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病は気からという。意味は逆だが。そして恋の病という言葉がある。たいてい、悪い意味でつかわれないのだが。その二つを組み合わせた結果、ひたすら彼女が可愛いと思い続けてみることにした。なにしろ彼女はかわいい。よしだいぶ病んできている。



「好き」という気もちがわからない「俺」。
「好き」という気持ちに身を焦がしている「僕」。
この二つの視点が織りなす話。
「俺」の隣には「彼女」がいて、「僕」はその二人を遠くから見ていたり、時に不気味に近づいたりしています。
端的に言って僕はストーカーっぽい。っぽいっていうか、構成要素はおおよそストーカー気質。

いいかえると、ポジティブルートとネガティブルートみたいな感じですかね。
何となく付き合いが続いている「彼女」と、友人以上恋人未満みたいな関係を続けていた「俺」。
なんでこの関係が続いているんだろうと考えたとき、彼女を好きになればそれが理由になるんじゃないかと思い、4月から、1年間をかけて彼女を好きになろうと試みる。
その発想が酷いというか、頭良くないのにややこしい頭だと12月に言われていますが。
まさしくそんな感じで、考え過ぎて空回りしている感じ。

一方で僕は、彼女の事が気になりつつも生来の性格なども合わさり、声をかけられずにいる。
そして、行動を起こしてみたは良いものの、かなり不審者で、最終的には避けられたり、気分や状況などを合わせて、大分落ちていってる感じが。
こっちのルートにはほとんど救い無いので、なかなかアレです。
ただ、僕視点からみた「俺と彼女」のやり取りは、結構面白かったり。

もう俺と彼女は、傍から見ていると普通にカップルみたいですけどねぇ。

「それは、わたしの一番嫌いなことね」
「なんで好き? とかきかれるのも、どこが好き? とかも最悪」
「だって理由を好きになったわけじゃないの。わたしはっ、ほら・・・・・・」

「言わなかったことに、『理由』があるのよ」
「なんか褒めるときに、すごいすごいって何回も言っていたら逆にすごくなさそうに思えるでしょ? 言葉は流し放題の水。味が薄くなるのよ。だから、こういうのって口にしない方がいいと思ってた」


12月あたりからの「彼女」が可愛くて、結構楽しんで読みました。
「彼女」には「彼女」の哲学とかがあって、それでも「俺」の近くにいたってことで。
こういう距離っていうのは結構羨ましいような気もしますな。
まぁ、劇的な事件が起こるわけでもないから、淡々と進んでいく感じもあります。
ただ個人的には結構気に入りました。