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「君は過去にそれに見合うだけの努力と苦労をしてきたんだ。今が幸せ過ぎると思うなら、過去の分を今取り返しているのだと思って受け取っておけばいい」

 

ギフトという特殊能力を人々が持っている世界。

概ね十歳前後に自覚することが多いが、早く覚醒することもある。足が速くなるとか、遠くまでよく見えるみたいに、ギフトかどうかパッと分かりにくい者から、自然を操るような特殊能力を持つものまでさまざまなようですが。

 

作中で重要になるのは、主人公である孤児の少女メアリーと、彼女と一緒に働くことになったララのギフトだけですね。

メアリーは直接触れた人物の髪色と髪質に自分の髪を変化させられる。ララは他人の顔を一時的に変化させることができる。

……その能力を組み合わせることで、彼女達は第三王女であるレオノーラの影武者を務めることが求められることになるわけです。

普段は王女付きの侍女として働きつつ、いざという時には身代わりになるように求められていた。なのでメアリーは所作も王女に似るように厳しい指導を受けていたし、必要な知識も与えられていた。

 

とはいえ平和な国ではあったので、影武者業務が必要な事はさっぱりなかったみたいですけど。

ある時、王女が出席する必要があるお茶会の時に、レオノーラが体調を崩してしまって……メアリーが代わりに出席することに。そしてそれを上手く務めてしまったことで、レオノーラは調子にのって「王女の行うべき業務」のほとんどをメアリーに放り投げるようになって。

 

王の定めた婚約者との会合もメアリーに放り投げて、自分は理想の恋を追い求めていた。メアリーには婚約者の粗を探して破談に持ち込むように提案したりしているし、本当に好き勝手生きていますねぇ、レオノーラ。

最終的にレオノーラは、恋が暴走して自分の影武者であるメアリーを嵌めてまで自分の理想を追い求めたわけですが。過ぎたものに手を伸ばそうとした末路が待っているのでまぁ……。

メアリーを影武者に仕立て上げる流れを知っている貴族も居たのに、レオノーラを止められなかったのは上層部大丈夫かと思う部分はありますが。まぁ最終的にメアリー達が幸せそうだから良いか……。