気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

岬鷺宮

あした、裸足でこい。4

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「上手くいくあなたも、そうでないあなたも、ずっと見てる。目を逸らさないから」

(略)

「どうか、あなたの願いが叶いますように」

 

ループを続ける中で二斗がいつも目にしていた、新小惑星らしきものを発見したことで表彰されていた同級生。

彼女は音楽を続ける中で色々と擦り切れていき……その中で、変わらず星を見つけ続けていた天体少年に声をかけてみる、という変化を発生させることにして。

そして、そこからは3巻最後に記されていた通り、彼女との縁が出来たことで巡の運命は変化してしまって、小惑星の発見を成し遂げることなく転げ落ちていってしまったわけですが。

 

彼もまたやり直しの機会を得たことで、二斗の交友関係が壊れることもなく続くことになって。

その上で二斗は音楽活動でも変わらず注目を集め続けていた。そんな彼女に追いつきたいと願い、小惑星を見つけるために奔走することに。

そんな彼の行動に惹かれる人もまたいるんですよねぇ……。天体観測のイベントに参加することを決意したものの、突発的なものだったこともあって六曜先輩たちの都合も着かず。そんな中、後輩かつ他校生でもある真琴が手を挙げて。

10代の学生」を対象にしていたから高校生・中学生のコンビでも参加可能って言うのは面白いルールの穴の突き方だなって感じがしましたね。

 

二斗と真琴が不思議とバチバチしてましたが……。真琴の胸中が明かされたことで、まぁそれもそうか……って感じではありましたね。

真琴も真琴で背負っているものが多そうで。繰り返しの中で、巡は最初に願った未来をつかみ取ることには成功した、と言っても良いでしょう。しかし、その代わりに失われようとしているものも示されて……次回、完結巻となる5巻でどういう決着を迎えるのか楽しみです。二斗好きだけど、真琴も不幸にしたら許さんぞ……の気持ちがある。

あした、裸足でこい。3

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「そもそも――お前が不幸にならなきゃいい」

端的に、俺にそう言った。

「お前が幸せになれば、その姿を見せりゃ、それで問題解決だろ」

 

今回のメインは六曜先輩。

家柄や才能を言い訳にすることなく、努力すれば誰にだって勝てるだろうと過去に成功体験を得た少年。

起業したいという願望があるものの父に反対されていて、学園祭の有志ステージを担当してメインステージに勝つことを条件に許されることに。

六曜先輩と二斗が学園祭の実行委員長と副実行委員長を務める、というかつての時間軸と同じ流れを辿ることになっていましたが。

 

そこに未来を知る巡が介入していくことで、またしても未来は変わっていくことに。

二斗もループを重ねていく中である程度未来を知っているわけですけど。彼女は、自分の望む未来のために他を切り捨てていくことしかできなくて……それでも望みには届かず、壊れていってしまった結果が、失踪するという未来なのかなという危うさがあったわけですが。

そこは救おうと足掻く巡とは違う視点ですね。まぁ今回は巡も色々と抱え込んで、迷走しかけたりしましたが。六曜先輩に喝を入れられて再起したのは良かったですね。

そうして救われた分、巡が六曜先輩へしっかりとお返しできていたのも良い関係になっていったと思います。

 

表紙イラストと作中の挿絵とで変化を見せつけにくる構成、インパクトあって好きですねぇ。あとがきに書かれていましたが、岬先生の癖が詰め込まれた結果のようです。

個人的には表紙イラスト側の方が好きではありますが、イメチェン後も好きなので悩ましい。

変化した未来において、巡は自分の果たすべき目標を見定めていましたが……地の文でも「やり直しの終着点が近づいている」といった風な書きかたされてて震えました。

 

あした、裸足でこい。2

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「……約束通り大事にしてよね」

「おう……」

「ちゃんとそばにいてね。浮気したら、キルユーしますから」

 

千華から「未来から来たでしょ?」という指摘を受けることになった巡。

彼女視点から見ても、隠そうとする巡の挙動は不審でバレバレだったけれど……そんな不器用な一生懸命さが「たまらなく尊い」と認識してるのが、読者目線だと尊くて良いですね。

そして未来から来た巡と、実は何度も高校生活をループして望む未来をつかみ取ろうとしていたという衝撃の事実を抱えていた千華。

 

出来る範囲でお互いの秘密について共有したうえで、恋人関係になって傍にいる時間を大切にすることにして。そしてお互いに未来を変えるために動くけど、「協力して何かを企むのは無し」というルールを敷くことになったわけですが。二斗から巡への想いもなかなかに重そうですなぁ……。

巡、あんな可愛い後輩の真琴のことをマスコット換算で「女子」として数えてないの、良くないと思う。

二斗を救うために過去を書き換えていく巡でしたが……その結果として、最初の時間軸においては仲の良かった真琴との過ごす時間が減り、距離感が変わっていくというのは寂しいなぁ……。

 

今回の改変の中心は、二斗の親友である五十嵐さん。

彼女と二斗が大喧嘩したことで未来では距離が出来ていることをしった巡は、五十嵐さんと二斗との関係改善を図ろうと、五十嵐さんとの時間を重ねることに。

時に六曜先輩も交えて青春を送っていたの面白かったですけど、恋人である二斗との時間減ってしまってるのは惜しくもありますが。

巡が五十嵐さんとの縁が深めていったこともあって、二斗との間に生じそうだった溝を埋めることが出来たのは良かったですね。

 

アーティストnitoとして所属事務所を決めた二斗は、専用の寮に入ることを決めてましたが……『恋は夜空を渡って』の御簾納咲ちゃんがしれっと現れたの、嬉しかったですね。こういう繋がりが岬先生作品には多くて楽しい。

あした、裸足でこい。

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「俺……二斗を助けられるんじゃないのか?」


高校の卒業式を終えたタイミングで、在学中に一時付き合っていた彼女の事を思い出していた主人公の坂本巡。

二斗千華。在学中からnito名義でアーティストとして活動していて、瞬く間に広い世界へ飛び出していってしまった人。

そんな彼女が、卒業式の一週間前に「遺書を残して失踪か?」というネットニュースを見ることとなって……。

 

茫然とした巡は、彼女と良く時間を過ごしていた天文同好会の部室へ足を運んで。

付き合っていた時に聞いていたピアノのメロディーを拙いながらに弾いてみたところ……視界が光に覆われて、気付けば彼は彼女と出会った瞬間にさかのぼっていた。

想い過ぎて幻覚を見たか、と思いながら過去の世界で過ごす中で巡は、彼女と出会うタイミングを変更してみたり、当時の失敗した自己紹介をまともな形でやり直したりするんですが。

 

過去の彼女がピアノを演奏したのを聞いたタイミングで、意識は現代へと戻ってきた。

そうすると、「自己紹介を失敗した本来の世界」では仲良くなれなかったクラスメイト達が、「昔の恋人失踪したとか、大丈夫か?」と心配されることになって……。

同好会部室でのピアノ演奏をキーとして、意識を過去に飛ばして未来を書き換えられることに気付いた巡は、二斗を助けられるんじゃないかと行動を開始することに。

なぜか巡と、最初の世界で仲の良かった後輩女子の真琴だけは、世界の改変を認識できるなどの細かい謎は気になるところではありますが……まぁそれを言ったら意識だけタイムリープしてるのも謎ですけどね!

 

試行錯誤をして、「最初の世界」とは違う世界へと変えることを決めた巡。

ちゃんと部員勧誘をして、活動実績を作って、幽霊部活であった天文同好会を正式に再稼働させることを決意して。

時に失敗をしたりもしていますが、少しずつ良い未来へと変わっていってるのが、現代に意識戻ってきた時にフィードバック得られるのいいですよね。ループ1回で全部やり直して! ってならないのが面白い。

最後、予想外の指摘を受けることになっていて驚きましたね。

恋は夜空をわたって2

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『御簾納ちゃん――』

(略)

『思ったよりちゃんと「配信者」なんだね』

 

後輩少女からの好意を保留していた主人公が、ひと月の時間を経てついに返事をすることに。待たせ続けたのはアレでしたけど、しっかりと考えて答えを出したのは偉い。

しかし、ようやく返事を貰ったというのに御簾納はそれを断ってしまって――。

決して御簾納ちゃんが彼を嫌いになったわけではなく、今もなお好意は育まれていて、距離を縮めたい、触れ合いたいっていう欲求もある状況で。

 

どうして告白を断られたのか/断ってしまったのか。

それぞれの視点で悩んだり、対面したときにテンパってしまったりする様が、青春していて微笑ましさを覚えますね。

まぁしっかりと思いを告げあったのに、付き合ってませんという話を聞くことになった、御簾納ちゃんのラジオのリスナーだとか、駆け出しミュージシャン・ハセリバーのファンだったりは気が気じゃなかったでしょうけど。

 

主人公の妹である二胡がじれったさとかも相まって、独自に行動を開始。

御簾納と接点を持ったうえでラジオ出演まで果たすとか、思った以上にアクティブでちょっと笑っちゃった。

告白を保留したのには、いくつか理由があって。それぞれにしっかりと答えを出した上で、最後には告白の方にも決着がつくので良かった。

もどかしい恋愛模様もそれはそれで美味しいですけど、ここまでハッキリと自覚している以上引っ張りすぎるのもアレですからね……。

恋は夜空をわたって

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『――「サキさんは、先輩とは仲良くされているんでしょうか?」とのことですが。あー、結構言い合いにもなりますよ。そんなにこう、人のタイプが合うわけじゃないんで……』

『――でも、そばにいたいって思うんです……』

 

とある高校の図書委員で知り合った先輩男子・長谷川壮一と後輩女子の御簾野咲。

普段はつれない態度のクールな後輩だと思っていたが、ある晩に適当な配信を付けたら彼女らしき声がそこから聞こえて来て……。

ラジオのように話しかけたり、送られてきたメールに対応している配信。そのテーマは恋で……オマケにトーク内容からすると、御簾野が恋しているのは自分かもしれない。

 

そんな疑いをもった主人公が、彼女に探りを入れに行ったり、悪いとは思いつつ配信を聞くようになってお便りを送ったり。

それは普段と違う行動として御簾野の目に移り、「先輩私の配信聞いてる疑惑」として、逆に探りを入れられたりもするんですけど。

 

見ていると本当にもどかしいんですよねぇ。

思い立って配信を始めるだけではなく、それを続けた御簾野も中々根性があるし。

探り合いの中で離れかけてしまった距離を、主人公が自分から詰めに行ったのはなにより。まぁ妹からの発破とかも必要なヘタレ部分ではありましたが、秘密を打ち明けられたのは一歩前進でしょう。

中々微笑ましくもあるので、見守りたいですねー。秋予定の2巻も楽しみです。

三角の距離は限りないゼロ5

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「もう少し――矢野君はぼんやりしてみてもいいんじゃないかってこと。決めるべきときがくれば自然にそういう風になると思うし――それまでは、あまり焦らない方がいいんじゃないかな」

 

二重人格の入れ替わり時間。

段々と短くなるはずのそれが、近ごろは固定されていて。

二人はそれを、自分を同じだけ肯定できているからじゃないかと推測。

矢野が、それぞれに惹かれているのが分かるのが大きいとか。

 

それゆえに矢野は「二人に同じだけ恋をする」と言う約束を交わして、片方とキスをしたならもう片方とも……とバランスよく交際していくわけですが。

彼女たちが、矢野に対しておねだりするのが上手いというか、ガンガンアピールしてくるからな……

 

二人とも可愛いんですが、少し落ち着いて欲しいというか。

ちょっと前まで不調を期待していたように、矢野君あまり器用なタイプじゃないというか。

悩み始めたらどんどん墓穴を掘って行くように見えるというか。

まーた矢野君のメンタル耐久テストが始まってるよ……みたいな考えが読んでる最中頭の中グルグルしてた。矢野君のライフはほぼゼロよ……

 

想い人との関係だけでも悩みはつきないのに、進路希望調査まで始まって。

他の友人たちはそれぞれ目指すものがあって、自分のままならさばかりが目について。

なかなか悪い循環に入っていましたけれど。

職場体験で縁が出来たある人物にアドバイスを貰ったりして、少し前向きに慣れたのは良かった。

 

それが野々宮さんだっていうんだから、岬先生の他作品も読んでる人にはたまらない演出になってるんだろうなぁ。

失恋探偵、1巻だけ読んだ後積んでたような……あ、ちゃんと3巻までは買ってるんです……読まなきゃ……



日和ちゃんのお願いは絶対

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「……内緒だよ?」

 

『お願い』を絶対に兼ねてもらえる力を持った少女、葉群日和。

そんな彼女に告白された少年、頃橋深春。

優柔不断な彼女と、基本的に即断即決な彼とでは随分と性格が違いますが。

自分に無いものを持っているから憧れた、と言うことで。

なんやかんやあって付き合う事となり、それなりに楽しい恋人生活を楽しんでいたと思いますけれど。

 

国際情勢はなかなかキナ臭い状況であるようですし……

そもそも、絶対の『お願い』なんて力を持っている少女が、普通であるはずもなく。

これまでにもその力を奮ってきた前歴があって、彼女自身はおろか周囲まで狙われるような事態まで勃発。

世界の問題と、彼女の問題とが混在する、岬鷺宮流セカイ系。

 

日和ちゃんはなんだかんだで、優しい子で見守りたいタイプではありますが。

持っている力が強大過ぎて怖いんだよなぁ。だからこそ、彼女の近くにいようとする選択肢が、貴く描かれるわけなんですけど。

『お願い』するだけで、大抵叶えられてしまうというのは、あまりにも応用が利きすぎるし、その割には詰めが甘くて、もどかしい一冊でもありましたね……

三角の距離は限りないゼロ4

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「ただ――覚えておいてほしい。辛いことは際限なく積み上がることがあるし、逆に幸せだっていくらでも重なっていくんだ。つまり――幸せになることを、ためらわなくてもいいんだよ」

 

いや、今回はビター通り越してエグかった……

キャラ作りを辞めたはず。けれど、楽しかったでしょ? と指摘されて。

それとほとんど同時に、彼女に振られた。

強い衝撃を受けた矢野は、壊れてしまった。

あらすじでは「変わった」って言われてますけど、これは、大分致命傷というか。普通に鬱入ってそうだし、通院をお勧めしたい……

 

しかし矢野が不調であろうと時間は容赦なく流れ。修学旅行の計画を練る時期に。

去年までは男女2名の4人組という班分け方式だったそうですが、今年は自由になったそうで。他のクラスとも組めるって言うのはちょっと自由すぎると思いますけど。監督大変そう……

学園祭の時に縁ができたOmochiさん達が突撃してきて、班分けも混沌としてました。

いや、それぞれの主張は分からないでもないけど、柊ちゃんと細野くん引き離してるのはちょっとな……って感じだった。現地に着いてから調整はしてましたけど。

 

春珂と秋玻は、矢野を元に戻そうと奮闘してましたが……

自分で傷つけて救う、見事なマッチポンプだな……って思ってしまった。

別れて、どちらを恋人にするのか、はっきり選んでもらいたいというのは良いよ。取り合おうと奮起するのも良いよ。

ただ、行動に起こす前に、もっと言葉を尽くすべきだったんじゃないのか、と言いたくなる。友人たちのフォローもあって、最後には少し矢野も復調したかもしれませんが……エピローグが不穏だなぁ。



読者と主人公と二人のこれから

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「――傷ついたり、傷つけたりする覚悟はできた?」

「……ああ」

 

『三角の距離は限りないゼロ』と同じ学校が舞台なんですねー。

『三角』の2巻で登場した、柊時子と細尾晃がメイン。

細尾と幼馴染という事で広尾と須藤も登場してます。

これ読んでから2巻読んでたら、更に楽しかっただろうなぁ。

他の作品とリンクする描写とか、結構好きなんですよ。

 

『十四歳』という小説に惚れ込んで、読みこんでいた細尾。

高校に入学して、最初のホームルーム。早く帰りたいな、と思いながらクラスメイトの自己紹介を眺めていた。

そんな彼の、出席番号が一つ前の少女。彼女は『十四歳』に登場するヒロイン、トキコにそっくりで。

 

少し接点が出来て聞いたところによれば、彼女の姉が本の作者で、ヒロインのトキコは彼女をモデルにしているとか。

それがきっかけで交流が始まって……少しずつ距離は近づいていく。

けれど、「トキコ」と「時子」は似ているけれど、どうしても違う所がある。

人一人を一冊の本で描き切るのは困難ですし、そもそも人は年を重ね、変化してくわけで。

ズレが重なり、違和感を覚えるようになって……一度は、距離を取ったりもした。

それでも側に居てくれる友人がいる、というのは宝だと思いますねぇ。良い青春モノでした。


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