気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

書籍化作品

若くして引退した銀河帝国元帥は辺境の星でオーヴァーロードと暮らしたい

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「全艦、戦闘機動! これより我らは正義を執行する!」

 

若くして銀河帝国の皇帝に才能を見出され、元帥として実績を挙げていたゼンジ。

しかし皇帝が崩御し……次代の皇帝は幼く、補佐につくことになった人物が彼を快く思っていなかったために、元帥の座を追われることに。

ゼンジも恩義があるのは先代皇帝だったことや、オーヴァーロード……竜と呼ばれる高次元知性態の研究をしたいという個人的欲求もあって、ことさら抵抗はしなかったようですけど。

 

権力バランス変わった直後っていうのもありますけど、退役したとはいえ今なおゼンジを慕う人は多いみたいですね。

……先代の腹心で実績ある元帥を追いやれる宰相側につく、後ろ暗いところのある人間も相応に居るみたいでしたけど。

元帥時代からも宇宙に多くいる超常存在と不思議な縁があり……トラブルもありつつも生存してきたゼンジは場慣れしていると言いますか。

オーヴァーロードの強大な力を理解しつつ、必要以上に恐れていないのは良いですね。

 

退役してから住まいを移した辺境の地では、竜とエルフが暮らしていて……竜の子供を狙う密猟者が居てその問題解決に尽力したことで成竜ホルンとの縁が出来たり、ゼンジの恩人である先代皇帝と知己のあるエルフの姫リターニアが訪問してきたり。

……元帥時代になんか別のオーヴァーロードから面白そうなもの託されていたりするし、ゼンジ人たらしが過ぎるというかなんといか。善良な性質の人物なのでわかりますけどね。

彼は辺境に来たことで半世捨て人みたいに過ごそうとしていたわけですが……予期せぬ出来事で後見人となった人物の罪が暴かれて、大騒動に発展したのは……う、膿を早く出せてよかったね……とでもいいますか。お疲れ様です……。


滅亡国家のやり直し 今日から始める軍師生活3

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「私は平和が好きです」

「僕もだよ」

 

過去知識を駆使してゼッタでの大戦を乗り越え、望みうる戦果を掴んだロアたち。

とは言え、一つの戦を乗り越えただけで周辺国との関係も変わってないし、ロアの知るルデク内部の裏切り者たちも未だ健在なわけで。

長く落ち着けるわけではないですけど、少しだけでも穏やかな時間を過ごせたのは良かったですね。

 

それには北の大陸に通じる不文律として年末年始は戦わない、というのがあったからともいえますが。

一つ違えば大陸統を成し遂げたかもしれない傑物グランスウェウル。非凡な才能があったが、目的のためには苛烈さを示す人物で……年末年始に限らず時を選ばず戦いを続けた結果、民草から反乱を起こされて討たれたという故事に則っているとかなんとか。

こういう作中で通じる設定が開示されるの、楽しくて好きです。

 

年末年始は争わない……が、年が明ければロアの知るルデク滅亡の年を迎える節目のタイミングでもあって。

ロアがウィックハルトを救うことになったハクシャで、亡くなった人への献花をしたり。それまで縁のなかった第七騎士団のトップに会いに行ったり。

そんな事をしていたある日、ツェツェドラ皇子がルデク王への会談を申し込んでいるという話が、ルルリアに手紙を届けに行った南大陸の大臣ダスさんから持ち込まれて。

本来の歴史では死ぬ運命にあったツェツェドラとルルリアが無事で、ルデクとの縁を結ぶきっかけになってくれたのは良かったですね。

ロアと出会ったことで良い方向に変化したゼランド王子が、他国の皇子が来るのならこちらも同格の相手が出迎えるべきだと自ら提言したのも成長を感じて良かった。

 

そういった変化以外にも、ロアによって歴史が塗り替えられて運命が変わった人についても今回は明らかになっていくことになりましたが。

ルデクがゼッタの大戦で勝利したことで、ゴルベルでは粛清の嵐が巻き起こったとかで。ロアの知る歴史でも長く生きた英雄ローデライトが処刑されたり、かつてルデクに損害を与えウィックアルトも浅からぬ因縁のあるフランクルトが亡命を希望してきたりと、今まで以上に激動の時代、って感じがしてきましたねぇ……。最後でロアがとある決意をしていましたし。



宇宙船が遭難したけど、目の前に地球型惑星があったから、今までの人生を捨ててイージーに生きたい

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『いや、生かす。彼女は……この星で貴重な情報源……いや、友達だ!』

『イエス、マスター。ナオミを運ぶ台車を移動させます。その場でお待ちください』

 

主人公のルディは、人工授精によって生まれ与えられた運送業の仕事に従事していた。

脳も肉体も改造されており、500年は生きられる寿命を持つ御年81歳の人物で……巻末の閑話で「運送屋ルディ」として働いている場面で、下請け故の苦悩を味わったりしつつ、出来る限りやり返したりする強かさを見せてくれたりもしてたのは良かったですね。

 

SF世界お約束のワープ的な、長距離移動が出来るジャンプゲートというものがあるみたいですが、それを駆使しても宇宙は広く……だからこそルディに500年とかいう寿命が与えられていたり、移動中コールドスリープできる装置が船に備わっていたりするみたいです。

ある仕事の際にジャンプゲートを移動した際に、テロ事件が起きて爆発が起きたせいか座標がズレ……ルディはこれまで生活していた文明圏から隔絶され、連絡も取れない宇宙に放り出されてしまうことになったわけです。

 

ただタイトルにもある通り、そんな彼は奇跡的に地球型惑星を発見。

ファンタジー世界的な魔法技術を扱う能力を持った人々が住む世界であるが……その魔法のエネルギー源となっているマナはそのまま摂取すれば死に至る毒に等しい。

今住んでいる人々はマナのある環境に適応しているが、ルディはそうではないのでワクチンを作って対処します、とか言って実際分析をサクッと片付けていたのはお見事。

そうやって準備を整えていざ上陸……しようとしたら、SF世界でも全く情報のないドラゴンが現れて襲撃される羽目になったりするハプニングがありつつも、何とか地表に到着。

 

人里離れたエリアだったのは、ルディ達の素性を隠す意味ではありがたくはありましたね。

分け合って隠居していた「奈落」の異名を持つ魔女ナオミとの縁が出来たり。なぜか、地表に墜落したと思しき、1000年以上前のルディと同じ文明由来と思われる宇宙船を見つけたりと、地上についてからも話題が尽きないルディではありましたが。

未知の部分もあるため、時折失敗をしたりもしますけどなんだかんだ軽く乗り切っていってるのでサクサク読めて良かったですね。

VRMMOはウサギマフラーとともに。8

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「『龍眼』が怖くなったかの?」

「……少しね。僕が持つには大きすぎるなって……」

「うむ。その気持ちを忘れるな。力に吞み込まれれば、『龍眼』はそなたをい限るであろう。『龍眼』の主として、力に囚われず、使いこなすのじゃ」

 

第五エリアに到達し、素材調達に励むシロ達。

クランとして『白銀城』を拠点に出来ているのは便利そうですねぇ……。

そんな中、【エルドラド】のトップであるゴールディがギルマスを辞めると言い出してるなんて噂が聞こえてきて。

 

ゴールディのリアルであるアイドル「金城つきひ」の、ファンクラブみたいな形に実質的にはなってたみたいですし、そのトップが辞めるともなれば揉めるのも止む無し。

元々ゴールディはアイドルであることを伏せていたみたいですけど、身バレしてファンが大量に入り込んだことで、シロとも交流のある【ザナドゥ】の面々とギクシャクした結果分裂騒動が起きたそうで。

そして新規メンバーを取ろうとした際に、既存のメンバーが「公式ファンクラブへ加入しろ」という圧を駆け始めた結果、ゴールディ自身とも溝が生じて距離が出来てしまった、と。

 

ゴールディ、元々は零細アイドルでアバターがほぼそのままなのも、宣伝の一環だったとか。最初はファンが増えることが嬉しくて、強く出れなかったとか。まぁ、分からないではない部分もありますが。暴走を止めきれなかった部分の責任が、まったくないとは言えないか。

でも、彼女自身は今の過激化してるメンバーを問題視する常識持ってるのは良かったですね。【ザナドゥ】の中に、【エルドラド】に情報を流してる奴がいるっていう話もたまたまシロと鉢合わせた時に教えてくれましたし。

最終的に暴走ファンが暴走しまくって、ゴールディが無関係だと示すために脱退して。ファンギルドだったからあえなく解体に至ったのは……まぁむべなるかな。

 

宇宙人の血を引き、銀竜に「トゥストラ」認定されたシロが、竜たちの戦いを描いたタペストリーを見て冷や汗書いてるのはちょっと笑った。竜の王の座を争って百年争っている竜の一匹っぽいって伝承と、そんな奴から認められた上で「同胞にも知らせる」なんて言われたのを思えば笑い事じゃないんですが。

その竜のタペストリー以外にも、エリア攻略に繋がりそうな情報の掛かれたタペストリーを見つけて、実際にその考察をもとに挑んだフィールドでボス討伐に至っているので、なんだかんだ攻略の最前線を走ってますよねクラン【白銀】。

エリア探索してる中で、『魔王の鉄槌(ルシファーズハンマー)』に続く魔王シリーズの武器である『魔王の王笏(ベルフェゴールセプター)』を見つけたりしてますし。

 

ゲームの方が順調ではありましたが……ミヤビとの縁があることが発覚して、帝国のトップが地球をより注視するようになって。

その動きを見て、宇宙側の陣営も一枚岩ではないために、暴走し始める輩まで出始める始末。

そのため馬鹿が馬鹿やったとき自衛できるよう、シロに『龍眼』のコントロールについてミヤビが教えてくれることに。「自分とは違う自分」のイメージに、リアルなゲームであるデモンズのPCをイメージして投影できる、っていうのは便利ですけど。

まず力の強さを恐れられるシロは、若いながらにちゃんとしてますね。偉い。

境界迷宮と異界の魔術師3

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「というわけで、だ。余の正式な名代として迷宮を探索している事が誰の目にもあきらかな称号を贈らせてもらおう。異界大使……などと言うのはどうかな。余の代行という事になるであろう」

 

騎士のチェスター卿、テオドールに絡んだ一件から思う所があったようで、迷宮に積極的に挑むようになって。

下水道順路を超えた先、大腐廃湖と呼ばれるエリアの調査を行う事を決意。もう名前からして、行きたくなさすぎるエリアですけど。「他者がやらぬなら我らこそが」と踏み込んでいって、最終的に成果を上げていたのはお見事。

増長していた人物が、叩きのめされてからちゃんと態度を改めてるのよいですよね。

 

チェスターの騎士の矜持と、テオドールの魔人はえげつないから敵対者へ容赦しない苛烈さとか、噛み合わない部分もあるでしょうし。

まだまだテオドールのあり方のみ込み切れてない部分はありそうですけど、初登場時よりは大分マシなキャラになってきましたよねチェスター。

そうやって実務での成果を求める姿勢は、政争からは一歩引く形にもなって。チェスターという有望株を第2王女ローズマリーに近付けることで権勢を強めようとしていた騎士団副団長のグレッグは困窮してましたが。

 

続いて差し出したフェルナンドは、別の騎士メルセディアの挙げた功績を横取りしようとしたし、当人の愚かさから魔人に情報を流してしまうし、面白いくらい順調にグレッグが破滅していきましたねぇ……。

 

フェルナンドから情報を得た魔人を叩きのめすために、テオドールも同行して。

悪名が轟いている魔人を、単身で撃破したことで王様の直臣として称号を与えられることになって。

家を出てまだそんなに経ってないハズなのに、実績上げるペースがとんでもない。

グレッグがパイプを繋ごうとしていた第2王女ローズマリーも、色々と暗躍をしている人物で。城を出て占い師に扮して、人をいいように動かすために情報を与えたりしていたみたいですし。それを察知したテオドールに叩きのめされてましたが。

「依頼を持ち込んでその日のうちに解決してしまうとか」と、縁あって知り合ったアルフレッド王子から呆れた目を向けられたりしてたのも無理はない。順当。

境界迷宮と異界の魔術師2

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「今の時点で何を言っても、多分に願望でしかないでしょう。何も為せないようならアシュレイ様の方から遠慮なく破談なさってくださって構いません。それでも――俺にその権利を認めてくれるなら。あなたの人生に関わらせて欲しい」

 

タームウィルズに向かう道中に顔見知りになった、シルン男爵領家の当主アシュレイ。

テオドールはスネークバイトと彼等が呼び出したマンティコアを撃破したことなどで注目を集めいているし、アシュレイは婚約者も決まっていない貴族家当主で治癒魔法の才能もあるという事でどちらも縁談とかが持ち込まれるだろうという話もあって。

テオドールの母に恩義があり、ガートナー伯爵家時代から味方になってくれた使用人のグレイスとの関係もありますけど、その上で3人で先に進むことを決めて。

 

父親との関係も希薄だし。母親も魔人と戦って呪いに蝕まれて死んだ。母に助けてもらった人もいたけれど、結局は去っていった。そういう光景を見てきたことで、テオドールの原風景は荒んでるんですよね。

1巻でギルド職員のベリーネに「割合歪んでる」と評されたのも無理はない。

それでも。いや、だからこそと言うべきなのかもしれませんが、グレイスやアシュレイと関係を進める時に自分で言葉を選んでいるのは偉いですね。

 

そうやって日常を過ごし、合間で迷宮に潜ったりしている中……「行方不明の友人を探している」という盗賊ギルドの一員シーラから相談を持ちかけられて。

ちょっと探ってみたところ、なんと暗躍していた魔人が登場。

テオドールの母の命を奪った死睡の王と同族。テオドールの母が死んだのはあくまで死睡の王の遺した呪いによるものであって、死睡の王そのものは母が倒していたみたいなんですよね。

別人だと理解はしている。その上で思う所はある。激情を抱えたテオドールは、それで失敗しないように努めて冷静に振る舞い……単身で魔人を撃破。

ゲーム時代の技術みたいですが、シールドを足元に一瞬作って空中機動を実行するとか、トンデモ技法披露してて笑っちゃった。

でもあれ、テオドールの固有技能じゃなくてBFO上位層だったら普通にこなしてる技術で、運営もそれを抑制するのではなく、追加アイテムとかで門戸を広げる方向で対処したっていうんだから、BFOなかなかの魔境なのでは……?

 

冒険者であるテオドールが魔人討伐と言う功績を挙げたことで、面白くない騎士が絡んできたりもしましたが。

騎士の有望株であるチェスターを軽くあしらってたのは、お見事……ではありますけど。

魔人と比べるのは酷にしても、あの程度の腕でデカい態度とってたのか……感はある。

杖に困っていたテオドールが、褒賞として王城の宝物庫から有用な杖ウロボロスを貰えたのは良かったですね。


境界迷宮と異界の魔術師1

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「俺を喰らう? やれるものならやってみろよ」

 

技術が発展し、VRゲームが現実になった世界。

主人公もVRMMOBreak Force Online』ことBFOというゲームにハマって、戦闘に特化した魔法職バトルメイジのキャラ・テオドールとして楽しんでいたようです。

しかし、ある日空き巣によって殺されてしまい……ゲーム世界に、自作のキャラ・テオドールとして転生。

 

ガートナー伯爵家の愛人の息子であるテオドールは母の死後、伯爵家に引き取られたものの正妻とその息子たちとの関係は悪く、ハッキリ言えばいじめられていた。

わざわざ引き取ってるくらいですから父親はテオドールを大事にしたかったみたいですが、そのあたりの事実に気付くことはできず……。

どうあがいても禍根は残るので、テオドールはゲームの舞台にもなっていた境界都市、あるいは迷宮都市と呼ばれるタームウィルズに向かうことに。

 

主人公は前世の記憶を取り戻したときに、無詠唱で魔法を使えるようになったりゲーム時代と同等の実力を得ていたようですが。

覚醒したタイミングはゲーム本編よりも7年前の時間軸であった。現実となった歴史が同じように進むとは限らないから、情報を声高に叫ぼうとはしないけれど、いざ問題が激化した時に対処できるように力を蓄えようとして、実際そのためにタームウィルズについてからも研鑽を怠ってないのは良いですね。

迷宮探索を便利に行うために生活魔術の講義とかも受けるようにしてましたし。

 

迷宮で新人を狙った悪質な狩りをやっていた馬鹿どもを、返り討ちにしたりしてましたし、既にある程度の実力があるのに油断してないのは偉い。

実際、その悪人ども……スネークバイトの連中に未発見技術で作られた転移石を与えた黒幕もいるみたいですし、厄介ごとの種は多そうなので備えるに越したことはないでしょうけど。



怠惰な悪辱貴族に転生した俺、シナリオをぶっ壊したら規格外の魔力で最凶になった

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「――借りは返す。それがファンセント家の掟だ」

 

学園ゲーム【ノブリス・オブリージュ】の悪役貴族、ヴァイス・ファンセントに転生した主人公。ゲーム時代はヒロイン凌辱して奪っていくタイプのクズ悪役だったみたいですが、幼少期に前世の記憶を取り戻して。

既に悪役としての振る舞いを見せ始めていて、外には悪評が流れたりしていましたけど。

意識を切り替えて努力を続ける姿を見続けた身内には信じてくれる人が生まれて行ったのはよいですね。

 

原作ではゲーム主人公のお相手になる正ヒロインであるシンティア・ヴィオレッタ。

幼少期の振る舞いで険悪だった彼女と婚約者になったりとか、予想外の変化を迎えたりもして。

会話の意図を上手くくみ取れずなんか気付いたら婚約していたし。メイドのリリスの方が気付いていて、慰めただけのつもりが愛人宣言みたいなことしてるし。

ヴァイスが気付いた時には親同士の話とかまとまった状態で、今更でしたけど。なんだかんだシンティア達の関係も悪くはなさそうですし。

……というか、ヴァイスがどことなく抜けてるから、女性陣の覚悟が決まっているのはバランス取れてて良いのでは。

 

ヴァイス、スペックそのものは飛びぬけていて、その上で前世覚醒してから努力を続けて……2つの魔法を組み合わせて発動する、みたいなトンデモ技法を習得したりしていました。

ゲーム主人公アレン相手に入学試験では圧勝するくらいまで鍛えてましたし。

アレン、理想を追うの実に主人公らしいですけど、目下夢想家にすぎないんですよね。

ただ、アレンにもヴァイスが把握していない特殊能力があったりするみたいですし。アレンのその能力を使った行動がなかったら、今回ヴァイスにも危ない場面があったからなぁ……。ヴァイスもまだまだ甘い、というか成長しなくてはなりませんね。

魔王と勇者が時代遅れになりました2

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「ああ、人は素晴らしいな。魔王を少しは慢心させてほしいと、贅沢な不満を言いたくなる」

(略)

「おにーさん。人を散々負かしておいて、その反応は酷いのです」

 

魔王として召喚されたイグサがSF文明圏に踏み込んで設立した会社「魔王軍」。

海賊に占領されていたエネルギーステーションを制圧して報奨金を貰ったり、宇宙海賊を狩る賞金稼ぎじみた活動を続けて、実績を積んで行って。

魔王として君臨するものだからか、「身内」を大事にしたいという気持ちが強くなっているというイグサ。SF世界という宇宙にまで舞台が広がった世界では、イグサたちが成果を上げられる位には海賊が跋扈したりもしてるし、命の価値が安い。

 

そんな世界で、身内を大事にするために「最大限、社員の安全を確保する」という方針を打ち出して。勇者ライムや、獣人姉妹のリゼルやミーゼみたいに社員の中には彼の女も複数混ざっていることもあって、生暖かい目で見られているのはなんとも微笑ましいですが。

利益だけを追い求めず、足元も見られている余裕があるのは良いですね。

ちなみにイグサ、死者蘇生の魔法とかまで使えるみたいですが、人間に使うとそのまま高位のアンデッドとかに変質しそうで怖いと言ってるの、ファンタジー世界的なスペックがぶっ壊れてますね、相変わらず。マウスで実験したら、「浸食吸収して異常増殖する凶悪かつ機械な怪物になった」と言ってるので、心配しすぎってこともないのが恐ろしいところ。

 

魔王が最初に魔法生物化させた旗艦ワイバーン。古い機体だからこそ魂が宿って付喪神(というカテゴリの魔物)化させられたみたいですけど。

その手法で意識を持った艦隊と言うのを作って戦力拡大に努めたり。イグサとは違うけれど、似たような形で悪役としての矜持を持っている、一大勢力『隠者の英知』を取り込んだりもして。

さらに『隠者の英知』は、勇者一行の仲間となるはずだった賢者の末裔だっていうんだから、ここにきてSFとファンタジーがより近づいてきましたね。

……『隠者の英知』、長命のエルフが当主を務めてなお七代目になっているそうで、送り込む時代ズレすぎだよ神様……(送り込んだの神様か確定はしてなかったと思いますが……)。

 

イグサやライムが魔法を使っていましたけど、魔法を極めるのは個人の才能に依存しすぎるために忘れられているだけで、『魔法』というルール自体はこの世界に変わらず存在して、イグサたち以外にも魔法使いが現れて仲間になったのは、打てる手が増えていくわけですから良かったのでは。

さすがに魔王や勇者レベルで魔法使えるわけでもなさそうですけど、いるだけで助かるでしょうし。七代目『賢者』のリョーカン、魔法使えるし代を重ねている分この世界にも詳しいしで頼もしい情報源でしたね。



魔王と勇者が時代遅れになりました

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「さぁ、これでお前の罪も誉も何もかもが俺のモノだ。故に俺の罪でライムが悲しみ嘆く事など許さない。わかったか? 存分に頼って依存して、堕落した勇者となるがいい」

「酷く素直じゃない、犯罪者、悪者」

(略)

「魔王にとっては誉め言葉でしかないな」

 

「悪役」や「勇者」に対して一家言ある2人が、それぞれ「魔王/勇者の適性がある」という怪しい誘いを聞き……それを受けることにしたわけです。

そうやって異世界に転生した2人ですが、彼らが放り出されたのは、大気が汚染され人が住めない状態になった星であり……2人は魔王と勇者として相応しいファンタジーな魔法とかの能力を得て異世界転生したんですけども。

この星の人々は星を飛び出して宇宙で暮らしている、SF世界の住人となっていたのでした。

その状況こそ、タイトルの「魔王予数矢が時代遅れになりました」というそのままなんですが。

 

別に彼らが放り出された星に住んでいた人々がその星を捨てたとしても。

魔王と勇者が最初に出会ったSF世界の住人の少女リゼルから話を聞いてみたら、SF的科学技術が発展した世界になっているとしても。

魔王と勇者が獲得した「魔法」というルールもまた、彼らが転生した世界には確かに存在し続けていて。

常人なら生きていけない星で過ごせるように「環境適応」する魔法を使ったり。地表に墜落した宇宙船を魔法生命体……アンデッドとゴーレムのハイブリッドみたいな状態に作り直して、リゼルの常識を破壊しまくってるのは笑えました。

 

魔王と勇者に宇宙船を修理できる技術はない。だが魔法生物化してしまえば、回復魔法でなんとかできる! はルールをハックしてる感があって、リゼルじゃないけどそれアリなんだってこっちも驚きましたが。

……まぁ魔王は一応回復魔法も使えるけど、過剰に回復してしまってエネルギー飽和して死ぬ可能性があるから、と回復は勇者の担当になってましたけども。

回復魔法でどうにか出来る目途は断ったけど、規模が大きいので時間がかかる。ある意味閉鎖空間で男1人に女が2人。そして男は悪に一家言ある魔王ということで、ちょいちょいちょっかいを出して……その結果、食われる側になっていたのには笑った。まぁ魔王自身の行いの結果なので粛々と受け入れてもろて。

 

そして船の修理が終わり、SF文明圏に踏み込み、そこで「魔王軍」という名前の民間軍事会社を設立して、矜持を持たない海賊を蹴散らしたりとかし始めているの、なんだかんだこの世界を楽しんでて良かったです。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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