「かの世界での最後の戦いで、ぼくは大きく力を失った。今生での肉体は未だ童のそれ。かつて無双を誇った陰陽師は見る影もない――――だが、ぼくはこの異世界で、あの頃のぼくを越えよう。百万の妖を従え、神すらも恐れたかつてのぼくを」
BOOK☆WALKER読み放題にて読了。
ストアで見てみたら、Mノベルスから5巻まで出た後、モンスター文庫から新装版として刊行されてるみたいですね。ノベルスの1巻と2~5巻、文庫版とでイラストレーターが変更されてるのも珍しい……だろうか。途中から変更されてる例もそこそこあるか。
最強の陰陽師として名をはせていたハルヨシ。
しかし、個の力に頼り過ぎていた彼は謀略と裏切りによって全てを失い、殺されてしまうことになった。
最期の瞬間に転生の呪いを使ったハルヨシは……気付けば異世界に転生していた。
魔法が存在する世界でハルヨシの転生体であるセイカは、魔力がないため兄からいじめを受けたりしてましたが。
前世の陰陽術の知識と、それに必要な呪力は所持していたこともあって、セイカはそこまで気にしてませんでしたね。
直接的な攻撃には式神で仕返しするし、それを避けて私物を隠すような小さな嫌がらせをしてくるのは鷹揚に構えてるし。修行時代に本気で殺しに来た兄弟子たちに比べたらかわいいものだ、とか思っているの物騒過ぎて笑った。
ハルヨシ時代は力を求めすぎて策で死んだため、今世ではその悪辣さを身に着けようと考えてましたけど。
……殺しに来た兄弟子たち相手を、呪い殺してる辺り前世においても割と才能あった感はあるけどなぁ。
今生では、認められていなかった才能を示すためにわざと魔物を呼び寄せてみたりして、計算高くなってる部分もありそうですが。
それはそれとして妾腹であることと、本来通うはずじゃなかった学園への切符を手に入れた辺りは優秀でしたけど、不足も多いんですよねぇ。
入学試験の実技における要綱とか把握してなかったし。前世からして個の力を追求しすぎていたからか、自分から仲良くなろうとしたことのないコミュ障な自分に気付いたりしてたし。
今世に伝わる伝承、勇者を狙った魔族の暗躍があるし。学園にスパイが潜り込んでいて、上層部もそれを察してるようですし。陰謀の種尽きない場所に踏み込んでいますし。
パワーで解決できる問題に関しては強いけど、謀の部分はまだ弱くて今後どうなるやら。