気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

南野海風

魔術師クノンは見えている5

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「大丈夫 水辺は僕の領域ですから」

 

2631話を収録。

全派閥に所属することになったクノン。

先輩方に頼れるようになったので、さっそく『実力』のベイルに相談に赴いて。

ジャブとして出したのが聖女との実験で出来たシ・シルラの傷薬を運ぶのを補助する「箱型の魔術具」の開発。

いずれ誰かが作るだろうから先に自分たちで作ってしまおう、という提案で……その上でクノンが本当に作りたかったのは「魔術を入れる箱」だっていうんだから驚きです。

 

おぼろげながら構想があるって言うあたり、クノンの発想力はかなりのものですよねぇ。

最初の講師に「小細工」を色々仕込まれ、ゼオンリーにしごかれたのが活きてる。

水魔術で飛ぶって発想を、使える魔術が少ない段階で実用的な形にまとめ上げたりしてますしね……。

 

ベイルが前二つには協力するけど、最後の一つは『実力』向きじゃないと必要以上に話を聞かない決断の出来るベイルは良い代表ですね。

面白すぎる実験で、関係する生徒の単位が大変なことになりそうだし、クノンだって大変だろうから取り掛かるのは待て、と理由込みで制止してくれるのもありがたい。

……ベイル自身がかつて単位取得危うくて2級行きかけたからこそ、ってアドバイス何でしょうけど。

そして魔術関連では頼れるけど……エリアと言う彼を思っている少女の想いには気付いてなさそうな当たりとかは抜けてますが。

 

クノンが他の先輩方と交流しつつ楽しそうに学園生活送ってるのは良かったですね。

……31話がミリカ側のエピソードで、実績を挙げているクノンの婚約者と言う立場を守るために苦慮してる気配が伝わってきましたが。

やっと届いた手紙にプルプル震えているミリカ可愛いですよね。クノンが手紙でもナンパなクノンクオリティなのは笑えましたけど。

魔術師クノンは見えている7

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「誰が悪いという話ではないですからね。

クノン君の実績が原因ではありますが、クノン君が間違ったことをしたわけではありませんから。

これだけは絶対です。あなたは間違ってません。あなたはあなたのやるべきことをしているだけにすぎません」

 

故郷のヒューグリア王国に残してきたはずの婚約者ミリカ。

なぜか彼女が師匠であるゼオンリーを伴って魔術都市のクノンのところへやってきて。

宮廷魔法士と王女が国元を離れているという特殊な状況。それを作ったのは……まぁ当然2人と縁のあるクノンなわけで。

「魔建具」の可能性に気付いて、出来るなら国で押さえたいと人員を動かしたみたいですが。魔術都市での研究なんて特許出してるに決まってるじゃないですかー。

 

まぁ、そのあたりはゼオンリーだってわかっていたし、上層部も分かっていたでしょうけど、それはそれとして人員を動かさないといけない部分もあったんだろうなぁ……。クノンも感じていたように国としての立場と柵は厄介ですね。

でもその柵のおかけで、予期せずミリカと会うことが出来たのはラッキー。

3日程度の滞在ではありましたが、その中で「鏡眼」のことを知っているゼオンリーに相談も出来ましたし。

 

「鏡眼」で見えるもの「法則」についての考察もちょっとは進んだ……といえるのかどうか。まだまだ謎が多いんですよねぇ。

ゼオンリーに言われてましたけどクノン基礎をいくつかすっ飛ばしてるからそこを抑えるのも必要だし、とは言え現時点でクノンは共同研究でいくつも結果出してる優秀さなのであちこち目移りして寄り道してるので、なかなか一つの研究が深まらない。

まぁ、そうやっていろんな経験をすることで、知識を得てステップアップしていってる部分もあるので、一概に否定も出来ないですけど。

それはそれとして基礎魔術もちゃんと習得していくべきではあるんでしょうねぇ……。

 

ミリカがクノンとの婚約を維持するための策の一つとして、城を出ていることとかも聞くことが出来て。

実力主義の傾向が強いヒューグリアにおいて、第九王女であるミリカがクノンと結婚するためには行動を起こさなくてはならなかった。そして、今後も関係を維持するためにはクノンの協力も必要だ、という話まで出来たのは良かった。

クノン、侍女の教育で表面上ナンパな女好きですけど、ちゃんとミリカ大事にしてるんですよね。協力要請されて、まっさきにあんなに楽しそうにしている魔術学院を辞めるって選択肢が出てきてましたし。

ミリカに今以上に学んでいって欲しいという風に言われて翻意してましたが、あそこでミリカが頷いていたらほんとに辞めてただろうな……。
まだ伸ばす余地はありつつも、成長もしっかりしているクノンの今後に期待。また新しい事学ぼうとしてますしね。

魔術師クノンは見えている4

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「便利な力をもっと便利に使おうって話だと ハンクは魔力の操作も制御も上手い でも型にはまりすぎだと思う」

「魔術ってもっと自由でいいと思うんだ」

 

2025話を収録したコミカライズ第4巻。

聖女との実験で、霊草の生育実験を始めたクノン。

実に楽しそうに実験やっているので、ゼオンリーの教えとかもあって決闘もそこそこ出来るし、侍女の教えで表面上ナンパな奴に育ってますけど、根はどこまで行っても研究者気質というか、魔術師なんですよね……。

 

霊草には聖なる存在感があるよね、というクノンにハンクが「それは結界のだと思うが」とかリーヤが「そもそも見えないんじゃ」と、ツッコみにくいな……と思っているところに、聖女が踏み込んでいってるので何だかんだ面白い同期で良い関係ですよね、この4人。

ハンクがレイエスの「感情が乏しい」ってこういう事か……! ってなってる時めっちゃ冷や汗かいてるの、キャラが出てて面白かった。

 

元々特級志望じゃなかったリーヤと、助手歴が長かったハンクは、速攻で金策見つけたクノンと、クノンの助力で道筋が出来そうな聖女と比べて停滞していた。

そこでクノンのアドバイスを受けて、ちょっと違うことに挑戦することに。ちゃんとクノンが報酬出せるっていうのもあって、時間を割いて損が無いの良いですよね。……要求が高くてハンクは苦悩してましたが、クノンの提案で始めたベーコンづくりで道が開けているので、報酬以外にも得るモノ多かったみたいですし。

 

特級クラスのメンバーが所属する派閥。

新入生の生活が落ち着いてきたタイミングで、その勧誘が激化することになって。

才能を示したクノンは全ての派閥から目を付けられていて……。

同期の面々が一ヶ月でクノンの扱いにも慣れて来てるの良いですよね。ナンパな性格を察して、女子を勧誘に充ててる派閥の代表たちもまぁそりゃそうだ……というか、ねぇ。

そして女子に良い顔しちゃうクノンは、結果的に全部の誘いに肯くことになって。派閥を掛け持ち出来る価値を示せ、と言われて決闘に発展してましたが。

先輩たち相手でも初見なら勝ちを拾える、と大言を吐き実行しちゃうんだから見事ですよねぇ……。
ゼオンリー相手にも初手は勝ったみたいですから、クノンの慢心とも言いがたい。ただ、彼の世界はまだまだ狭いのも確かで、これから広がっていく可能性を秘めているっていうのが末恐ろしい。

魔術師クノンは見えている6

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「そうか。俺はしばらく彼女とは会っていないんだ。忙しくなってきたから、と言っていた」

「あ、実際忙しいと思いますよ。いろんな意味で」

「――魔術に夢中になったか?」

「――なりましたし、これからもっとなると思います」

 

特級クラスに配属されることになったセララフィラ嬢。

去年の聖女が経験したように、使用人を養える分の稼ぎを得るべく行動を開始。ひとまず調和の派閥に所属することを決めたようですけど。その生活を続けるために、クノンの知恵を借りることに。

 

クノンの師匠ゼオンリーも土属性で、技師としての顔を持っていて有名なわけですが。

大地に通じる土属性は宝石にも影響を与えられるし、その方面での加工・細工で金策している人が多いとか。ただまぁ、既に切り開かれた場所でもあって新規参入は難しい。

建築関係も需要はあるけれど、期間限定だし収入も魔術師として考えるとちょっと安くなるとかで。

そもそもセララフィラ嬢は駆け出しの土魔術師なので、そうした方面で直ぐに稼ぐというのもハードルが高い。そんな中でまず、貴族として守秘義務の大切さを知っているセララフィラを聖女とつなげて、彼女の要望を応える形で当座の資金を得て。

その後、一大ムーブメントを引き起こしそうな「魔建具」とかいうものまで生み出しているの、クノンは本当に着眼点が良い。見えませんが。

 

発想力は凄いけれど、まだまだ交渉事とか面倒な調整とかそのあたりは不得手で、権利関係の話で師匠に相談の手紙送ったりもしてましたが。自分の苦手なところ把握して相談できる人にちゃんと話しとおせてるからまぁ、そのあたりの判断も踏まえて成長は感じますね。

 

そんなクノンですが、彼は視界を得るために魔術を極めようと最初こそ思っていたけれど今では十分に魔術師になって魔術そのものが好きになっていて。

同じように「英雄の傷跡」を抱えて生きて来た先輩から、とある実験に誘われることにもなったりして。縁ですねぇ。……まぁ、時間のかかる実験でもあるからまずは単位をどうにかしないといけない、という恒例の悩みも出て来てましたけど。



魔術師クノンは見えている3

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「僕は水属性が最高だと思っています

 本当は最高であり最強であることを唱えたいけど

師匠に勝てなかったからまだ最高なんです」

 

魔術学園に向かう途中、グリオン侯爵家の領地に立ち寄ったクノン。

孫可愛がりする領地を預かってるおじいちゃん、短い登場シーンで孫大好きぶりをアピールしてって笑えました。

クノンがここに立ち寄ったのは、祖父への挨拶だけではなく……。

実は結婚適齢期を少し過ぎてしまっているイコが、クノンから離れることになったので引継ぎを行うためでもあって。

 

イコの紹介もあって、新たに侍女になることになったのがイコの妹であるリンコ。姉がこれから相手探しなのに対して、リンコの方は婚約者が既にいて、出張手当とかが付くからクノンについていって、将来の貯蓄にするためという目的なのが格差よ……という感じ。

まぁイコはイコで幼少期からクノンの傍についていて、なかなかそういう出会いとかに割ける時間もなかったでしょうしね。

2巻でクノンの父から相手の紹介をしてもらえそうではありましたし、結婚できないってことは無いでしょうけど。……いや、リコの理想次第では長引くかもな……。

 

止む無く離れることにはなったけれど、イコはイコでクノンの事を大事にしていて、リンコに「悪い遊びを教えるな」とか言ってましたが。……君がちょっと間違った紳士像にクノン育てたから勘違いされやすくなってるんだが……? とは思いました。

魔術学園に入って、実技試験のシーンとか画が付くとより分かりやすくなって良かったですね。クノンの赤い霧とか、雰囲気出てました。

魔術師クノンは見えている2

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「誰に何を言われようと 人や物を傷つけると思えば拒否しなさい」

「魔術は力だ 力を振るう以上何をするにも責任は常に付きまとうんだ」

「これから本格的に魔術を学ぶなら 無責任な子供でいることも卒業しなさい」

 

水を生み出し操作する「水球」の魔術。

クノンはそれにアレンジを重ねることで、本物の猫と見紛うほどの水人形を創り出したりもできるようになったわけですが。

実は水を生み出さなくても、その場にある水に使っても操ることはできるようです。

そして魔術師団の人々と対面したことで、その「そこにある水」は「水の魔術師が生み出した水」も対象にすることができる、という新しい知見を得て。

 

クノンが色々と新しい知識を得ている傍ら、魔術師団の人々もクノンの生み出した超軟体水球を堪能したり、「人型の水球」を動かしてみたり、より早く動くための方法を模索したり。

いやぁ、実に魔術師だなぁというか。好奇心に駆られた結果、叱られが発生しているのちょっと笑えた。

その後クノン父にも怒られることになっていましたが、まぁ順当。怒られといてもらって……。

まぁテスト自体には問題なく合格して、師匠の紹介をしてくれることになったのは良かったですけども。

 

王宮魔術師の中でも名の知れているゼオンリーが、課題を通じてクノンを認めて弟子と認定。そうなると、クノンの元々の才覚もあってどんどん羽ばたいていくだろうけど、クノンの婚約者としてぼんやりしていられるのか、という発言は厳しいけど正しいんですよねぇ。

ミリカの方も覚悟を決める切っ掛けとなったので、早い段階で師に出会えてよかった。

実際目的であった「眼を作る」魔術も、ゼオンリーの教えを受けた末に、問題点を抱えてはいるものの形になったわけですし。

課題は多いけれど、飛躍の為に魔術学園に通うことが決まってますし、今後の改良に期待。

魔術師クノンは見えている1

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「必ず魔術で目を作るんだ」

 

勇者の子孫に現れる「英雄の傷跡」という、何かを失って生まれる特徴。

片腕や片足といった肉体的なモノだったり、感情や味覚といった感覚的なモノだったりするわけですが。

グリオン侯爵家に生まれたクノンもまた「傷跡」持ちの少年であり……彼は、生まれつき目が見えなかった。

 

「英雄の傷跡」と言われる通り、それは歴史の功績を感じるものであるため周囲からの評価は高かったけれど……クノン本人からすれば、どれだけ祝福冴え領都も、両親や優しい兄の顔すら見れないソレは呪いのようなものだった。

百年ぶりの「傷跡」持ちということで、王位継承権が低いながらも王女との婚約まで決まったみたいですけれど。

生まれつき目が見えず鬱屈したクノンとの時間は、婚約者であるミリカ王女からしても退屈な時間であり……定期的に会うことになっているが、時に逃げ出してしまうこともあったとか。

 

そんなある日、クノンは魔術の才能に目覚めて。

講師が口にしたとあるひと言から、魔術で外に「眼」を作ろうという発想に目覚めたわけです。そうやって希望を見出したことで彼の世界は輝きはじめて。

明るくふるまえるようになったのは良かったですけど、侍女が悪乗りした結果、間違った紳士像を叩きこまれてナンパな言動をするようになってしまったのはちょっとアレですけども。

……まぁ言動はナンパでも婚約者大事にしているし、目標である魔術には真剣だしの良い子なんですけどね……。

魔術師クノンは見えている5

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「いいじゃないか彼! それでこそ魔術師じゃないか!」

 

里帰りするには遠いし、睡眠提供商売の関係で居て欲しいという声もあったことから、学校に残る事を決めたクノン。

既に結果をいろいろ出しているけれど、未だに初級魔術しか使えないという特異さで特級クラスで居るの、面白いよなぁ。

 

そしてそんな状態で2年生に進級して。先輩方との交流も相変わらずですが。狂炎皇子ジオエリオンの従妹が特級クラスに入学するという話を聞いて。

セララフィラという少女を「魔術に没頭させてくれ」という提案もされることに。口絵でカラーイラスト見られましたがセララフィラ嬢、好きな見た目してるなぁ。可愛い。

特級クラスに入ったものの、まだ魔術に染まっていない彼女でしたが。

クノンと出会い、その伝手でエルヴァという憧れられる先輩にも出会って。自分の未熟さを痛感して、折れずに成長しようと思える子だったのは良かった。

 

樹木に潰された校舎の再建が終わったり、聖教国がコンタクトを取って引き渡し要求があったりと輝魂樹を巡るトラブルもグレイ・ルーヴァの存在によっていったんは落ち着いた模様。

その反応が読めていたからこそ、貴重な種などを送るからその環境で芽吹くか試してほしいという話に持って行ったあたり聖教国も強かというか。

……植えた結果、行方不明になったりするあたり特殊な環境だなぁというか。特殊な物を扱うとそういうことあるんだなぁというか。まぁ、ここならそういうこともあるか。……大分思考が学園に汚染されてる。



魔術師クノンは見えている4

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「――魔道はもっと深いぞ。想像よりもっともっとだ。この儂とて未だ果てを知らんくらいにな。

 もっと発想を自由に羽ばたかせてみろ。常識に縛られるな。たまには手探りじゃなくて無責任に試してみろ。意外な発見もあるものじゃぞ」

 

クノンという劇薬に触れたことで2級クラスが活発になったみたいですが……。

それが尖った方向に行ったのは、色々理由があるとはいえ大変そうというか。どちらかと言えばジュニエに同乗してしまうかなぁ。

先達の魔術師サトリなんかは、対抗心だって成長に必要な要素だよと鷹揚に構えてましたし、サーフにしたってそのうち落ち着くだろうって構えなの、魔術学院講師の慣れを感じましたね……。

 

そしてジオエリオンとクノンが約束していた勝負が開催される運びになったわけですが……。

グレイ・ルーヴァが興味を持ったことで、ほぼ公開試合の様相を呈することに。

お互い似た部分があり魔術を追求する2人は、決闘においても容赦せずぶつかることに。まぁグレイ・ルーヴァが治療を請け負ってくれたというのも大きいとは思いますが。

 

初級魔術を器用に使いこなし、大きな影響を及ぼすクノンでしたけど、中級魔術まで抑えていた狂炎皇子相手にはやはり押されてしまってましたね。

それでもただやられるのではなく、しっかり反撃してのけるのがクノンですけど。最後に介入したグレイ・ルーヴァの描写を見ると、まだまだそのクノンもひよっこと言うのが良くわかる、というか。極めた魔術師の恐ろしさの一端を感じましたねぇ……。

 

その後は単位取得のためにまた聖女と協力して実験したり、サトリのお手伝いをしたりしてましたが。ついに共同での「魔術を入れる箱」の実験もスタートして。

……特級は本当に魔術バカが多すぎて、大分研究に身命賭してヤバい状況になってたので、一回ストップかけてくれたのはありがたかった。

クノンもなんちゃって紳士の暴走癖のある変わった子に見えますけど、なんだかんだ受け入れられてるのは特級に変わり者が多いからなんだろうなぁ。

 

それでいうと、英雄の傷跡で感情が抑えられている聖女レイエスが学校でいろんな経験を積んだ結果、植物狂いになって彼女もまた立派な「特級クラスの魔法使い」になってたのは面白かった。

予期せず校舎一つ潰してたのには笑いましたが、その結果を生み出した裏にはこの世界の歴史というか神秘が関わっていて。まだ未熟なクノン達には見えない高みの一端が見えた感じがして良かったですね。

 

クノンには鏡眼のこともありますし、魔術の深奥に踏み込んでグレイを驚かせてほしいという気持ちがある。でも、婚約者が大切だからいつか国元に帰ってしまうんだよなぁと思うとそこは惜しい。

継承順位が低いために兄姉から圧を掛けられつつも、クノンの婚約者としての地位を確保するために上手くふるまっているミリカも好きなので、幸せになって欲しいとも思ってるんですけどね。

凶乱令嬢ニア・リストン1 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録

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「武とかどうとかはさっぱりだけど、賢い選択ができないってのはすごくよくわかるわ。賢く生きるための選択って話なら、私だって未来が見えない役者なんてやってない。

それこそとっとと実家に帰って農業やってれば、安定して暮らせるだろうしね」

ならばわかるだろう。

「私は行くわ。必要なことだから」

 

闘病生活を送っていたニア・リストンは、両親が快癒を願い様々な手を打ってきたものの、願い敵わず病没。

しかし、最後に両親が頼った男は怪しい術を習得した人物で……報酬を得るために、死んだニア・リストンの肉体に、別の魂を宿すことで一時しのぎをすることに。

病に侵された体は弱り……このままなら、新たな魂を入れても数日の命だろうと思われたものの。男が招いた魂は、尋常のモノではなかった。

 

サブタイトルによれば「神殺しの武人」であるところの魂は、体内の「気」を操る技法を習得しており、少しずつ病魔を追い払っていくことに成功。

ニアの肉体とこれからの人生をもらう形になってしまったのだから、彼女が背負うはずだった責任と義務は果たして親孝行はしよう、と考えるくらいの人間味は残っていたようですけど。

生まれ変わったニアの本質を一言でいうなら、戦闘狂なんですよね……のちに「凶乱令嬢」なんて二つ名を贈られてるのも、納得しかないくらいには。

 

かつてのニアの記憶も引き出せず、しかし前世で培った戦闘技術以外の記憶も朧気な主人公は、およそ45歳児らしからぬ言動をするようになるわけですが。

それでも受け入れてくれる両親の懐の広さは素晴らしい。

 

この世界、かつて「大地を裂く者ヴィケランダ」という特級魔獣が大地を裂き、その時の大地のかけらがどうしてか空に浮かぶ「浮島現象」が生じるようになって。

浮島では独自の生態系が作られたり、ダンジョンと呼ばれる迷宮が存在したり、かなり興味深い存在となっているようです。

 

プロローグで名前列挙されている、過去の英雄たちについても気になりはするんですけど。

「気」を操作し快方に向かっているとはいえ弱っていた初期のニアは、部屋で療養してばかりだし。彼女の興味が血沸き肉躍る「戦闘」に偏っているので、面白そうな世界観ながらこっちに流れてくる情報が絞られているのが惜しくはあります。

貴人の娘として求められた振る舞いをしつつ、裏では戦闘欲を発散する機会を伺っていて。1巻時点で裏組織一つにトドメを刺してるっていうんですから、将来が今から怖い子ではありますが。怖いもの見たさで見守りたくもある。



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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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