気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

暁可奈

春夏秋冬代行者 秋の舞 下

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「頑張って、撫子。貴女なら出来る。俺はすぐ傍で見守りましょう」

 

橋国・佳洲の秋の護衛官・ジュード。

彼はある目的をもって撫子を拉致することを決めて。現人神を手中に収めるために、敢えてその神威を使わせて、意識を失わせるって言うのは荒っぽいながら効果的だよなぁ。

竜胆と侍女の真葛が致命傷を負わされたことで、必死にそれを救命しようとして……実際、成し遂げたのだから彼女の腕も磨かれてて良いですねぇ。

……それだけ過酷な状況に置かれてきたということで、なんとも喜びにくいですけど。

 

独自行動をとっていた雷鳥が追ってくれてたのは、まぁありがたかったか。

危険な状態だった2人は辛くも命を拾って。真葛さんは起き上がれないほどでしたが、護衛官の竜胆はそれでも助けに行ったんだから、流石というかなんというか。

同じようなシチュエーションだったのもありますけど、シリーズの途中で最初の頃のエピソード回顧するの良いですよねぇ。春の護衛官さくらと初めて会った時に発破かけられたのを思い出して、自分の秋を取り戻すために動いたのはお見事でした。

 

さて佳洲の秋の護衛官ジュードが果たして、何を考えていたのか。

秋陣営に傷を負わせて現人神を拉致した上で、撫子自信を害する気持ちはなく。彼は、ただ佳洲の闇を暴きたかった。そのための証人として大和を巻き込んだのだ、と。

自らの身の危険を顧みず踏み込んでいくあたり、四季の関係者というか。護衛官らしさはありましたが。現在の彼の立ち位置は秋の護衛官だけど、彼の歩き始めた場所はまた違っていて……そこがリアムの行動につながるんだから、やっぱり主従のすれ違いは悲劇招きがちね……。

 

佳洲秋主従の騒動がありましたが、闇を暴きだすという大目標は達成できてましたから、そこはまぁ良かった。

ただ撫子が2回攫われる羽目になって、周囲の人々に傷が増えたのはなぁ……。

大和に残っていた春主従、夏主従の片翼もまた独自に動いてより春夏秋冬の絆が深まった部分もありますが。

 

良かったことでいえば撫子の夢に関する竜胆の父親が語っていた下りが真実であるならば、秋陣営は少なくともある程度の未来まで無事ってことですしね……。まぁ命があるとしても、今回みたいに拉致されたりとかのトラブルには遭遇してそうですけどね。夢の中の竜胆が、今はいつか確認してきてたり「また来たんですね」とか言ってる当たり、実に怪しい。

……まぁあと上巻で竜胆父が心配していた、長生きする秋の神様は護衛官を手放さないって話も、懸念材料にはなりうるのかもしれませんが。主従の絆の強さを見ていると、それもまた良いんじゃないかと思えるんですよね……。

 

メロンブックスで購入したんですが、「人生行路」が好きでしたね。佳洲の幼い冬主従に大和の夏の双子神が、大和の冬について語って「冬のあるべき姿を見た」と思っているシーン、短編のメインとなる部分ではないんですけど好きな描写でした。



春夏秋冬代行者 秋の舞 上

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「俺も貴女が平穏に暮らせないことが辛くて許せません」

 

大和では春の代行者が季節顕現の旅を続けている時期。

秋の代行者・撫子は、『春の舞』・『夏の舞』の騒動を経て刷新された侍女と護衛を伴って、花見をすることになって。夏の陣営から護衛犬が派遣されていたりして、楽しそうな日々を送れているのは良かったですね。

……ただし、そんな中で護衛官の竜胆は忙しそうにしていた。それは外交部から持ち込まれたとある厄介ごとが原因で。

 

海外にある「橋国」の代行者から交流したいという要請があり、それが秋の陣営に持ち込まれていた。

雛菊が8年行方不明になっていた時期の様に、トラブルが起きた時に応援を頼める「互助制度」というのがかつてはあったようですが。異国に赴いた代行者が危害を加えられる事例があったために、大和ではその制度を放棄していた。

そもそも海外は大和よりも賊の活動が活発であることなどから、互助制度復活を狙う動きがあってそれに利用されかねないから、と竜胆たちはそれを受け入れないつもりだった。

 

しかし橋国も引かず……。春夏冬の陣営にも声掛けをしてきたし、最悪の場合は向こうがこちらにやってくるという提案までされて。

危険な地域に赴いて守るために尽力するか。過激な賊を招き入れる可能性を考慮してでも、迎え入れるべきなのか。最初に打診された秋が断ったことで、他の季節に迷惑をかけてしまった可能性。

そういういろんな思惑を考えた結果、再打診された秋陣営はそれを受けることを決めたわけですが。

 

いざ動く時に、夏の双子神の片翼である瑠璃と雷鳥、冬主従も出てきてくれたのはありがたかったですね。

季節の祖として、狼星は最終的に冬がその交流を受けるつもりだったみたいですけど。ただ、初手で提案を受けても軽んじられるから突っぱねたとか。そういった交渉のやりとりと、それぞれの季節を思いやった結果として、秋が受けてしまったのは悲しいすれ違いでしたね……。

 

春の誘拐事件を経て竜胆が彼女への愛を自覚するようになって、より大事にするようになっていたわけですが。

これまでの両親との距離感とかで示唆されていたものの、撫子が幼少期に置かれていた状況から、「良い子」であろうとし過ぎる彼女の在り方とで、秋主従の中でも微妙にすれ違いが起きていたのは、心配材料ではありましたね……。なんせ『秋の舞』の主役なわけですし。

橋国側のトンデモ要求をはねのけたり、今の竜胆は必死に主を守ろうとしていますが、最初期はそこまで必死ではなかった。そのことを知っている父との会話を撫子に聞かれたのも痛かったというべきか。

 

橋国での出来事がメインではあるけれど大和残留組である春主従とかの視点もしっかり描いていてくれたのは嬉しかったですねー。

瑠璃と狼星が初対面の時のいざこざを引きずってここまで来てましたが。季節の祖としての冬には、必要な態度というものがあるというのを、瑠璃が一緒に外交の場に出ることで感じて、少し態度が軟化したのも良かったですが。

……そうやって大和側が協力していてもなお、異国の地というのはなかなか動きにくいですよねぇ……。最後が不穏すぎる。

春夏秋冬代行者 暁の射手

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「花矢様。先程のお言葉ですが……おれも貴方が居てくれたら、それで良いんですよ」

 

既刊『春の舞』から『夏の舞』は、時系列的に直後の話でしたが。

この『暁の射手』では秋が巡り冬顕現が始まっている時期になっていたので、ちょっと驚きました。

夏と秋の間のエピソードで、次が出るとして秋主従の話をやるのかと思っていたので。

秋の舞が出るとしたらここから半年ほど経った、次の秋顕現の時期になるんですかね。……『春の舞』から一年以上たつわけですし、また族の活動が活発になりそうなのは気がかりです。いやまぁ、代行者があり続ける限り不満を持つ過激派も尽きないでしょうけど。

 

閑話休題。

大和の北端エニシにおいて、朝を齎す儀式を行う「暁の射手」。

当代を務める少女・花矢は毎日登山して神事を行うのと同時に、射手であることを秘匿して学校に通ったりもしていた。

これは歴代の射手が待遇改善を訴えて勝ち取った権利のようで、朝を齎す儀式を行う時間が黎明であることもあって、なかなか大変な生活なようです。

 

当人は学生生活をそれなりに楽しんでいるようで、大変だろうと続けてるとか。これは一つ所に留まれる射手たちならでは、ですねぇ。

これまでメインで登場してきた四季の代行者たちは「移動する現人神」だし、賊も狙っているから、こうして通学するって言うのは難しいでしょうし。

そして当たり前ですが四季には四季の悩みがあるし、射手には射手の悩みが存在して。

 

花矢は守り人として選んだ青年を、ずっと自分に縛り付けることになることに苦悩し続けていたようです。

守り人の弓弦はすべてを納得したうえで彼女の傍にいるのに、悩んでいる花矢が彼に「守り人を辞める選択肢だってあるだろう」という主旨のことを言い続けるのがおもしろくはなかったりして。

親しいけれど、互いに踏み込み切れない。そんなもどかしい状態だったのが、少しずつ変化していって、良い方向に進もうとしたところで事件が起きるんですからたまりませんね……。

 

動揺した花矢は、黄昏の射手・輝矢にあるお願いをして。

そこから秋主従や冬主従も関わってくることになるわけですが……話を聞いてからの四季の代行者の動き出しが早いこと早いこと。

今代の代行者たちの縁がどんどんと繋がっていくのがいいですよねぇ。

『夏の舞』の時には、エニシにある神社を頼ってそこから伝えてもらう、みたいな遠回しな伝言を頼むしかなかったのに。あそこで接点が出来て、輝矢から竜胆へ直通で連絡出来たりするんですから。

 

代行者たちの協力プレーでウルトラCを通すの、読者目線だと盛り上がって嬉しいですけど、管理する側の四季庁に本山は悩ましいだろうなぁというのも、ある程度分かる。

とは言えこれまで出てきた上層部に暗躍してる人が多すぎて、印象良くないからなぁ。現場には代行者たちの味方してくれる人もいるので、丁度いいバランスで落ち着けば良いですけど、どうなりますかねぇ。

ひとまず今回の騒動に関しては決着を迎えましたし、暁主従が健やかであることをあの世界の神に祈るとします。

 

今回もメロンブックスで特典SS付のものを購入しました。

事件に関与してなかった春主従の様子を描く「春隣」、本編後の黄昏の射手陣営を描く「籠鳥恋雲」に同じく本編後の夏主従の話「芝蘭の友」の3本収録。

しっかり護衛官してる雷鳥が見られた「芝蘭の友」が結構好きですね。「冷遇に慣れないで」とハッキリ言ってくれる彼が夏の双子の傍にいてくれるのは、結構な救いだと思う。

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