気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

書籍化作品

八男って、それはないでしょう!9

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「まぁ、俺はどういう結末になってもいいですよ。初戦は余所者えすし、最悪途中で逃げ出せます。でも敗戦した場合、ニュルンベルク侯爵も今さらあなた方を許すかな? 彼は中央の力が強い帝国を作りたいでしょうから、一度は許されたとしてもあとで言いがかりをつけられてしまつされるかもしれない。この勝たねば明日が無い状態で、内輪揉めをする余裕があるとは驚きだ」

 

帝国が成立する前から存在していた、ミズホ伯国。黒髪黒目の者が多く独自の文化を持つ……言ってしまえば日本的な国。

ヴェルは自分で作るよりも上質な和食の材料などがゲットできると、凄くウキウキしていて異文化交流してるシーンは楽しかったですね。

 

ただまぁ、状況がクーデター中であるのは間違いなくて。

ヴェル達はどうにか王国に戻れないかを模索していましたが、王国からの伝令が「王国の利益を考えて動け」と激変する帝国情勢を見極めよと命令を持って来たら、流石に逆らえないんですよね……。

 

いやいやながら参加することになって、そうなれば真面目に仕事する辺りはヴェルらしですけど。「妾のために協力してくれるのか!」とか言うテレーゼは苦手。

ニュルンベルク公爵を筆頭に敵に魅力を感じないし、味方は足を引っ張りがちだし、どうにもモヤモヤしがちなんですよね帝国編。

 

死者を呼び出し自らに憑依させる能力の持ち主が、ヴェルの師匠を召喚して戦うなんて場面もありましたが。WEBよりは強さが増してたような。一回生き延びてるし。ただ復活怪人(怪人云うな)は扱い難しいですよ、としみじみ。

ヴェルが和食的なミズホ食に出会えたのと、エルに今度こそまともな春が来そうなのくらいが、良いニュースですかねぇ……。


鬼人幻燈抄 明治編 君を想う

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「さらばだ。もう逢うこともあるまい」

「あほ、こういう時はいつかまた逢おうって言うもんや」

 

「逆さの小路」という怪異の噂について調べていた甚夜は、気がついたら鬼の異能も行使できない状態で白雪と対峙していた。

鈴音も居る、懐かしの光景。夢の様に、幻の様にその光景を見ていたら、かつてと違う言葉が飛び出してきて……彼は過去の未練を断ち切り、現世に帰ります。

存在しないと断言した老人が語った、噂話の真相が重かったなぁ。甚夜の調査時代はそこまで苦戦もせず、あっさり解決した部類になりそうですが、心には刺さる。

 

そしてまた時は流れて、野茉莉も成長して。作中ではもう結婚していてもおかしくない年頃だけれど、かつての約束もあり、彼女は自分の意志で甚夜の傍にいることを決めて。

父親とかの視点からは、思う所もあるようでしたけど。結局は、野茉莉を尊重して受け入れてる良い親子関係だなぁ、と本当にほっこりしました。

だけど、平穏は長く続かず……かつて広まった「人を鬼にする酒・ゆきのなごり」。それと同じ名前、ラベルの酒が京都でも流通し始めて。

実体は普通の酒ってことでしたけど、これはつまりマガツメの策略が迫っている表れでもあって。

 

甚夜がマガツメの下に踏み込みつつ、染吾郎達に助力を要請している辺りは成長を感じましたね。

三代目が甚夜の親友として、命を賭けて矜持を示してくれたシーンが本当に好きなんですよ。最初は親友がこれ以上の重荷を背負わないように排除しようとして、それが叶わないとしても人としての意地を見せるべく言伝を残していた。あぁ、本当に得難い友であったことよ。

 

親友を失った後に、娘にまで手を伸ばしてくるあたりマガツメの策略の悪辣さが光ります。……悪辣であろうとした結果ではなくて、本人も言っていた通り甚夜がどういう選択をするのか見たかったので、極限の状態を用意したって感じではありますが。

明治編の営みが温かかっただけに、それがどんどん崩れて行ってしまったの、本当に悲しかったなぁ。それだけ、丁寧に描いてくれていたからこそ、喪失の痛みがあるんですけど。もどかしくはある。

 

巻末の幕間「未熟者の特権」では、京都に残った平吉のエピソードが描かれていて、知りたかったその後の様子がある程度見られて本当に嬉しかった。あの場所に甚夜が居ないのが、どうしようもなく切ないけれど。

「出会いは、別れのためにあるんやないぞ。いつかぶん殴ったるから首洗って待っとけよ」

という元少年の誓いが、とても良い。

理想のヒモ生活14

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「両国の善き関係が今後も続くよう、私も全力を尽くす次第です」

 

双王国が北大陸で忌避されている、白の帝国の末裔であることを打ち明けられたゼンジロウとアウラ。

ルクレツィアより、双王国に受け継がれていた口伝について明かされましたが……双王国の伝承を信じるなら、暴走には関与してなかったりする家の生き残りではあるようですけど。

 

古い伝承であるために、教会と双王国のどちらが正しいかは判別できず。けれど、間違いがないのは、教会が白の帝国を敵視している以上、その問題から目を逸らすわけにはいかないって部分で、なんとも面倒な状況になってますね。

否応なく巻き込まれる事となったのは、フレアの故郷であるウップサーラ王国も同じみたいですけど。とりあえずは三国間では協調できそうな雰囲気になっていてホッとしました。

 

ただ、そうなればゼンジロウが双王国から側室を取るというのは、ますます持って避けられぬ話になって。

筆頭候補であるルクレツィアとゼンジロウは価値感違い過ぎて、どうにも上手くいく未来が見えませんが、どうするんでしょうね。

伝承を聞いて気になってたところで、ウトガルズという北の国から招待状が届くんだからまたぞろ問題をひっかけて来そうですが……相手の目的も読めないからなぁ。
招待状見た双子のリアクションが同じで笑いました。

妖精姫は研究がしたい フィーのささやかな学園生活

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「……わたくし、本当に恋してしまったようだ」

 

イルターナ王国の王女オフィーリア。

彼女は、最後の自由時間になるだろう2年間の学院生活を、身分を隠して過ごすことを決意して、フィー・コルケットという名で無事に入学。

オフィーリアの家族、つまりは現在の王族は恋愛結婚が多かったらしく、王妃から学院で「いい人がいたら教えて」と言われたのを言い訳に、自分の趣味である魔術研究に打ち込むつもりだったようですけど。

 

多くの令嬢が結婚相手を見繕う腹積もりのなか、勉学に打ち込んでいたフィーですが……同じように魔術バカであるレオナードと仲良くなって。

最初は、話が通じる同好の士が増えて嬉しいって言う段階だったのが、どんどん好意が膨らんでいって、可愛らしかったですね。

 

自覚してからがちょっと長かったですけど。王女である自分が望めば、レオナード自身の夢を諦めさせることに繋がってしまう。だから、この恋心は封じなければならない。

……そんな決意が出来てしまうのが、王族らしいというか。周囲のおせっかいとか、レオナード自身の男気とかもあって、上手くまとまってくれたのは何よりでした。

巻末には書き下ろしの番外編がありますが……交際が始まった後の二人が描かれているんですけど、王族との縁のややこしさを描きつつ、恋文を貰ったら思わず予定外の訪問をしてしまうレオナードが行動力凄くて笑う。微笑ましいなぁ。


八男って、それはないでしょう!8

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「これからも苦労をかけると思うけど」

「ヴェンデリン様と過ごしたこの四年近くはとても楽しかったです。私は苦労だなんて思っていません。これからもきっとそうです」

 

表紙イラストからも分かる通り、ついにヴェルがヒロイン達と結婚することとなります。

弟の活躍で注目を集めてしまったので、他の兄たちも側室を迎える必要が出て来たりして、結婚式に行って他の貴族と交流する必要が出て来たりして、貴族のお付き合いって大変だなぁ……。

結婚した後は、当然そういうことをするわけですが。そこでヴェルの秘密が明らかになって、早々に打ち明けられない情報を抱え込むことになって。いやぁ、ただでさえ戦力過多っぽいのに、ブースト出来るってのは反則的でしょう。

 

ヴェルは当主として、家臣たちに出会いの場を与えるべく大お見合い会を開催したししてますが。

エルは重臣扱いの独身で注目の的ではあったものの、先日の失恋騒動のせいで心に傷を負って、平常時のテンションがおかしい事になってる辺り、本当に見てられなかった……。勤務時だけはまともになるって言うのもヤバいよ。

 

結婚してから二か月後、隣国への使節団への参加を命じられたヴェル達。

新婚旅行も兼ねて訪問しよう、と結構気軽に赴いていましたが……そこで公爵家の女当主のテレーゼに迫られたり、皇帝の死から連鎖したクーデターに巻き込まれたりと散々ですねぇ……。

 

転移・飛翔といった魔法を封じる魔道具まで用意されていて、すぐに逃げることも出来ず。テレーゼに力を貸しながら脱出を果たしていましたが。状況を弁えていない部下に苦言を呈された時に「邪魔になりました」と切り捨てようと出来る辺り、ヴェルも結構貴族に染まってるなーとは思った。

八男って、それはないでしょう!7

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「先に人の実家にちょっかいをかけておいて、自分が仕返しされないなんて幸運、本当にあると思っているのですか? 心ならずも貴族になってしまった以上は、貴族として動くしかないでしょうに」

 

ヴェルの寄親であり、度々お世話になっている南部のブライヒレーダー辺境伯家と、東部のブロワ辺境伯家の間で紛争が開始。

援軍要請があれば参加するつもりではあるけれど、今のところは声もかかっていないし、領地開発を優先するつもりだったヴェルのところに、ブロワ辺境伯家の娘・カルラが来訪して。

 

彼女自身は特に何か工作を働くわけではないけれど、念のため監視用に人を割く必要などもあって。一目ぼれしたエルが意気揚々と名乗りを上げて、恋心のままに暴走していました。

カルラのキャラデザインとか性格とか自体は結構好きなキャラなんですが、エルが恋に暴走している様が、なんというか見ていられないな……って気持ちになるので、何とも言えない読み味。

 

ブロワ辺境伯家は、トップが病床にあって後継者が定まっていなかったこともあって、意思決定に遅れが出ている……だけではなく、内部の派閥争いの影響で暴走までしてるとなると、厄介極まりないですね。自分達だけでやってくれよ……。

結局ヴェル達も紛争に参加する羽目になってましたが、度重なるルール破りに困惑して、早々に報酬代わりに魔物の巣を分割してもらい、自分達で開放するって力技で王国への利益供与を進めて、さらに自分の立ち位置を重要にしていたので、最悪とまでは言えないオチでは……あるのか?




鬼人幻燈抄 明治編 夏宵蜃気楼

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「人は鬼程強くはないし、長く生きることはできひん。そやけど僕らは不滅や」

(略)

「お、その顔、そうは思えんって感じやな。ほんならええよ。僕が人のしぶとさを証明したるわ」

 

さらに時は流れて。野茉莉が思春期になったからか微妙に甚夜と距離がある感じに。

甚夜の方も対応を測りかねて、対応に苦慮しまくっているのは、不器用な部分のある彼らしいなぁと思いましたが。

 

野茉莉も決して父親の事が嫌いになった訳では無くて、だけど思ったように振る舞えず悩む羽目になって。

……表題の「夏宵蜃気楼」のエピソードで、彼女は長い夢を見て。それによって抱えていた蟠りも解けることになったのは何よりでした。

福良雀と蛤の話がこうやってつながってくるの、いいですよねぇ。長い時代を描いている作品ならではの味わいがあって好き。

 

甚夜の鬼狩りに関しても、地縛との決着や向日葵たちが甚夜を「おじさま」と呼ぶ理由が判明したり、かなり面白かったですね。

シリアスばっかりじゃなくて「余談・鬼人の暇」の昼で描かれていた「あんぱん」の話みたいに、微笑ましい話もあるのが素敵。

娘と過ごす時間を作るために表向きの本業である蕎麦屋を休みにしてしまう甚夜の親バカっぷりも好き。

 

野茉莉に想いを寄せてる染五郎の弟子、平吉くんがこんな逞しい父親に自分を認めさせないと行けなくて呆然としてたのにも笑ってしまった。

でも「四代目は平吉以外認めない」と甚夜に言わせるくらいには、認められてもいるんですけどね。鬼と退魔でありながら、良い関係を気付けているのが好きなんですよ。

 

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ちゃか

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