「……ありがとよ」
(略)
「お前らに出会えたおかげで――俺も、ちったぁましな大人になれた」
ついに完結となった今シリーズ。
一体どういう決着となるのかと思いきや。
割合真っ当に戦争していたなぁ、という感じ。キャラが増えて、規模も最大級の戦闘なので、物足りない部分も出てくるんではないかと思ってたんですが。
流石に一つ一つのシーンは短めでしたが、キャラごとの動きがしっかりと描かれていて。
共和国側のジャンの思考、イクタの策、そうしたものがうまくハマったなぁという感じで。
戦争ですから、一から十まで理想通りとはいかず。
サザルーフの決断と、副官のメルーザ中佐の覚悟の決まり方が見事でした。
眠らずに動き続けてきたジャンと、正しく怠けることを是としたイクタの在り方の違いが戦争の決着に現れたように見えました。
佞臣トリスナイとの決着も描かれていましたが、先のサフィーダみたいに、事情を持っていたようですけど……だからと言って、アイツの行いが許されていいわけではない。
けれど、これは決して珍しいことじゃないんだろうなぁ、というあたり帝国の腐敗は極まっていた感があります。
そして、シリーズ当初より言われていた、「上手く負ける結末」へ向かおうとしたときに、想定外の事が起きて。
イクタなら、きっとシャミーユが見たのとは違う結末に導いてくれると思っていましたが……確かに、違う方向には行きましたね。
だけど、イクタ。お前のキャラじゃないだろう、そういうのは。無茶しやがって……と呼んでいる間ずっと思ってましたが。
自分を正しく計っていたからこそ、止まれなかったのが悲しいし……彼を止めようと大kの人が動いてくれていたのが、嬉しかった。
それだけの事をして来たんだ、と。もっと認められていいはずだ、と。
戦後、共和国の宰相がしれっと夫婦生活に突入しようとしていたのは、釈然としないものがありましたけど。
ジャンやエルルファイ達に良い変化が訪れてくれたには安堵しているので、こう、言葉にしづらい感情が渦巻いてる。
好きな部分、苦手な部分と有りましたが……総じていうなら、読んで良かった。忘れられないシリーズになりそうです。