気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

川口士

魔弾の王と極夜の輝姫2

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「きっと、来てくれると信じてたわ」

 

部族「氷の舟」の力を借りて、イルフィング島に向かったティグル達。

しかし、「闇の緑星」のエフゲーニアによって撃墜されて……極寒の海に放り出されたティグルとソフィーは、しかしティグルの持つ弓の縁によって、ティル=ナ=ファに救われることになります。

まぁひとまず岸に運んでくれる、程度の助けでしたけど。意識を失っているところを、善良な少女リネアと出会えたところまでが女神の導きとみるべきだろうか。

 

エフゲーニアを筆頭に闇の緑星の関係者は、基本的にはソフィーの母であるマーシャを生贄に捧げようとしていた。

ヴェトール伯爵はその力を持って、北海王国を作ろうと画策し闇の緑星を利用していたわけですが。

……伯爵陣営に与した戦姫イリーナもまた、伯爵たちを利用して闇の緑星の秘宝を求めて、監視の眼をかいくぐって調査したりと。敵は強大ながら、一枚岩じゃないんですよね。

 

特に戦姫イリーナは、闇の緑星の秘密を探ろうとしているわけで。

ティグルやソフィーの起こす騒動を時に利用しようとしたりしてくるわけですけど。

狩りの経験を活かして潜伏して。見張りの動きを観察して道を進み、ソフィーの母が捕らわれている中央……集落へとたどり着いたわけです。

母を救いに屋敷に潜入したり……潜入を察知されて、マーシャを救えたけどソフィーが逆に捕まってしまったり。トラブルに見舞われながらも諦めずに足掻き続けたのは良かったですね。

この一連の騒動の後、2人が少し成長した未来の話も描かれていたのは良かったですね。ソフィーがリネアと変わらず仲が良いのも見てて楽しかったです。2冊でサクッと読めるのでオススメ。

魔弾の王と極夜の輝姫1

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「ソフィー、あなたにとっての光になってくれるひとに会ったら、大切になさい。そしてそのひとにとっての光になれるよう、努力なさい」

 

11歳のティグルが、ソフィ―と出会っていたらというルートが描かれる『魔弾の王』シリーズ。

他シリーズに比べると若い……というか、いっそ幼さもあるような年齢ですけど、それでもこの当時から弓の腕前は確かで。

一方のソフィーも、この当時だとまだ竜具に選ばれたわけでもない時期というのは、魔弾シリーズの中でもちょっと変わった部分ですかね。大体、戦姫と魔弾の王との関係を深めていく物語だったわけですし。

……でも、このくらいしないとエレンないしリュドミラと会っちゃうからな……。

 

ジスタート王国に使節団としてティグルの父が派遣されることになって。

それに同行したティグルは、ジスタート王国の北端にある港町イルフィングを訪れていた。十六年に一度、数十日もの間あける事のない夜が続く「大極夜」が起こるとかで……ちょうど、ティグルが訪問したのも大極夜を数日後に控えた時期だった。

大極夜を控えてにぎわう街を散策していたティグルは、猿ぐつわをされた少女ソフィーを見つけ……彼女を助けることに。

 

ソフィ―は、攫われた母を助けに行く為に父親が自分を置いて行動しようとしているのを聞いてしまった。

母が、イルフィングの領主であるヴェトール伯爵に攫われた。

父は娘を危険にさらせないと王都に置いていくつもりだったみたいですが。ソフィーはそれで大人しくしていられる性格をしていなかった。

そしてイルフィングに辿り着いたわけですが……ソフィーを「マーシャの娘」として狙う輩に追われる羽目になってしまったとかで。ティグル、この時期から弓の腕には秀でてるし、狩りの経験などもあってひとさらいに容赦なく矢を放てるのは強い。

 

ティグルとソフィーが子供で打てる手が少ないというのもありますが、敵は既に行動を起こしているし、そもそもイルフィングが敵の本拠地なのもあって、基本的には追われ続けることになります。

ティグルが父と合流しようとしても阻まれてしまいましたし。薄い手がかりをつかんで、使節団側でも行動を起こしてはくれてましたけども。

裏をかいて伯爵の屋敷に忍び込んだりとか、ティグルとソフィーも結構良い手を打ってはいますし。

故郷の村へ連れて行かれたという母を助けに赴いて……母の出身である闇の緑星の里があるイルフィング島へ渡る術を探し、闇の緑星と敵対する部族の協力をティグルが弓の腕を示すことで取り付けたり、それでも足を止めることない2人が実に強くて、微笑ましくて良かったですね。



魔弾の王と叛神の輝剣3

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「それなら他の方法を考えろ」

簡単なことを命じるような軽やかな口調で、想い人が言った。

「昔、勝ち目はつくるものだと言っただろう。新たな道をつくれ。分かちあってやる。何十年かかけて、いろいろなことをやってみて、それでもどうしても他に見つからなかったら、そのときはいっしょに死んでやる」

 

シリーズ完結巻。

アヴィンたちの奮闘で意思を取り戻したティグル。しかし、操られていた時期に部下につけられていたディエドが今度は操られ……腹部に刺傷を負うことになったりすることに。

一方アーケンに与する側も、セルケトが竜の牙2本を確保しアーケンに捧げ、敵の力も増していくことに。

 

ティル=ナ=ファの干渉を排除するために、魔弾の王の黒弓とか竜具を封じたり、他世界に手を伸ばしたりとかして、準備を重ねた結果ジスタート含め各国は厳しい状況に置かれていたわけですが。

奪った竜具を操る影まで駆使してティグル達の邪魔しに来るの、厄介すぎる。これまで頼もしい戦姫の武器だったものが敵に回ると面倒ですねぇ。転移できるエザンティスが相手側にあるのがだるすぎる。

ミルとアヴィンの元居た世界の戦姫たちは、竜具が反発してしまうから持ち込めない、という事で派遣される戦力として除外されて、子供達がやってきた、という理由もあったみたいです。

 

意識を取り戻したティグルがエレン達と合流して、アーケンに対抗するために再び協力できるようになったのは良かったですねぇ。

神に操られていたキュレネー国の行く末とか、同じく操られていたとはいえ王都落としに関与したティグルとか、悩ましい問題は多すぎますが。

それでも、対処すべきことを間違えず前に進むことが出来たのは、良かったですね。ティグルが操られていた件は、神の関与を表に出せないから薬物を使われたという風に誤魔化してましたが。思う所があるだろうジスタート兵の中にもティグルの味方をしてくれる人が居たのは、エレンも言ってましたが彼の積み重ねがあったからで、そこは良かったかなぁ。

アーケンを巡る一連の騒動に横からちょっかい出してたガヌロンが、自分の目的を見直すきっかけになっていたのは、予期せぬめぐりあわせだなぁって感もありましたが。

神を巡る厄介な戦いを乗り越えたのはお見事でした。

魔弾の王と叛神の輝剣2

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「どうすれば、戦姫様のように不屈の意思を持って、前を向くことができるのですか」

(略)

「答えになるかわからないけど……。僕は、いつ死んでも悔いのないように生きる、しぬまでにやりたいことをやると、そう決めている」

 

アーケンという神の力によって優位を取っているキュレネー軍。

敵方が封じていた竜具の一つを取り戻し、エレンが戦姫となったことはジスタート側にとっての吉報でしたが……。

しかし、魔弾の王となる素質を持ったティグルがアーケンに身体を奪われ裏切ったことで、王都シレジアは陥落してしまったわけです。

 

ティグル、ほぼほぼ身体を乗っ取られているけれど、わずかに意識が戻る瞬間があって。

本気で抵抗すれば隙が出来てエレンに斬られることも出来たかもしれない。けれど、ティグルは敢えてそれをせず、王都の悲劇をただ眺めるにとどめた。

自分の命と引き換えにしてでもアーケンを仕留める好機を、待つために。キュレネーの兵隊が神征を始めてから減らない理由とかを、内部に入り込んだことで知ることが出来たのは良かったですけど。

アーケン神の力で死んだ兵士のから魂を抜き取って、本来なら戦えない女子供老人にぶち込んで兵隊にしてるとか、外道がよぉ……。

 

出自が分かっていないジスタート初代国王。王都が暴かれたことで棺が空だと判明しましたが。メルセゲルはそれに疑いを持って、黒竜の鱗という手がかりを得て独自に暗躍。

かなり厳しい状況に置かれてもジスタートの戦姫たちが諦めず行動しているのは良かったですね。ミルがティグルを信じ続けているのも、戦姫になったこともあり自身の責任としてティグルを切ろうとするエレンも、それぞれの在り方を貫いている。

 

そして、何らかの事情があってティグルを探していたミルとアヴィンの背景についても明かされることになりましたが。

無数に枝分かれした可能性の世界……要するに並行世界からやってきたとか。ミルとアヴィンが来た世界は別々みたいでした。ミルはティグルがブリューヌとジスタート両方の王になった……最初の『魔弾の王』の世界から来たみたいですねぇ。

いろんなIF世界を描いてシリーズ展開している『魔弾の王』シリーズらしいルート分岐というか。アーケン神の力を恐れた魔物たちが行動を起こして、別世界からの応援を読んだとか予期せぬ事態が起こりまくってる世界線だなぁ……とも思いましたが。

諦めず足掻き続けた結果リュドミラの手に竜具が渡り、ティグルも自由を取り戻せそうなのは何より……。まぁ、そのタイミングで別のトラブルに見舞われてましたが……。



魔弾の王と叛神の輝剣1

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「だが、伝え聞く限りだと、勝ち目はないだろう」

「……君は、狩りをやったことは?」

(略)

「勝ち目はつくるものだ。俺は狩りのとき、いつもそうしてきた」

 

ブリューヌの王位をめぐる内乱を、少数精鋭の傭兵団を率いる女戦士エレンとともに駆け抜けてブリューヌの英雄となり、隣国ジスタートとの友好にも力を尽くしていた。

……それから5年後、南の大国キュレネーが『神征』を宣言し次々に周辺諸国を滅ぼし、ついにはジスタートにまでその牙を届かせようとしており、ティグルも手を貸すことになっていたわけですが。

 

ジスタートが誇る戦姫が5人も既にキュレネーとの戦いの中で命を落とし、ジスタートの王すら命を落としているかなりヤバい状況から物語がスタートしています。

ムマの継承者がオルガじゃなくて、オクサーナ=タムという女性になっていたりだとか。

そもそもエレンがアリファールの継承者になっていなかったり、リュドミラがラヴィアスの継承者になっていなかったり。さらには、ティグルの家に伝わっていた家宝の黒い弓とティグルの右目が2年ほど前の戦いで失われていたり。

戦姫アレクサンドラが健康になって、指揮を執っていたり。

これまでの『魔弾の王』シリーズを知っている人ほど、引っかかるポイントが多い感じですねぇ。

 

冒頭の戦いでオクサーナも味方を逃すために残り、命を落とすことになってしまうわけですが。

ティグルとエレンは、キュレネーの神官と思しき連中が竜具を封印する様子を見たり、彼らがアーケンという神の信徒を名乗るのを見て対抗策を探っていくわけです。

絶望的な状況でも諦めてないのは流石ですねぇ。

ティグルは家宝の黒い弓や過去の戦いで助けられた経験から、ティル=ナ=ファの情報を求め……マクシミリアンという墓守を探すことに。まぁ、ガヌロンだったんですが。はい。

 

調査に赴く中でティグルの黒弓に似た弓を持つアヴィンという青年と、ティグル達を探していたという銀髪の少女ミルという不思議な2人組と出会ったりもして。

ガヌロンから話を聞けたことで多少は情報面で前進しましたが。アーケン神が本当に降臨し、その力を与えていることでキュレネーの神征がとんでもないことになっているとか知っても、なかなか対処するの難しいですよねぇ……。

 

ティグルにはまだティル=ナ=ファに願うという道が残っていたのが救いというべきか。

ただ、ティル=ナ=ファを降臨させるためには竜具が少なくとも2つは必要だという情報も出てきて、キュレネー側の封印を暴きにかかったわけです。

エレンがアリファールを継承することが出来たものの、魔弾の王であるティグルの身体にアーケンが入り込んで乗っ取られる羽目になってしまったので、一進一退というか得るモノも大きかったけど損失もデカくてこれからが大変そうです。



魔弾の王と凍漣の雪姫12

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「大切なひとたちと、愛すべきこの地を守る。私はそのために生まれました。生涯をかけて、この生き方を貫くつもりです」

「おまえなら、できる」

 

『魔弾の王と凍漣の雪姫』完結巻。

最後の魔物となったズメイはティル=ナ=ファを君臨させるべく動き、使徒メルセゲル異神アーケンを降臨させるための準備をしつつ、戦乱を広める為にキュレーネーという国を焚き付けて、ブリューヌやジスタートに軍を向けさせるんだからいやらしい。

 

特にジスタートの争乱では、ブリューヌの時に助けてくれた戦姫達がかかりきりになる形となったので、本当にティル=ナ=ファ関連の問題はティグルとミラ、リュディで解決しなきゃいけなくなりましたしね。

……完全に応援がなかったかというとそうでも無くて、シャルルが割り込んできたりして中々混沌とした状況になったりもしてましたけどね。

 

ブリューヌを守るためにザイアンがアスヴァールに派遣されたロランに助力を乞いに行ったり、ブリューヌも内乱を経たとはいえ良い人材が居るなぁ、と言ったところ。

というか本当にロランが頼りになりすぎるんですよね……最初のシリーズ『魔弾の王と戦姫』での扱いもまぁ納得と言うか。

頼れる人々に助けられてきたからこそ、信じてティグルがティル=ナ=ファ降臨阻止に専念できる、と言う流れが良かったです。

今回のルートでもまた困難を乗り切ったティグルでしたが、あとがきによれば『魔弾』の物語構想的にまだ続く予定みたいで、全三巻というそれを楽しみに待ちたいところ。2023年初夏予定なのでまだまだ先ですけどね。



魔弾の王と天誓の鷲矢1

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「戦は、未だに怖いです」

「正直で偉いな。実は俺も少し怖い」

「ティグルさんもですか? 竜殺しなのに」

「怖いから、必死になって戦う。生き残るために力を振り絞るんだ」

 

『魔弾の王と聖泉の双紋剣』から一年後を描く新シリーズ。

リムの友人である商人、エリッサが誘拐された。それは彼女の親の出身である南国カル=ハダシュト関係者によるものだと推察され……。

さらに弓の王を名乗るネリーがカル=ハダシュトに向かったと思しき情報まで入って来て。

リムは戦姫エレンの命令を受け、ティグルを伴って異国の地へと赴くことになって。

 

現地では双王と呼ばれる指導者が倒れた事で、王を選ぶ七つの部族の間での抗争が激化しており……。

ティグル達も現地の協力者と接触した時点で、別部族の襲撃を受けることに。そのまま逃走に入るわけですが、現地の狩人から知識の教授を受けてから森に入りたかったと考える辺り、ティグル根っからの猟師だよな……。

戦争の経験も積んでますし、情報を得る度に「この地で戦をするなら」とか考えたり、思考が磨かれてはいますけど。

 

そして運よくエリッサと再会することは出来ましたが。

彼女は彼女で、この抗争から逃れにくい状況に置かれていた。各部族の指導者的な存在である弓巫女に就任する羽目になっていたのだ。

状況に流されつつ出来る範囲の事をして、それはそれとして商人としての利益も最終的には求めようとしてる辺り強かです。そもそもが誘拐されてきてますからね、という言い分は最もなのでなにも言い返せないのよ。

 

ティグル達は出来る範囲で勢力を拡大していってますが……弓の王もなんかおかしな状況になってるし、この抗争の着地点が現状だとさっぱり見えませんなー。

なにか弓の王には弓の王の目的がありそうですし、それ次第で状況は変動していきそう。

魔弾の王と凍漣の雪姫11

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「私が弓を使い続けていた最大の理由は、意地です」

(略)

「この意地が運命によるものだとは、認めたくありません」

 

ガヌロンが滅び、シャルルも姿を消したことでつかの間の平和が訪れる……はずだったけれど。

大陸全土で不可解で大規模な凶作が発生し、戦火が広がっていくことに。

ブリューヌは内乱直後だっていうこともあって、敵対勢力の残党が「一角獣士隊」としてまとまって各地の村落が襲われる事件まで勃発していて。

ティグルはリュディに呼ばれて、彼女に助力する事に。内部に協力者が紛れ込んでいたりもして、対処が難しかったようですが。

 

上手く策に嵌めることが出来てしまえば、魔物との戦闘経験もあるティグル達からすれば対処可能だったのは良かった。終盤で応援が来てくれたのも助かった。

10巻でミラの肌色回ありましたが、今回はリュディ。そっち方面の進展もありつつ、2人で抑えられそうなのは、『魔弾の王と戦姫』を想うと少ないのか。

 

ティル=ナ=ファ君臨のために動く魔物と、死の神アーケンの使徒とが本気を出してきて。

テナルディエの下にいたドレカヴァクも行動を開始して竜を差し向けてくるんだから、厄介な状況に陥ったりもしていましたが。

それでも退かない貴族が居てくれた(内乱で生き残ってくれていた)のは安心材料だなぁ。転移できるミリッツァもシリーズ通して顔出してくれていいですよね。割と彼女好きなんですよ。


魔弾の王と凍漣の雪姫10

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「おまえは、死者をよみがえらせる方法があると言われたら、どう思う?」

(略)

「ない方がいい」

 

魔物たちが一枚岩ではなくて、ティグル達のあずかり知らぬところでガヌロンVSウヴァートが戦って、ウヴァートがあっさり負けてるのがなんか面白い。

特殊な不死身の能力者なウヴァートをガヌロンが消してくれたのは正直有り難いですしね。種しらないと、ティグル達も苦戦したでしょうし。

 

ガヌロンとシャルルと直接対面したことで、ティグルがある程度敵の行動指針を読めるようになっていたのは良かったですけど。

……ガヌロンがこちらの大戦力であるロランと戦姫を足止めし、シャルルは王都に乗り込んでレギンを討つ、という考えはすぐに理解は得られず。

 

ティグルとザイアンがちょっとした勝負をすることになって。

その話題をだした軍議までの間に、ヴォルン隊とテナルディエ隊の兵たちの間で何度か衝突も起きていたそうですし……ミラ達は状況を利用しようとしてるのに比べると、まだまだティグルは青い。でも、満点は無理でも及第点貰えるようになってるのはヨシ。

戦果もかなりあげてますしね、ティグル。あちこちで成長を感じられる。

ロランをして「もっとも勝利に貢献した」と言わしめて、彼の行動に変化を齎すくらいですし。

 

ティル=ナ=ファ信仰の両親に育てられた女性からの情報を得たりして、少しずつ前進もしてる感じはしましたが。シャルルが相変わらず全力で突っ込んでくるのが怖くてしょうがない。

レギンが、王宮から逃げないって覚悟を決めていたり、良い場面見られたのは良かったですけどね。

己の願望のために駆けたガヌロンでしたが……最後には、忘れてしまった約束がために刺されることになったのは、まぁ当人的には満足のいく終わり方だったのでは。

……それで国内ひっかきまわされた側からすると、たまったものじゃないですけどね。

魔弾の王と凍漣の雪姫9

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「あなたたちに私の好きな言葉を送るわ。――諦めなければ終わりじゃない」

その通りだと、ティグルは思った。これまで何度も厳しい現実を突き付けられてきた。それでも諦めず、前に進み続けた。だからこそ、いまがある。

この戦いも、決して諦めない。ティグルはあらためて決意を固めた。

 

ガヌロンがシャルルを復活させて。

蘇ったシャルルは「国奪り」を目的に掲げ、ロランをあしらいティグルの投擲も受け止めて、とかなりのスペックでこちらを圧倒。

あそこでガヌロンが回収に来てなかったら終わってたかもしれない、と言うのは中々厳しいものがありますね。戦力差がいつも大きすぎる、と言いますか。

 

三百年も時がたつと伝承は歪むものですが。……ガヌロンが意図して情報を抹消した部分もある、っていうのが厄介極まりない。

戦場で楽器を弾いていたとか言う伝承が、実は「弓弦を引いた、を弦を弾いた」に改編されたというもので、弓を忌避する風潮の発端もこういう所から生まれたのだろうか。

シャルルただ蘇っただけではなく、かつての友と交わした約束を気にかけている描写が多いので、なにか別の思惑を持っていそうですが。

……それはそれとして若い身体満喫してるのが食わせ者だよなぁ。

 

敵対側には始祖を名乗る力強い戦士がいるけれど、ガヌロンの積み上げてきた悪評があって。

一方でこちらは女王が認められていない国で、これまで王子と身を偽っていた王女レギンがトップになっている。

お互いに弱みがある中で、それでも与することを選んだ人員は貴重な財産とも言えそうですが。

魔物たちの暗躍を知っている読者目線としては、やっぱりティグル達に頑張ってもらいたいところであります。

 

公爵が亡くなったこともあってリュディの母が縁談を持って来たりして、それを切っ掛けにティグルに改めてアピール。

母から聞いた話を元に、ミラとの共同戦線を立ち上げようとしていたり、恋する女子は強いわぁ。

私的な問題にも挑みつつ、始祖シャルルへ対抗するために戦場に立つことも選ぶんだから、このシリーズの女性陣は本当に強いわー。


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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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