気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

山崎響

婚約破棄から始まる悪役令嬢の監獄スローライフ 下

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「あら、私は昔からこうですわ? ただ、王子の許嫁という立場がありますと、行儀を良くする方が優先になりまして……」

レイチェルは唖然としている一同の顔を眺めながらクスクスと笑う。

「面白いですわよね。私を舐めてかかっている人って、私に口が無いと思って公言できない自分の自慢話や他人の噂話をペラペラしゃべるんですのよ。なんで私が他人に喋らないなんて思うのかしら? ふふ、おかしい」

 

婚約者を引っ張りだしたり、王子のとりまきになっていた弟を切り離すことに成功したレイチェル。

「翼はもう片方ももぎ取らないとバランスが悪い」と、騎士団長の子息であり弟と同じく王子の取り巻きになっているサイラスを切り離す策略を練って。

……まぁ手としては単純で、同じように婚約者を引っ張り出してきたわけですけど。

 

その少女マルチェラは、サイラス第一のメンヘラ少女であり……サイラス絡みの時だけ能力が圧倒的にブーストされるバーサーカーであった。

それは騎士団共通の見解であったようで、サイラスから一旦距離をとらせて落ち着かせようとした結果、遠方の砦に詰めていたようですが。話を聞きつけて、止める同僚を蹴散らして現場に駆け付けたのはあまりにも逞しい。

レイチェルは本人が協力的だったからとはいえ、冤罪で地下牢に放り込まれていたというのに、あからさまに暴れまわり地の文からも「レイチェルの代わりに牢に入っていてもおかしくない騒ぎ」を起こしたマルチェラは、周囲が誰も爆弾には触れたがらなかったという理由で不問にされているの、ギャグ的にはありだけど裁定のバランスがなぁ……とは思った。

 

まぁエリオットはレイチェルへの嫌がらせに必死になりすぎて、もともとのスペックが無かったのも合わさり、城内の仕事が滞りまくっているようですし。

そのあたりの判断基準があやふやなところも彼の瑕疵ということになるんだろうなぁ……。

レイチェルと敵対している派閥の家からも、エリオットへの抗議の声が上がっていたというんですから、まぁ順当ではありますが。

彼の無能さを知らしめるように、レイチェルが仕掛ける嫌がらせが規模が大きくなっているんだろう、と国王たちは分析してましたが。それもあるだろうな、と納得できるレイチェルの策略よ……。

 

エリオットは騒動の責任を取る形で隠遁生活を送ることになって。

レイチェルの才覚が改めて示されたことで、次期王妃として彼女を確保したいという思惑も働き、実はいたらしい弟の次男レイモンド王子が新たな婚約者として決まって。

……レイモンド君はレイモンド君で、ちょっと変わった子でしたけどまぁ、エリオットよりはレイチェルと上手くやっていけるのでは……? 

次代の国の行く末、めっちゃ気になりますけど、どうなるんですかねぇ……。



婚約破棄から始まる悪役令嬢の監獄スローライフ 上

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「いいよ! いやがらせが効いてねえって口で言えよ!? いやがらせにいやがらせで返す必要はねえんだよっ!」

「まぁ、いけませんわ! 貴族たるもの、同じリングで戦いませんよ」

「正々堂々に見せかけて、机の下で足を小突き合うような陰険な戦いに巻き込むな……」

「それがあなたのお仕事でしょう?」

 

ファーガソン公爵家の令嬢レイチェル。

彼女は婚約者であるエリオットがポワソン男爵家の令嬢マーガレットに懸想したことで、国王夫妻が外遊している隙に、王子の独断で婚約破棄を告げられることに。

さらに冤罪によって王子はレイチェルを城内にある牢に幽閉しようとしたわけですが……。

レイチェルは、婚約破棄を勝手に宣言する王子なんかより数百倍は用意周到であった。

彼女は「未来の王妃」として求められる態度をとる、立派な猫を被り続けていたわけですが。その実、かなりヤバい内面を秘めていた。

幼少期、いじめっ子への報復として主犯を池に叩き落して、浮かんでこれないように石を投げつけようとしていたとか言いますし。やられたらやり返すを地でいくところがあって。尖ったところのある彼女の下には、不思議と優秀な人材が集まっていた。

なので、実はこの婚約破棄騒動を王子が企んでいる、という情報も先んじて掴んでいたようですけども。

 

レイチェルをして、王妃教育は大変で……。それを相手に非がある形で受けなくてよくなるんだから、話に乗っかることにして。

さらに教育にかかる膨大な時間が空くから、地下牢に放り込まれるのも見越して物資を運び込み、趣味の時間に費やそうとか言い出すんだから本当に自由な娘だよ……。

放り込まれた彼女が監禁生活で弱って罪を認めれくれれば儲けもの、と王子たちは定期的に顔を見せてくるんですけど。その王子たちを適度に揶揄って実に楽しそう。

レイチェルが牢獄にいながらにして出前とかケータリングとか頼んでいて、そんなもん貴族世界にあるかー、みたいなツッコミも居れたくなる時ありますが。手を変え品を変えレイチェルが王子周辺を揶揄うノリが楽しいのでヨシ!!

聖女様は残業手当をご所望です 王子はいらん、金をくれ

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「……ここの連中はみんな、貧乏を知らないんだ」

 

神託により第四十三代聖女として任命されたココ・スパイス。

歴代の聖女が貴族令嬢から選出されていたのに対し、ココは家も家族も失い、日々の糧をゴミ捨て場から漁ったり、下町から盗んだりする浮浪児だった。

そんな彼女を聖女として祭り上げるのに思う所のある人も多くいるようでしたけど。

内心はどうあれ、神託は神託として協会はかなりの人数を動員し、ココを確保して。

 

教育を受けて、外面は聖女として振舞える器用さと賢さをココが持っていたのは、体面を重視する教会の人々としてはありがたかったのでは。

……下町育ち故の強かさなども持ち合わせていて、奉仕を旨とする神職者でありながら給料をもらってるし、教皇相手に賃上げ請求したりもするので、同じくらい頭痛いでしょうけど。

 

聖女には任期もあるため、その期間勤め上げたら元の生活に戻っても構わないと思っているココは、せめて聖女活動中に資金をためておきたい。

一方で神職・政治家としての目線で考えている教会上層部としては、神職は原則として神への奉仕を喜ぶボランティアであるから、金銭支給は終わらせたいと考えている。

そりゃかみ合わないよなぁ、と思う部分はあります。

 

ココが聖女らしくない態度で荒く接しても、拒絶ではなく説教に留める辺り教皇と聖女の関係はいいと思いますけどね。

王国と教会の関係は良好で、ココを気に入った王子からちょっかいかけられたりもしてるんですよねぇ。

個々人としてはいいキャラが多いんですけど、勝手が過ぎるからとココを嗜めるために王子が取った手段とかは気に食わないなぁ。ココのこと理解しつつ、彼女の大切なもの取り上げたわけですしね……。

王族・政治家としての目線では聖女を留めるのに効果的はあるでしょうし、いい薬なの面があるのも確かでしょうけど。

 

素では聖女らしからぬ言動をしているココですが、悪人を懲らしめたり、オークと呼ばれる魔物を蹴散らしたりすることもあるんですよね。歯に衣着せない彼女の暴れっぷりが楽しめたら面白い作品。

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ちゃか

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