「やったぜアイリーン、おまえの心が狭いおかげで話が早いぞ」
「口を慎みなさい!」
ノベルアップからの書籍化作品、なのかな?
WEBはなろうとカクヨムをいくらか読んでるだけで、余りWEB小説のプラットフォームに詳しくないんですが。
作者さんのTwitterが面白かったので、気になって購入。
タイトルから分かるように、悪役令嬢モノです。
まぁ、一作好評なのが出ると類似テーマの作品がバンバン出てくるのもWEB小説ですが。
テンプレートで言うと「主人公が、乙女ゲームの世界に転生したら、主人公に嫌がらせをする悪役令嬢だった。このままいけば破滅が待っているので、それを回避するために奔走する」みたいなのが多いですよね。
婚約破棄要素を混ぜて、破棄される場面で覚醒したり、本編よりも前に気付いて回避のための作を練ったり。要素を足し引きして、個性を出していくわけですが。
この作品の個性は「ところてん式」。容器から押し出られるところてんのように、心が入れ替わる。プレイヤーの意識が悪役令嬢に入り込み、悪役令嬢の魂は本来の主人公役の令嬢に入ってしまった。
ところてんというか、もう魂の玉突き事故みたいな感じですけど。本来の令嬢の魂はどこいっちゃったんでしょうね……
あと転生モノではなくて、ゲームをプレイしたら意識が切り替わった、憑依モノとでも言えば良いのか。なので、目的はお互いに元の身体に戻る事。
その為に秘密を知る者同士協力する運びとなりましたが。悪役令嬢が、その性格ゆえに周囲とバチバチに激突し、我を貫き通す性格だったため、早々に従者に信じて貰えてたのはラッキーでしたね。
理解者が増えるのは良いことです。打てる手が増えますからね。
とはいえ、悪役令嬢アイリーンの身体に入った現代の大学生コノミは、かなりのゲーマーで……思考回路が中々に極端で、読んでる最中ずっと笑ってましたね。
コノミが乙女ゲーになれていないこと。主人公シャーロットの身体に入ったアイリーンが、変わらずに気ままなこと。それらが合わさって、相乗効果でまぁ男性陣がひどい目にあってました。
フラグを折る。フラグを折る。フラグをこれでもかと折る!
秘密を暴露して学校を辞めさせる。得意ジャンルで逆にボコボコにする。池に叩き落す。贈り物をすれば、それを活用して別のキャラとの親睦を深める。
信じられるか、これ全部攻略対象に主人公ズがしたことなんだぜ……
身体に戻る条件を「誰かのルートに入って、エンディングを迎える事」と推測していたのに、どうしてそうなるの……
俺様キャラのはずなのに苦労人属性が生えたドミニク先輩が、笑えて好きですね。「おととい来やがれ青二才」とか言われても、交流にいくメンタルの強さは尊敬する。