んでしまった。

振り返ってもさっきまでいたはずの地球の家はなく、危険な魔物に襲われて命からがら逃げる羽目に。

初期は現地の言葉も分からず、転移に際してありがちなチート能力が貰えたわけでもない。そんな中で帰還の術を探るために彼は冒険者となり……言葉を覚え、冒険者としてもソロでBランクになるまでになった。

 

……しかし当初の目的であった帰還方法については、9年の時間をかけてもさっぱりで。

何の予兆も無くこの世界に来た以上、同じように送り返されてしまうかもしれない。

そんな気持ちから、これまでの9年間でもある程度線を引いた交流を続けて来たみたいです。ただ、異世界生活も十年目という大台に入ることになり、もうこの世界に骨を埋める覚悟を決めて。

十年目の決意記念日をやけ酒で過ごしているのと、深酒してトラブルに遭遇してるのはおいおい……って感じではありましたが。

 

実はトールが立ち寄っていたその街は、近ごろとある騒動が起きていて。

ウバズ商会という街を代表する商会の長であった夫婦が三年前に事故で亡くなり、後を継いだハッランという男が前代表の名に泥を塗るような行いを重ねて。

粗暴な冒険者のクラン『魔百足』という戦力を抱えていることもあって、これまで扱いあぐねていたみたいですが。

トールは根無し草だったこともあり、確実にハッランには与していない。そして実力もあるということで、前当主夫妻の娘の護衛として派遣されることになり……その双子の少女もただ守られるだけの小娘ではなく、ハッランの悪事を暴く貢献をしたりする面白少女だったわけですけど。

トールと双子の出会いと、騒動の解決、そして街を離れるまでの小説1巻のエピソードを1冊にまとめてるので、あちこち駆け足で惜しいなぁ……って感じはしました。


十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる3

ico_grade6_4

「人と向き合うのは考えることと同義だよ。他者の答えを流用するのは不誠実だ。不誠実な付き合い方ではいつまでも流されて生きることになる。三百年生きた僕の経験則だ。では、おやすみ」

(略)

「……結局、腹をくくらなければ前を向けないんだよな」

 

シリーズ完結巻。

吸血鬼の里帰りに付き合い、隠れ里フラウハラウへと向かったトールたち。

道中のトールとキリシュの会話が、結構好きですね。長く生きる彼が、どうして人間と一緒に暮らしていたのか。そしてなぜ、彼女を吸血鬼にしたのか。

その問いかけの裏側には、いずれ来る別れが約束されている2人の関係を、キリシュがどう考えていたのかと見抜いて、トールにアドバイスしてくれた辺り、三百年の経験は伊達じゃない。

 

……まぁ、そんなキリシュにしたって、いざピアムを失うかもしれないという段階まで、自分の行動がハッキリしてなかった部分もあるみたいですし、大いに悩んでトールなりの答えを出してもらいたいところ。

そして辿り着いたフラウハラウには、かなり長命な始祖が滞在しており……異界について詳しい彼女なら、トールが元の世界に変える方法を知っているかもしれないなんて甘い罠まで在ったわけですけど。

なぜか始祖から、吸血鬼を敵視してるという太陽教会の経典の眠る遺跡の攻略を依頼されることに。吸血鬼対策されてる遺跡を「テーマパークみたいで面白かった」とか言えちゃう始祖様よ……。

 

実質的に冒険者トップだというパーティーを太陽教会側が雇っていた為、トールとの競争になって。状況によっては代表との決闘で話はまとまったんですが、相手側のファライの癖が強くてなぁ……。扱いがアレなのも納得。

WEBだと発見した資料の情報が前書き欄に書かれていたのですが、書籍化に当たってしっかり資料っぽく挿入されてて良かった。

 

トールと双子は遺跡が危険なのもあって、トールが単身遺跡で資料を探し、持ち帰ったそれを2人が解析するっていう役割分担をしていましたけど。

双子は情報収集もしっかりこなして、トールのサポートをしていましたが……。その過程で得られた情報もあって、悩みが深まった模様。

トールとの縁は得難いもの。それは序列持ちという戦力としてではなく、双子が抱いた恋心によるもので。でも、思考が繋がっている2人は、それ故に悩むことになったようで。ヒロインズの方もしっかり描いてくれてるのはポイント高い。

 

書き下ろしの新章が、太陽教会のダンジョン後~最終決戦の間に挿入されています。

トールが以前知り合った獣人のガルハンが「新しいダンジョンが、トールの故郷に繋がっているかも」なんて話を持ってきて。章のタイトルがそのまま「九年前の故郷に続くダンジョン」なんだからズバリなんですが。

WEBだと双子の「詰め」の方が先でしたけど、地球に通じるダンジョンへの対処で「帰ってしまうかも」という不安を感じさせてしまってたのはアレですが。

トールはトールでケジメを付けようとしていたからこそ、終わるまで言えなかったってのも分からなくはない。加筆で、三人の関係がより良く見えるようになったので、嬉しかったですけど。

最後、三人の旅路で出会った人々と力を合わせての総力戦とか、熱くて良かったですよね。
トールが戦闘力でソロBで序列入りしてるのが改めて納得できる戦いぶりでした。

十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる2

ico_grade6_4

「ロクック、解決策が見つかるまで遊んでやるよ」

「……俺は殺してほしんだけどな」

「なら、殺すしかないと思わせるくらいに暴れてみせるんだな」

 

双子と共に旅をするトール。

フラーレタリアを離れた三人は、近くに旧文明の遺跡があるファンガーロの街を訪問します。目的は、魔機車と呼ばれる魔力で動く車を買う為。

ユーフィトメ―リィが多少なり護身の術を身に着けていようと、商会の令嬢であった二人

に徒歩の長旅は辛いという事もあって、足を確保しようと思ったみたいですね。

 

Cランク昇格条件にあげられる魔機獣と簡単に遭遇してしまう辺り、魔機都市の名前は伊達ではないというか。ダランディやフラーレタリアなら大騒ぎだからな、と言う敵をあっさり片付けてしまう序列持ちのトールの強さが光る序章からスタート。

この三人の旅の様子、見ていると本当に和みますねぇ。どのキャラも好きなのでストレスフリー。

 

向かう道中でトールの事を知っている冒険者、ロクックと遭遇して。彼は彼で、ファンガーロ公認のソロBという立ち位置を確立してるようですが。

ソロBの二人が話していると、気の知れた男同士だからか、子供っぽい部分が見えてトールの印象が変わるというか。より柔らかくなった感じがしていいですねぇ。

 

……ファンガーロに来る前に、トール自身がフラグを立ててたせいもあってか、ここでもまた騒動に出くわすことになるんですけど。

多くの遺跡から魔機獣が生産されるファンガーロでは定期的に遺跡の掃除をする必要がるそうで。完全に排除しようにも他の遺跡から来た魔機獣に修理されてしまうって言うのは厄介ですが。倒せる術があるならボーナスタイムって認識にもなるのか。たくましい職員さんが好き。

 

ロクックが抱えていた問題に対して、事後処理が出来るように手を回していたのは偉いですけど。そんな思惑を超えて、より良い解決法に辿り着いてしまうトールと双子たちが凄い。

フラーレタリアに戻って、べっ甲素材の交渉をしたり書籍化で追加されたエピソードに関連した加筆があったのは嬉しかったですねぇ。

 

その後は新しく相談を受けて、芸術で栄えた街に行くことに。キナ臭い部分のある依頼だったので直接受けることはせず、現地調査をすることにしてましたが……。

吸血鬼に興味があるという双子のために、向かうのを決めた辺りトールは彼女達に甘い。なんというか微笑ましいトリオですよね。
結果的に戦闘になっていましたが、彼以外に対応できない魔機獣がいたりして、序列持ちの実力を改めて示してくれて格好良かったですねぇ。

十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる

ico_grade6_3h
「そりゃあ、九年もこの世界に居ればな。思い出だって色褪せるもんだろ」
「でも、トールさんはこの世界にも愛着がありませんよね」

気が付いたら異世界に居た高校生、トール。
帰還の術を求めて9年、冒険者として活動をしながら調査を続けていたが手掛かりを掴むことも出来ず。
十年目に突入する日に、この世界に骨を埋めることを決めた。

そして、たまたま立ち寄っていた街のギルドから、指名で依頼を持ち掛けられて。
街を代表する商会と、そこの専属である冒険者クランに絡む問題があり……
3年前に亡くなった商会の代表の忘れ形見である双子姉妹の護衛をする事に。

本文だと姉妹のユーフィとメ―リィは、一卵性双生児で顔も服装も髪型も変わらない、ということでした。
……正直、表紙イラストが服装とか変わってて恐いなぁ、とちょっと思ってたんですよね。
バストーラも映ってるから、2章だったらそこまでおかしくないかなとも思ってはいましたが。WEB版だと明確な服装の描写なかった気がするので。
ただ、挿絵は基本的に同じ服装で書いてくれてて安心しました。

描き分けの都合かなにかで、髪の分け目だけ微妙に変わってましたが。流石にそれくらいは許容範囲……とか言うと無駄に偉そうですけど。
誠実な挿絵好きです。まぁ、あまりこだわりすぎても良くないんですけどね。一歩間違えば「本文と違う! 駄目だ!」って叩く棒に早変わりしちゃうので。
仮に本編中に登場しないシーンが雰囲気重視で登場しても「これはこれで美味しい」と、受け入れるスタンスで居たい。

閑話休題。
冒険者ギルドの位階が、ギルドが仕事を割り振りしたくなるためのものだって言う設定は面白いと思いました。
複数拠点の防衛や護衛など頭数の必要な仕事が多いので、Aランクになるためには、一定の実力と実績がある5人以上のパーティーでないとAに昇格できない。
だから、Bランクにも単純な戦闘力ではAランクに引けを取らない人材がいる、とか。
ダンジョン探索に精を挙げていて、ランクを上げる事に興味がないからDランクだけど、B昇格の条件を満たしてる、とか。

能力重視の序列制度もあるので、両輪で評価してるってのも良いですよね。
ボッチBだ、とか言ってるトールが評価を受けてる部分が示されてますし。本編で明かされる場面が熱いので口絵でバレてたのは残念ですが、カラーになってて嬉しいジレンマ。

双子と初対面の時、室内で武器を構えているのに気付いて先んじて声掛けしたり、細かい加筆がトールの確かな実力を示してる感じで好き。
ダンジョンに入って落ち物を発見するパートと、それがギルドでどう処理されるのかの描写も加わってましたね。WEBからの読み味を損なわず、上手く補足してる感じが良かったです。


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
 コメント歓迎。ただし悪質と判断したものは削除する場合があります。

メールアドレス
kimama.tyaka@ジーメール なにかご依頼等、特別連絡したい事柄はこちらにお願いします。
メッセージ
アーカイブ
カテゴリー
記事検索
最新コメント
  • ライブドアブログ