「大事なことは十分に足る最低限というものです」
「はぁ……」
「必要なことを必要なとき、必要な分だけ行えば良いのです。今欲しいのは時間の掛かる百店の砦じゃなくて、ぱっと建てれる八十点の砦ですから」
義父に手紙を届けに来た先で、献策したり敵を排除したりと戦働きをすることになったクリシェ。
彼女はあくまで「手伝い」という建前を崩してはいませんでしたが……彼女の挙げた功績は疑いようのないもので。
最小限のコストで最大の効果を齎すために、手を抜くところでは手を抜いていたり、そのあたりの配分はクリシェ上手いですよね。
独自の目線でぽわぽわ生きてるので、世渡りは下手ですけど。まぁ、そのあたりを戦場で支えてくれるセレネがいたり、後方にはベリーが待っていてくれるのが、クリシェをまだ人間に留めてくれている感がある。
クリシェ、敵には容赦ない顔を見せていくのもあって、評価されつつも恐怖されすぎるのを押さえるために、セレネに懐いてる姿を計画的に見せてる部分があったりするらしいので、お疲れ様です……というか。
まぁ、無防備に甘えてくれるクリシェが愛らしくて、それを見せびらかすことに優越感を抱いてるようですから、セレネも全部計算してるってわけでもないようですが。
戦の状況がある程度落ち着いたところで、セレネを伴ってクリシェはベリーの待つ屋敷に帰還できることになったわけですが。
そこでちょっとしたトラブルがあり……クリシェがベリーとセレネ相手に、ことあるごとにキスを迫るキス魔になってしまったわけですが。
ベリーが「唇と唇を合わせるキスは、言葉にもできないような深い愛情を伝える行為」とかって真面目に説明するもんだから、クリシェが額面通り受け取って「ベリーやセレネの事好きだし、うまく言葉にできないから」とキスをせがみまくってるの、見てる分には微笑ましいですけどね。
常識を持ってるベリーとセレネが困惑するのも、まぁ無理はない。でもクリシェの愛らしさに懐柔されてるからな……。
そうやって微笑ましいばかりであればよかったんですが。
戦功著しいということでセレネもクリシェも戦勝式への参加が求められることになって。
ドレス選びにこだわるセレネとベリーの間で方針の違いでバチバチやってシーンもありつつ……いざ式典に臨んで。
そこでクリシェは、王弟から危険視されている王女と対面を果たすわけです。そこでクリシェは彼女の過去についての話を聞くことになるわけですが。
王女の提案に、クリシェ理論に則った回答をしたところ、またしても争乱が起きそうな気配がしてきましたねぇ……。