「確かにここまで連れてきたのは俺かもしれん。だが選んだのはお前だ、シアーシャ」
決めるのはお前だと、ジグは言った。
その先で得られる益も責も、自らのものだと。
「――――お前の望むままに往け。結果敵が出来たとしても、それは仕方がない。生きるとはそういうことだ。……安心しろ、やり過ぎぬようにフォローしてやる」
異大陸での生活にもなじみ始めたジグとシアーシャ。
たまの贅沢ってわけでもないですけど、朝市に繰り出して仲良くご飯食べているの良いですよねぇ。ジグ、傭兵としてあちこちわたってきた経験か、酒盛りしている男たちの輪に飛び込んでスペース借り受けてるの、なんか好きです。
シアーシャが貝焼いて美味しそうにしてるのとか、なんというか基本的には微笑ましい風景でした。
……亜人を迫害する連中を最後に見たことで、どうにも締まらない終わりにはなりましたけど。
賞金が設定された魔物が現れたことで、討伐を狙う高位冒険者が流入したり、一部地域に立ち入り制限が設けられたりしたために、シアーシャが立ち入れる狩場は人が過密になってしまって。
周囲に気を使いながらの探索は気疲れするために、早めに仕事を切り上げたところでアランと遭遇。ワダツミの騒動で戦ったミリーナの兄であったらしくて、ちょっとピリピリする場面ありましたが。もう終わった問題だから、とジグが掘り返さなかったのは彼らしくて良かったですね。
翌日、空いた時間でシアーシャは魔術の開発に勤しむことを決めて。食事に出たジグはそこで知人のベイツとグロウと出会って。傭兵として雇われることになって、仕事に赴いて……しっかり見せ場を作っていたのは流石でしたね。
まぁ、負傷もしてしまってましたが……肉体の基礎スペックが高い彼は、魔術治療の効果が高いというのが明らかになってました。……まぁそれは読者目線で会って、当事者たちは「腕利きの回復術士だな」とか「やけに効きが良い人間だな」みたいな反応になっていたわけですが。
回復作用が高い反面、エネルギーを多く使うので飢餓感を覚えるという副作用もありましたが……ジグからすれば問題ない範囲か。
別の日、狩場に出た先で亜人……爬虫類のような見た目の鱗人との交流する機会をジグとシアーシャは得て。他と変わらぬ対応をしたことで、彼等からの評価も高まった模様。
一方、亜人を嫌う勢力からは嫌われて細かい嫌がらせを受けることになったわけですが。
あまりにも細々としていて、即座にはギルドも動けないようなやり口で。規則改正もされることになったみたいですが、それよりも先に殴り込みで解決してたのは……まぁ彼女らしいか。
……その彼女の背中を押すのがジグではあるんですけどね。どっちも仕事とか自分のやりたいことに忠実で、実に良いキャラだなぁと思います。