「……じゃあ………………悪夢を見ないで済む方法、教えてください」
(略)
「俺を、〈獏〉にしてください。いつか、あの〈獣の夢〉を、俺が狩り殺せる日がくるまで――」
電気を用いた電信技術ではなく、夢を介した夢信技術が発展した世界。
夢信技術は電信とは違い五感を伝えることが出来るため優れており、作中世界では広がっていったようですが。
夢信機という機械が無ければ「睡眠とは非生産的な時間、ロスになる」とか作中でいわれてて、いや睡眠という休息くらいはちゃんと取らせてよ……と思わなくはなかった。
まぁそういう異質な技術が発展・普及したSF世界らしさは良かったですけど、どうしても序盤は説明が多くなりがちでしたね。
電信の世界ではコンピューターウイルスという問題がつきものですが、夢信にもまた悪意による産物「悪夢(ノイズ)」が生じる状況で。
主人公たちはその悪夢に対処する「獏」と呼ばれる民間組織で働いていた。
過去に大規模なトラブルが起きて現場の人員の多くが精神をおかしくしたり、粛清も行われた結果……今、現場で動くのは新たに招かれた学生3人。
その大規模事件以来眠り続ける姉を見守るトウヤ。遠距離からサポートするウルカに、前線で戦うヨミ。そうやってスリーマンセルで対処していたわけですけど。
ある時、「すべてに裏切られた」という少女メイアが現れ、仲間に加わることに。そのやり口は乱暴で、フォーマンセル化した初戦は上手く作用せず。
一緒に出掛けたりして仲良くなって、メイアの抱えている秘密に踏み込んでいくことになるわけですが。
亜隠シノブというメイアを連れてきた商人が、まぁややこしい振る舞いをしてて苦手度高かったですけど。あのエンディングに至るには必要だったのでなんとも言い難い。
気になるところもありつつ、総合的には面白かったと言えます。