「信じられるか、お前なんか」
「…………」
「……でも、騙されてやる」
小説家になろう掲載の作品。
全270部で完結済み。
狂った世界に生きる魔女と終わりつづける世界から召喚された一人の青年。
すべては二人の出会いから始まった。剣と魔法とモンスターが登場する異世界ファンタジー小説。
と、あらすじにはあります。
あらすじにある通り、魔女の住む世界は狂っている部分があり、青年の世界には終わりしかない。
重圧に耐えかねた魔女が縋る縁として、召喚の儀を行った。
本来なら、幻獣や精霊が召喚されるはずが、なぜか召喚されたのは青年だった、と。
召喚の儀では一度分解され、再構成されるというプロセスが挟まる。
そのため、召喚ではなく、転生に近い現象が発生している。
青年は名前を無くし、元の世界には戻れなくなった。
責任を感じた魔女は、青年と共に行動をすることになる。
と、最初の流れはこんな感じですなー。
スキルとか冒険者ギルドといった設定は出てきますが、MMO-RPGモノではなく、普通のファンタジー世界。
世界観が色々と創りこまれているのが感じられて、結構好きです。
構成は「第1話 見知らぬ世界で/異世界の人」、というようなタイトルが付けられていて、話の中で、視点が切り替わります。
今の例で行くと、「見知らぬ世界で」は召喚された青年の、「異世界の人」は召喚した魔女の視点ですね。
話を追うごとにキャラクターが増えていくので、それぞれの内面が分かる構成であったのは、中々面白かったです。
ただ、誰の視点かは特に記されていないので、キャラが増えてくると、一瞬これ誰のシーンだ? ってなることがあるんですよね。
なので、どうせなら、だれの視点かまで書いてあると嬉しかった。
あとは、恋愛至上主義、ってわけでもないでしょうけど、作中で結構な数のカップルが誕生するので、その辺好かない人はご注意。
まぁ、メインから離れてそういうことをするシーンはないですが、後半になるとデートとかはたまにあります。
結構追い込まれているというか、仲間が少ない状態ではあるので、そういう日常的なイベントがあって、俺は楽しんでましたけど。
素直になったシリルが可愛い事。
振り切っていた針が戻って、冷静になった途端恥ずかしがるとか、作者さんもよく判っている。
後は、ヴァリスが、術式使う条件をアリシアに少し隠していたときとか、さらっと甘いです。
異世界召喚要素が入るとチートとか混ざりがちですが、そこまででもなかったかなー。
いや、確かに味方陣営が禁呪ぶっ放す魔女だったり、概念すらも切る剣を取得したりと、結構ぶっ飛んだ戦力ではあるんですが。
俺TUEEEで力押し、っていう展開じゃなかったのは結構好ましいです。
割とあちこちで苦戦したり、負けたりしてますし。
相手側もさる者、というか敵側もそれを何とかできる程度には強かったりするからなぁ。
インフレが進んでいる。
困難を力を合わせて超えていくとか、そういう感じの流れは楽しんだんですが。
ラスボスがインフレの極みだったからなぁ。強いのはいいけど、どうにもそこで失速した感じはあります。
まぁ、キャラが多いですが、どのキャラも魅力あるんで、結構楽しかったですね。