「これからどんな道を選ぼうが、わしはクロエの祖父で死ぬまで味方だ。おまえのためならいくらでも援助しよう。皆もよいな?」
「「「はっ!」」」
「だから……肩の力を抜いて、よく考えよ」
モルガン侯爵家の令嬢、クロエ。
しかし彼女は〈火魔法〉の家系に生まれながら、資質が〈草魔法〉だったために家族から迫害されてしまう。
唯一の味方となってくれた教授に傾倒していくのですが……彼は他国のスパイという疑惑があり、その下で毒草を育てていた彼女も牢屋送りになってしまった。
……そんな危険なことに手をだしてしまうほど、追い詰められていたってことですが。
牢で一人壊れて死んだ彼女は、しかし気が付いたら五歳の時まで巻き戻っていた。
記憶も1週目で鍛え上げた魔法の技量もそのままに。ある程度成長した精神が中にはいったことで、クロエは早い段階で両親に見切りをつけて。
ほとんど居ないものとして扱われる彼女を気にかけてくれるメイドのマリアや、草魔法適正のあった庭師の一家など、わずかに出来た味方と共に自分の技量を磨いていくことになります。
1週目のクロエは正式な師匠を持てなかったこともあり、彼女の知識結構偏ってるみたいですしね……。
実家をでて薬師として働けるように知識と技量を磨く傍らで、できる範囲の手を打っているのも偉い。
そうやって自分なりに成長しているクロエは、家族からすると面倒極まりなかったようで……彼女の記憶よりも早く、厄介払いされそうになってしまいましたが。
クロエの出していた手紙が無事に実を結んで、助けが来てくれたのは良かった。
母方の実家、ローゼンバルク辺境伯家の祖父がクロエと養子縁組して実家との縁を切ってくれたり、守ってくれることになって。
でも1週目の出来事がトラウマになっていて「いつかは一人で生きていかないといけなくなる」みたいな諦観を持っているのが、心配ではありますが。
辺境伯家の面々は快くクロエを迎え入れてくれて、大切にしてくれているので少しずつ彼女の心が癒されていけばよいと思います。
肉体年齢はともかく精神的には成長した状態で普段はしっかりしてるキャラが「~ちゃま」呼びしてるのが、個人的には苦手な表現なんだなぁと気づきを得ました。中身と幼い喋りのちぐはぐさがぞわぞわするというか。内容は普通に面白かったですけど。