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「そうですよ。全部、勘違いさせた方が悪いんです」

(略)

「だから。……先輩が悪いんです」

「……え?」

 

女子高生・雨宮結叶は、幼馴染の少女であり初恋の相手である花房渚に告白し……振られてしまった。

それでもお友達としての付き合いは続いていて……どうしたってギクシャクしていたみたいですけど、振られて一ヶ月が経って少しはマシになってきた。

……まだまだ未練タラタラで、一緒にいると気まずいけれど、それでも好きな思いがそんな直ぐに消えるはずもなくて。

 

そんなある日。渚の妹であり、同じように幼少期からの付き合いがある少女、海望ちゃんが結叶に接触してきて。

「お姉ちゃんへの想いを、忘れさせてあげます」と海望ちゃんは、結叶の前で「渚」のような恰好をして、結叶の事を受け入れて。

2人の関係は、付き合ってるわけでもないけれど、キスをしてしまう、なんとも不思議な状況になっていって。それぞれに傷を抱えていて、その凹みが上手い感じにかみ合ってしまった、というか。割れ鍋に綴じ蓋というほどきれいにハマってないところがまたややこしい感。

 

花房家が闇なんだよな……エリート家系な両親は、期待に応えてくれる渚の方は全肯定するけれど、両親の基準で不出来な海望のことはいないように扱ったり、その割にテストの点数が悪かったら叱責したり、と。

そんな海望にとって、普通に接してくれた結叶の存在は本当に救いだったんだろうなぁと思います。……渚の方も渚の方で、下手に期待に応えられてしまうからこそ抱え込んでしまってる部分があるようで、あっちもこっちも危ういな……。

いやでもそんな危うさを抱えた状態でキスしたり、触れ合ったりしてるの、暗い喜びがあってこれはこれで良い。……いつまでもそのままだと、闇に飲まれそうではありますが。まずは傷をいやすのが大事ですからね。