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「落としたりなくしたりした物が戻るのは、戻るべくして戻ってきたってだけだよ」
「え……?」
「『そこに在るべきだから在る』って思うんだ。俺は。物品も、人も」
……そうであって欲しいと思う。何もかも、必要だから今そこに在るって思いたい。
食堂での手伝いを続けながら、趣味を楽しんで生きてるタクト。
地球の知識で紅茶を使ったケーキを作ったりしてましが……この世界では、紅茶は貴族のものという認識で使い方が周知されておらず、驚かれることになったりもして。
なんだかんだ異世界に居場所が出来てはいるけれど、下手に生活できている分、常識的な部分の差異とかには気付きにくいか。
……事情を知っている周囲の人々も「他国の貴族」説を認識してるせいで、なかなか齟齬に気付きにくい環境でもあるしな……。
知識の貴重さとか、金銭感覚のズレとかもあって衛兵たちの警戒……というか、警護段階が引き上げられて、家族経営なタクトの食堂の近くに兵の宿舎兼避難所を建ててまで、近くに衛兵がいる状況を創り出してるの、本気すぎて笑った。
いやまぁ、他国の貴族って言うのは間違った情報ですけど、魔法の使い方が巧みで知識が豊富という点で貴重な人材っていうのは間違いないですからね。
宿舎設営、タクトの警護って言うのは目的の一つであるみたいですけど。……シュリィーレの街、広大なうえ冬になると雪も降って街の往来も難しくなる環境で。
過去にもタクトの働いている食堂で雪で宿舎へ帰還できず、一時避難させてもらった衛兵さんとかいるみたいですし。必要な設備投資ではあったみたいですけどね。
シュリィーレ、直轄地ということもあってか貴族も結構来訪する街ではあるみたいで……そういう「何か」を抱えた相手とバッタリ遭遇する辺りタクトの引きは凄まじいですねぇ。
教会にある司書室でも、なんか隠された部屋発見して、長年探されて居たっぽい蔵書発見したりしてるし。
タクトが今回新しく知り合ったのが、神話にこだわりがありそうな人だと思ったら最高位の聖神司祭セインで。
この街で衛兵やっているライリクスさんの兄であったとか。なんか変わった御仁らしいみたいですけど、タクト流の神話の解釈が刺さって評価されてるの笑った。
タクト君、この世界の成人年齢である25歳になって。成人であることが条件である、魔法士一等位検定を受けることになったりとかもして。
その検定で変な奴に目を付けられたりしてたのは、タクトの腕ならそりゃそうなるか……って感じ。良い人も多いですけど、成人の儀の時未だに噛みついてきたミトカみたいに、相容れない相手もいますよねぇ……。
タクト発案の身分証入れ、商人タセリームと契約して販売してましたが……タセリームが、タクトに断りを入れずに勝手に増産しようとしていて、信用を失ったことで契約破棄に至ったりもしてましたし。
タクト、自分の軸がちゃんとあって切り捨てる時はバッサリ行ったの、ちょっと痛快でしたけどね。




