「なぜ、もなにも。おれは五百年前の人間で、ミルは俺にとって、戦友であり友人なんだよ。おまえらにとってあいつがどう、なんてこと……最初から、知ったこっちゃない」
仲間と力を合わせ、邪悪な竜を討伐した勇者の一人、コガネ。
しかし彼は、時の権力者に疎まれて幽閉されることに。
竜を討伐した際にその力の一部が流れ込み変質していた彼は、長き幽閉の中でも死ぬことは無く。五百年の後に、塔から解放された。
それを為したのが、かつて彼が討った邪竜の転生体の少女・アイシャだというんだから、変わった縁ではありますね。
アイシャがコガネの中にあった、竜の力を回収したことで彼は人間に戻ったようですが。
食事もいらぬ体に衰えはなく。解放された直後でも問題なく動ける状態。
オマケに彼が封じられていた間に、多くの知識が失われてしまったらしく……
脱走を阻みにきた兵隊を容易く蹴散らしていたのには、正直笑ってしまった。
コガネを封じた国も既に滅んでいるため、復讐する相手もおらず。
自分と同じように、仲間も生き残っているのではないかと旅に出て。
道中で色々と揉め事もありますが、かつての英雄を止められる相手などいないので、強くてニューゲームしてる感じではありました。武芸の失伝が痛いなぁ。
戦闘入ってもサクサク解決するのでスピード感はあって、読みやすくはありますね。
書き下ろしのショートストーリーに挿絵をつけたのはグッジョブ。可愛かったです。