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「解りました。やるだけやらせてもらいます」

雪さんにああ言った以上……信じてみよう。不幸を呼ばない探偵をやれることを。

 

入学早々失敗をしてしまった、男子高校生戸村和。

自己紹介の時にうっかり、実家は探偵業をやっていると口走ってしまったのだ。

探偵をやっているのはあくまで父なのに、クラスメイトから浮気調査の依頼をされてしまって。

 

性格もあって、そこで断り切れずに調べる事になったのですが。クラスで両隣の席に座っている双子、活発な姉と冷静な妹に、なぜか事情を説明する事になって。

戸村君はかなり振り回されていますが、三人であーでもないこーでもないと、情報を整理していく中で、真相に迫ることが出来て……

 

それが評判になってしまい、事件が事件を呼ぶような状態に。

どこかで連鎖を着れれば良かったんですが、戸村君かなりの巻き込まれ体質で、断れないくせに引き受けたからには出来る事を尽くそうとするからなぁ。

雨恵からは、「損しかないような性格」と評されてましたが、それが全く間違ってないからなぁ。

 

素人の推理だから、報酬を受け取らないのも正しいけど、無償でやってるから人が寄ってきてる面もあるんだよなぁ。難しい。

家庭の事情もあって、戸村君自身は「探偵」に関して色々と思う所があったようですが……ネガティブ寄りだったそれに、少しでもポジティブに向き合えるようになったので、彼自身の為にもなっているのは、一つの救いでしょうか。

BOOK☆WALKER電子版には、巻末に書き下ろし短編『訊かないでほしいことほど訊かれる気がするのはたぶん、訊かないでほしいことを訊かれた時だけ記憶に残るから』。
本編終了後の一幕。双子とは別行動してる戸村君が、浮気調査を依頼してきたギャルに囲まれる話。
話題は「いったいどっちと付き合ってるの?」。
それに対する戸村君の回答よ……彼女たちが穏やかな顔になるのも分かる。
「友達の幸せ呪うようになったら本格的に負け組っぽいしさ」と言って、応援してくれるのは偉い。
まぁ、下手につつくより見守る方が楽しい三人ですよねアレ。