気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

小説家になろう

おかしな転生XXI スイーツと冷たい関係

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「お前は菓子作りを好むと聞く。そして、今までも多くの歌詞を作り出してきたと調べもついている。ならば、ルニキスの為に、その知恵と腕を振るってもらいたい。国威の為だ。この際、常識の範囲内であれば制限なしで良い。求めるものは“外国の大使たちを唸らせる菓子”だ。できるか?」

「陛下の勅命とあれば謹んで拝命いたします!!」

 

32章「スイーツと冷たい関係」、32.5章「嬉しい報告」を収録。

ヴォルトゥザラ王国での任務を終えて無事に帰国したペイス。

王子の外征が無事に成功したことを祝した帰国パレードが開催される運びとなり、ペイスも同行者としてそこに参加する必要に駆られて。

政治も軍事も出来るけど、一番肝心なのはお菓子作りという優先順位のペイスにとってみればありがたくないイベントでしたが、まさか逃げるわけにもいかず。

スクヮーレになだめられてるのちょっと面白かったし、地の文でスクヮーレが「ペイストリー取り扱い検定三級保持者」って語られてるのには笑った。

 

ソラミ王国からの全権大使としてやってきたアモロウスも無事に国王からの身分保障を受けられることになったわけですが。

外国からの要人を招いたことで、神王国でも社交の場を持つことになって。今回の外征で異国で菓子作りをしたペイスに、故郷でも同じことできるよな? と国王から勅命が下されることに。

王の命令で菓子作りできる機会をペイスが逃すはずもなく、詳細聞く前から承諾してたのはあまりにもペイス過ぎて愉快だった。

内々に打診されたときに同行していた父が焦って止めていたのは笑えます。お疲れさまでした……。

 

勅命を盾にお菓子作りに打ち込んで、仕事が溜まってシイツは大変な思いをしてそうでしたけど。

せっかくだから最上のものを作ろうと視察に出かけた先で、不審な動物の死体を発見して。お菓子絡みだと暴走しがちですが、外敵の可能性を考慮してしっかりと兵を動かして対応に動けるあたり、やっぱりペイス優秀なんですよね……。

肝心の脅威と遭遇したとき、初手逃走を選んでましたけど被害も出してませんし。

さてどうなるものかと思ったら、ここでピーちゃんが活躍してくれて。ペイスは素直に喜んでますが、さすが大龍の子供というほかない戦闘力でしたね……。

 

32.5章は、無事に新たなお菓子を作ったペイスが国王から称号を授与されて、いろんな家から交流を持ちたいと手紙をもらう羽目になって。

妻リコリスと良い関係を気付いているからこそ、婚姻関係を望むような家だったり、何してくるか読めない聖国からの招待なんかは断ってましたが。

それでも断れない付き合いっていうのは存在するわけで。今回は中でもレーテシュ伯爵家とボンビーノ子爵家との社交について描かれていました。ウランタがかなり頼もしく成長していて良かったですね。

ワールド・ティーチャー 異世界式教育エージェント

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「いつか自分のやりたい事を見つけなさい。俺はそれを手伝ってやるからな」

「……うん!」

 

世界最強のエージェントとして活動していた主人公は、仲間に後を託して命を落とした。

そして気が付いたときには、魔法のある異世界に転生してシリウスという新たな名前を得た。

母は既に亡く、使用人たちには優しく見守ってくれているものの……父は彼の事をまったく顧みない下種だった。

まぁ干渉してこないおかげでシリウスは優しい世界で過ごせていたので、そこはありがたくもありますけど。

 

魔法の適性属性を持たないシリウスは、この世界では蔑みの対象になりかねないとのことでしたが。

前世知識を持つシリウスは何事も使いようと工夫して、身体能力強化や空中移動、遠距離攻撃など汎用性を持った技術へと発展させていったのがお見事というほかない。

 

自力で修行をする傍ら、あちこちに遠出してそこでも良い出会いをしているので、父には恵まれなかったけど、それ以外の人の縁という意味ではシリウスかなり運が良いですよね。

彼の事を気に入ったエルフの少女や、隠居していた武人、奴隷となっていた獣人の姉弟など。

獣人のエミリアとレウスはその経験から最初こそ心を閉ざしがちでしたけど、しっかりと心を溶かして信頼を勝ち取ったのはお見事。

魔術師クノンは見えている4

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「――魔道はもっと深いぞ。想像よりもっともっとだ。この儂とて未だ果てを知らんくらいにな。

 もっと発想を自由に羽ばたかせてみろ。常識に縛られるな。たまには手探りじゃなくて無責任に試してみろ。意外な発見もあるものじゃぞ」

 

クノンという劇薬に触れたことで2級クラスが活発になったみたいですが……。

それが尖った方向に行ったのは、色々理由があるとはいえ大変そうというか。どちらかと言えばジュニエに同乗してしまうかなぁ。

先達の魔術師サトリなんかは、対抗心だって成長に必要な要素だよと鷹揚に構えてましたし、サーフにしたってそのうち落ち着くだろうって構えなの、魔術学院講師の慣れを感じましたね……。

 

そしてジオエリオンとクノンが約束していた勝負が開催される運びになったわけですが……。

グレイ・ルーヴァが興味を持ったことで、ほぼ公開試合の様相を呈することに。

お互い似た部分があり魔術を追求する2人は、決闘においても容赦せずぶつかることに。まぁグレイ・ルーヴァが治療を請け負ってくれたというのも大きいとは思いますが。

 

初級魔術を器用に使いこなし、大きな影響を及ぼすクノンでしたけど、中級魔術まで抑えていた狂炎皇子相手にはやはり押されてしまってましたね。

それでもただやられるのではなく、しっかり反撃してのけるのがクノンですけど。最後に介入したグレイ・ルーヴァの描写を見ると、まだまだそのクノンもひよっこと言うのが良くわかる、というか。極めた魔術師の恐ろしさの一端を感じましたねぇ……。

 

その後は単位取得のためにまた聖女と協力して実験したり、サトリのお手伝いをしたりしてましたが。ついに共同での「魔術を入れる箱」の実験もスタートして。

……特級は本当に魔術バカが多すぎて、大分研究に身命賭してヤバい状況になってたので、一回ストップかけてくれたのはありがたかった。

クノンもなんちゃって紳士の暴走癖のある変わった子に見えますけど、なんだかんだ受け入れられてるのは特級に変わり者が多いからなんだろうなぁ。

 

それでいうと、英雄の傷跡で感情が抑えられている聖女レイエスが学校でいろんな経験を積んだ結果、植物狂いになって彼女もまた立派な「特級クラスの魔法使い」になってたのは面白かった。

予期せず校舎一つ潰してたのには笑いましたが、その結果を生み出した裏にはこの世界の歴史というか神秘が関わっていて。まだ未熟なクノン達には見えない高みの一端が見えた感じがして良かったですね。

 

クノンには鏡眼のこともありますし、魔術の深奥に踏み込んでグレイを驚かせてほしいという気持ちがある。でも、婚約者が大切だからいつか国元に帰ってしまうんだよなぁと思うとそこは惜しい。

継承順位が低いために兄姉から圧を掛けられつつも、クノンの婚約者としての地位を確保するために上手くふるまっているミリカも好きなので、幸せになって欲しいとも思ってるんですけどね。

VRMMOはウサギマフラーとともに。5

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「なぜ地球人はこうも短命なのかの。生まれたと思ったら、あっという間に死んでいく……。何かを為す暇もないじゃろうに」

「短命だからこそ輝くものもありますれば」

 

実はこの世界は、広大な宇宙に多様な知的生命体が生まれ、連合や同盟なども結成されていた。

シロがNPCだと思っていたミヤビや双子たちも、宇宙人ながらゲームにログインしているということが明らかになって。まぁ大っぴらに出来る話でもないので、彼がそれを知ったところでどうすることも出来ないというか。

別に侵略目的で囲っているわけではないから、シロとしては変わらずゲームを楽しむ以外にすることが無いともいう。

 

ただこれまでも変な出来事目撃したし、事情を知ってしまったのも事実なので、双子が護衛として派遣されてくることになって。

食費も併せて振り込んでくれたのはありがたかったですけど、桁違いの入金が通帳の記録に残ってるの、税金関連のアレコレ大変そうって思ってしまうのは年かな……。

ゲーム運営に宇宙人が関与してたり、知ってる人は知ってる事柄みたいですし、それをやってるのがミヤビっていう高名な存在なあたり、内々に処理されそうですけどね。

 

さらにいろいろと経験したことで、シロのソロモンスキル「セーレの翼」が成長。

自由に設置できるビーコンに転移出来るとか、汎用性高すぎてこれまで以上に狙われそうな理由が出来てしまったな……。

シロ自身にそこまで隠すつもりないというか、うっかり写真に写り込んでしまって、事情に気付いたプレイヤーも増えてきましたし。調達屋としてではないですけど、有名プレイヤーのPKを配信する輩に目をつけられたりしてましたしね。

 

4巻の感想の時に触れた、掲示板回の時にジョブの表記が「剣士フェンサー」とかになってるのが、嫌いな表記だなぁって書いたんですが。

5巻では「魔獣使い《モンスターテイマー》」みたいに表記変更されてて、個人的にはポイント高かった。こっちの方が表現的に好き。

VRMMOはウサギマフラーとともに。4

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「別に僕らは強さを求めてこのゲームをしてるわけじゃないし、そこらへんはみんなでカバーするよ。それにこれから上級職とかに進んだら、僕らも同じようになにかが能力ダウンになるかもしれないし。お互い様さ」

「そうだよ。レンちゃんがやりたいようにやるのが一番だよ」

 

マドカ・ノドカからもらえた情報によって、次のエリアにつながるヒントを得たシロたち。

怠惰トップギルドのアレンたちと協力して、鍵となるデュラハンを撃破してボス戦闘への道を作ることに成功して。

シロ達の情報によってアレン達はかなり利益を得てますが、アレン達のギルドの船に同乗させてもらってエリアボスに挑む機会を得てるわけですし、助け合いが成立してるの良いですね。

 

ギミックボスに苦戦しつつも撃破して、第四エリアまでいけることになったわけですが。

臨海エリアである第3エリア超えた先が、耐寒装備必須の雪原エリアになってるのゲームとは言え容赦ない設定というか。

エリア超える度に対策装備の更新がはいるの大変そうだなぁと思いました。

 

そしてアレン達との関係が良好で、シロ自身も以前PK相手取った経験などから「ウサギマフラー」さんとして顔が売れていて。

それらの影響もあって、目ざといプレイヤーからシロが噂になってる「調達屋」だと目星をつけて接触してくる事態も起きて。

 

自力であたりをつけて、情報を他に流すつもりもなくて、仲良くしてほしいと思ってる。かなり明け透けですけど、これくらいの方が分かりやすくて良いか。

素材を流した上で口止めもできたし、割とマシなところに話落ち着きましたしね。

ただ今回はこれで済んだけど、注目され続けてるとどんどん気付く人増えそうというか。そうすると面倒ごとも舞い込んできそうなのが困りものですなー。

 

あとこれはあくまで個人的な感想なんですが、職業システムが実装されて掲示板で盛り上がるのはいいんですよ。ただ、ルビ振ってたであろう部分が平文になってて「剣士フェンサー」とかの表記になってるのが地味に嫌だった。

なんか表現として定型外れてるの、背筋がゾワゾワする感じがして嫌。本筋に一ミリも関与しないポイントですけどね!



魔王と勇者の戦いの裏で2

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「今 余裕がある部隊なんて存在していないだろう

 ならできる者がやるだけだ」

 

騎士団が壊滅し、王太子殿下も死んでしまう。

そんなゲーム序盤に待ち構えている一大イベントの渦中に飛び込む羽目になったヴェルナー。

敵の仕掛けを見破って、最悪の状況を回避することこそ出来たようですが。

王太子に直言をしたことで見込まれて、年齢も経験も上で家格にしてもよくて同格の相手の指揮を執る羽目になって、内心で冷や汗書いてるヴェルナーが好きです。

 

ゲーム知識があることも影響して、前提条件が違うため他の騎士と意思疎通がうまく測れないシーンもありましたが……むしろ王家への忠誠心の表れと受け取られて評価上がってるからヨシ。

マゼルがボスを倒すまでの時間稼ぎをするだけのつもりでしたからね、ヴェルナー。

なんだかんだ与えられた枠内で限界いっぱいまで奮戦してはいましたが。

左翼側、ミーナが受けたヴェルナーからの助言を基に、この世界にはなかった盾を用いた戦型を即座に適応してみせたフュルスト家の騎士も見事ですよねぇ……。コミカライズで絵が付くと壮観でした。

 

そしてコミカライズ独自シーンで、マゼル達の探索サイドの戦闘シーンも盛り込んでくれてたのは個人的に嬉しかったですねぇ。

いや裏でこんなの動いてて、それを打倒したって言うんだからゲーム主人公なだけはありますよねマゼル。

スタンピードに勝利した後気絶してしまったヴェルナーですが、起床した後は事後処理でできることに手を出してる当たり、貴族としてしっかりしてるわぁ……。

 

巻末SSは「王都学園の小騒動」。

ヴェルナーは療養と事後処理もあって、スタンピード後は学園休んでましたが。

体力のあるマゼルは平民だったこともあり、普通に顔を出したみたいです。そして、噂が広まっていたこともあって、色々とお声がけをいただいて困惑することになった……という一幕を描いたSSですね。

ヴェルナー視点だと見えないエピソードなので、こういうの好きです。

魔王と勇者の戦いの裏で3~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「恐怖を消すには勝利が一番いい。それが小さな勝利でもな」

 

無事に3巻が発売してくれてとても嬉しい、お気に入りシリーズ。

2巻で難民護送任務を無事に終えたヴェルナーは、家の騎士団を指揮して水道橋付近の巡邏警備などを行っていた。

そうした任務を果たしつつ、裏では暴走ののちに消息不明となったマンゴルトについて考察していたり、ヴェルナーは本当に真面目ですね……。

難民がやってきて食い扶持が増えた問題はあれど、なんとか対応できそうかと思っていたところに急報。

 

魔族の軍が活発に動き出し、都市に被害が出たために緊急出動令が出されることとなって……。

またしてもヴェルナーは実家の騎士団を率いて、現場に派遣されることになります。王国において三度しか出ていない「緊急出動令」が出されるほどの危機、と即座に察しがつくあたりは前世知識の底上げありますけど、普通に優秀ですよねぇ。

書籍版で何かと描写が増えているフュルスト家のタイロンなんかは、目先の問題しか見えておらず当主がため息つく場面もありましたし。

……そうやって文官系の家なのに優秀さを見せつけてくるから、反発する輩も出てきてしまうんでしょうけど。

 

かなり早い段階で戦闘地域に駆けつけたヴェルナーでしたけど、そこで勇者と旅をしている筈のフェリと遭遇。

ここにヴェルナーが来るのを読んでフェリをメッセンジャーに派遣したマゼルも偉いし、そこで得られた情報を重視して即座に動けたヴェルナーも見事だよなぁ、コレ。

マゼルが先んじて渦中に飛び込んだため、今しばらく時間はある。しかし、そうやってマゼルが目立ったことで彼の家族に累が及ぶかもしれない、と動けるのがすごい。

 

フェリもしっかりと情報持ち帰って、勇者の見せ場作ってますしね。勇者側とヴェルナー側と解決に動いた事態がどちらもギリギリだろうと間に合ったのは何よりでした。

あとマゼルの家族を保護した後の道程も加筆でボリュームアップされてたし、リリーとヴェルナーが一緒に居る挿絵があったりしたのはWEB読者としては結構嬉しかったですねぇ。無事でよかった。

 

……まぁ、またしても軍規違反で追及を受けることになったりしてましたが。

フュルスト家が恩もあるから、とヴェルナーが居ないツェアフェルト騎士団が使い潰されないようにしてくれてたり、これまでの行いが無駄になってないのが良かった。

ヴェルナーの行動によってゲーム正史よりも犠牲が減っていたり、直近の平原での戦では大勝してしまったこともあって、逆に被害を生じたりする問題もありましたが。そこまで責任はとれないしなぁ……。

現場でも上位のグリュンティング公爵やセイファート将爵が、ヴェルナーの味方側だったのは救いか。

期待の裏返しで難題ぶつけられたりもしましたが。うまくさばいたヴェルナーも、勇者としての活躍をしたマゼルも、格好良くて満足のいく1冊でした。4巻も出てほしいなぁ。

神童セフィリアの下剋上プログラム

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「みんなをまもってくれてありがとう。よくがんばったな。だいすきだぞ、セフィ」

 

日本でプログラマーとして働いていたOL主人公は、しかし過労死してしまったらしく……。

気が付いたときには魔法が存在する異世界で、幼女セフィリアとして転生していた。

0歳児の時から意識がハッキリしていた彼女でしたが、流石に異世界の文字は読めず。気になって繰り返し手を出していた本が、ある日魔導書であることを知ります。

そしてプログラマーとしての経験も活かし、それを解析することに成功し、魔導師としての才覚を示すことになるという、よくある転生モノのノリではあります。

 

ただ、この作品が異質なのは1巻時点でセフィリアの年齢が01歳時までという子供というより赤子と言った方が正しい狭い時間で終始するところでしょうか。

0歳児ながらハッキリと喋り、論理的に思考し、魔術を操る。これはもう早熟な子という言葉で収まる範囲ではなく、はっきり言って異常です。

しかしこの世界には、かつて魔族との戦争のさなかに生を受け「生まれながらにして高い知性と教養を備え、やがてその力で魔族を追い払った」勇者アインという伝説があるそうで……。

異常だからと排斥されることはなく、むしろ勇者の再来か、と逆に拝まれることになるんだから、そこは幸いでした。

 

転生者が異世界で才能を示し、家族は受け入れてくれたし、国王などの上層部も彼女を認めてくれる。

幼女が地位を得たことを面白く思わない現場の人間はどうしても出てきますけど、テンプレに沿った王道の展開が待っている作品であることは間違いありません。

だから、主人公が0歳児で活躍しててそれを受け入れた上で地位を与えてくる王様とか、現代人の価値観では引っかかる部分を飲み込めれば楽しい作品だと思います。

私は0歳児に貴族としての地位が付属する役職を下賜してくる部分とか、期待の表れにせよちょっとどうかなぁと思ってしまって微妙に入り込めなかった。

夜伽の国の月光姫3

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「あいるびーばっく!」

 

その容姿からエルフと勘違いされ、竜にエルフの里まで運ばれてしまったセレネ。

彼女自身はそこでの生活を満喫してたし、なんなら人間の常識にとらわれない土地だからここにどうにか姉を連れてくれば、女の子同士のカップルでも作れるのではないか、とか考えてるの自由すぎる。

 

王子の方は彼女を連れて行った先で攫われてしまい、責任を感じたのもありセレネを取り返すために動き始めているというのに。

……まぁ、竜に影響力のある巫女だと勘違いされたセレネはエルフたちに大切にされて、しっかり人里に送り届けてもらえることになってたのですが。

各々が武装した状態で鉢合わせて、王子とエルフの長がバチバチ戦う事態になってましたが、致命的になる前に誤解が解けて良かった。

 

そこから少しずつ交易でお互いの利になる方向へと話が進んでいったのは、王国的にもありがたい話だったんだろうなぁ。

……こうしてますますセレネの実績が積み重なっていき、エルフたちからは月光姫なんて異名までもらうくらいになってきたわけですが。

存在感が強まるセレネの事を隣国の王女エンテは、面白く思わず……より危険な術を用いるように呪詛師をたきつけた末に、最後に歯向かわれてたのはまぁ自業自得ではありますな……。

 

別の思惑を持っていた呪詛師は直接セレネを狙うのではなく、彼女を庇護する王家の方に牙をむこうともくろんで。その末にセレネにも影響するだろうと考えたみたいです。

これまで幸運や、有能な執事である鼠のバトラーの助力もあって危険を免れていたセレネが、勘違いからとある行動を起こしたときにその呪いと鉢合わせてしまったのは引きが強すぎるな……これは誤解されまくるのも止む無し。

最終的には王子も無事だったし、いったん距離を取ることに成功したわけですし。……より影響力が強まったとも言いますが……。

番外編「黄金のマリー」の末文によれば、割と早く戻ってきそうな気配がありますけども。今度は何しでかすんでしょうね、彼女。

夜伽の国の月光姫2

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「あした、ほんき、だす」

 

世間的に見れば、親から秘匿され牢獄のような場所で過ごしていた、美しい姫を大国の王子が救い出したというのは美談です。

そしてその彼女の振る舞いが彼を慕っているように見えるのだから、周囲からすると微笑ましい風景なんでしょうねぇ。

……実際にはセレネは、王子は愛らしい姉を狙っていると思い込んでるし、自分を天国から引き離した相手への復讐を目論んでいるわけですが……行き当たりばったり主義のセレネの行動はさっぱり実を結びません。

 

ちなみにそんなセレネを気にかけて、王子はあちこち連れて行ってくれたりするんですが。

隣国の王女様、彼が避けていたのも納得だなぁというか。彼女に近づく男性は体調を崩し病床に伏すことが多いから、呪われているなんて噂が広まっていたそうですが……。

王子の妻の座を狙っているから、彼に言い寄る女も自分に迫る男も鬱陶しいという価値観で、お抱えの呪詛使いに呪わせていたっていうんだから真っ黒すぎて笑っちゃった。

当然セレネにも嫌がらせの数々を仕掛けてきたわけですけど、当人には全く届いていないのもこの作品ならではの味わいって感じがしましたね。

 

その後、「百合(女性同士の恋愛)」が好きというセレネの発言を、普通に花の百合が好きだと解釈した王子に、百合が広がる場所に連れて行ってもらったりしてましたが。

そんな彼女を竜すらもが誤解して、見知らぬ土地に連れ去られたりする一幕もありましたが……困惑する周囲と違い、当人は新天地満喫してるのがセレネだよなぁ……。



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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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