気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

手札が多めのビクトリア

手札が多めのビクトリア3

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「ふうん。私さ、仕事をしているお母さんを初めてみたけど、かっこよくて驚いちゃった。キリリとしていて、デル・ドルガーよりもずっとかっこよかった!」

 

イラストレーターが、牛野こもさんに変更になって贈られる3巻。

アシュベリー王国は周囲に4つの国があり、各世代で順番に王妃を迎え入れることでバランスをとる外交を行っていた。

次代を担う王太子妃として迎え入れられたのは北方、イーガル王国出身の侯爵令嬢デルフィーヌ。彼女は、王太子と良好な関係を気付いていたようですが。

イーガル王国内部でのいざこざがあったり。さらにアシュベリー王国は近ごろスバルツとの境で金鉱脈が見つかったことで緊張感が高まっていたりと、ピリピリした状況だったようですが。

 

それはそれとして、ノンナはクラークに誘われて歌劇を見に行くデートをしていたり。

アッシャー家としてみれば、軟膏用の工房の改修工事が終わり稼働を開始しようとしていたりして、色々と順調に進んでいる状況ではあったんですよね。

ノンナがちょっとお転婆に育ちすぎて、淑女教育は「もうすこし頑張りましょう」な部分はあれど、3人家族は幸せに過ごしていました。

 

ただ先述の通りアシュベリー王国はいま悩みの種が多く……。

そんな中で、祭事で王太子妃が表に出る予定が近くにあって。アシュベリーの工作組織が影武者を立てることになったわけですが。

その影武者が別の任務先でトラブルに遭遇し、負傷。影武者を任せるのには不安が残る状況になってしまった。

そこでジェフの兄エドワードはビクトリアの経歴を知っていることもあって、彼女に代理を頼めないかと画策することに。

 

ビクトリアは悩みながらも、この話を聞いたうえで断ってその上で王太子妃に危害が加えられれば、心に傷を負ってしまいそうだから、という利己的な理由も含みで受諾することにして。

ノンナには隠して仕事に出ることになっていましたが……残されたノンナ、どうにか城に潜入できないかと画策するし、ちょっと夜に抜けだしたりするし、怪しい人物への警告からの攻撃に躊躇いがないしで、スペックは本当に凄腕工作員だよなぁ……。

周囲の人々の薫陶もあって、善性に育ってくれていたからこそ、ビクトリアが警戒している「命を奪う一線」を超えずにいてくれているのが良かった。

まぁ、ノンナ実母に捨てられていたのを察しつつも、ビクトリアとも良好な関係を築いている、元から良い子ではありましたけども。

 

ビクトリア、出来る範囲での情報収集をしっかりして、手札が限られた状況でもある程度真相に辿り着いているのが凄いですねぇ。

現役の工作員から教官になってもらえないだろうか、と思われているのも納得。

エドワードの隠された仕事とかに推察をつけたりして、アシュベリー王国の裏事情にも詳しくなってきてるし。王太子妃との縁が出来た事で、表舞台でも注目を集めることになるし。彼女たち夫婦の望む平穏とは少しずつズレてしまってはいますが……それでも、彼女たちの周囲に大過なく騒動を超えられたのは良かったですね。

手札が多めのビクトリア2

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「君は君の好きなことをやるべきだ。俺は君が暗号を解くときの表情を見てみたいと思ってるよ。真剣に暗号を解いてるときの君はきっと美しい表情をしてるはずだからね。俺の妻はなんて魅力的なんだろうって、惚れ惚れするに決まってるさ」

「ふふふ。ノンナが聞いたらまた呆れた顔をするわね」

 

1巻で、ハグル王国から脱走しアシュベリー王国へとたどり着いたビクトリアの物語は、大きな山を越えひと段落しましたが。

脱走工作員の生存がハグルにバレたため、ビクトリア達はシェン国へ活動拠点を移していたわけです。

そんな終わりから5年。ついに彼女たちはアシュベリー王国へと帰還することになって。

 

ビクトリアの事情を把握しているエドワードとマイクが、色々と配慮してくれてるのもありがたかったですねぇ。

彼女の名前は偽名だったわけですが、アシュベリー王国へ戻ってきたなら以前付き合いがあった人とも出会うだろうから、ビクトリアはミドルネームとして残すことを認めてくれましたし。

ヨラナにスーザン、バーナードにクラークなど。ビクトリアとノンナを知る人々が、彼女たちを受け入れてくれたのも良かった。

 

ノンナは12歳になって美しく育ったけれど、ビクトリアの教えの下で強く育ったし、シェン国で武術も習ったこともあってやんちゃ盛り。

一方でクラークは資料管理部での仕事を始めていたので、ある程度の落ち着きを身に着けて始めていて。

前までのように遊びたいけど反応の違いに戸惑うノンナと、対応に青さと努力が見えるクラークの様子は微笑ましかったですね。

 

シェン国で得た薬の知識とかで、新しい縁が出来たりもしていましたけれど。

ビクトリアの工作員としての知識や経験が失われたわけではなく。久しぶりに再会したバーナードから結婚祝いとして贈られた、有名な作家の直筆原稿には暗号が隠されているかも、なんて面白そうな話を聞いて。

実際に読み解いてしまうんだから大したものです。解き明かせたのは前半部分だけ、というか。ある場所について記されていただけなので、答えを知りたければ現地に行かなければならないという状況になって。

 

夫でもあるジェフリーが、ビクトリアの在り方に理解を示してくれて、旅行という体裁で謎解きに付き合ってくれたのは良かった。

……まったく別件の問題に遭遇して解決したり、解き明かした謎が大きな利益をもたらすものだったり、ノンナを惑わせる出会いがあったりと大わらわですが。

年月を重ねて夫婦関係も良好な中で、趣味としての活動にも力を入れているのがいいですねー。

手札が多めのビクトリア1

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「本当にこれも君が教えたのか? 危ないと思うが」

「危ないことを全部遠ざけていたら守られるだけの女に育ってしまいます」

 

WEB既読。               

ハグル王国の工作員として育てられたクロエ。幼少期に親元から放され、専門の訓練を受けてエースにまで上り詰めた。

仕事がら家族に会うことは出来ないけれど、仕送りをすることだけは出来たから、自分の頑張りは無駄ではないと思えた。

 

しかしある時故郷を訪れてみたら……何年も前に、彼女の家族が死んでいたことが発覚。他の組織メンバーにも家族の訃報だけは知らされた筈なのに、自分は教えてもらえなかった。

その事から組織に不信感を抱いた彼女は、工作員生活からの逃走を決意。やめようと思って辞められる仕事ではないし、ただ逃げても追手が掛かる。

だから入念に準備して、2つ隣のアシュベリー王国まで渡り、ビクトリアと名を変えて生きていこうとした。

 

実際辿り着く所までは問題なくこなしたんですけど、到着した直後に親に捨てられた少女ノンナと出会ったり、ひったくりを捕まえたりとイベントがひっきりなしに発生。

でもひったくりを捕まえるのに協力した事で騎士団長との縁が出来て、異国人がいきなりノンナを引き取って育てたいと言いだした時に身元保証人を引き受けてくれたわけですから、結果的には良かったんですよね。

その後住む場所を探していましたけど、それもまたひったくりに遭遇した貴婦人との縁によって獲得したわけですし。

 

工作員のエースだっただけあってビクトリアのスペックは高く、偏屈な研究者の助手と言う仕事をしっかり見つけてますし、念願の日常を満喫してるんですよね。

保護する事になったノンナや騎士団長、家主や仕事先の人々との関係も良好ですし、安心して読めます。

そうやって情が移って行動が鈍りそうなタイミングで、工作員としての過去が追い付いてきて、逃げる選択を取る羽目になるんですから、中々上手くいきませんね。

 

でも、積み重ねた時間は決して無駄ではなくて、良い決着を迎えてくれます。1冊でまとまってるので、気になった方はぜひ。

ちなみにWEBには本編から数年後のエピソードを描いた「ビクトリア2」が掲載されてるので、人気出たようだったらそちらの書籍化にもつながると、個人的には嬉しいですねー。

プロフィール

ちゃか

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