「君がロザリンデといっしょにいたいように、僕も君といっしょにいたいんだ。……だから止めても無駄だよ」
BOOK☆WALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで4月30日まで。
囚われたオットー、自らを慕うかつての同門騎士。
2人を救うためにジークフリーデは助命嘆願を行い……それは女王に受け入れられたものの、対価として巧みに剣を振るう騎士であったジークフリーデの両腕は失われてしまった。
オットーが攻撃魔術は使えないけれど、治癒魔術には天才的だったこともあり、とりあえずその傷によってすぐ死んでしまう事はなかったけれど。
ジークフリーデはしばらく昏睡状態が続き、無力さを味わっていたオットーを救ったのは、彼女の芯である『大魔術典』で。
一命をとりとめた後もジークフリーデは変わらず騎士であり続け、その在り方を認められないオットーとぶつかったりもしますが。
予期せぬ事象によって2人は共感し互いの過去を知り、多少は関係が改善した模様。……ただ、こちらの状況が改善するのをいつも相手が待ってくれるわけじゃないんですよねぇ。
オットーが義手を作り、ジークフリーデを支えることに成功したものの、まだまだ未完成。
そんなタイミングで、かつて行われた大粛清と同じ「鮮血の謝肉祭」が始まることになってしまって……。
止まらずに進むジークフリーデと、一度は立ち止まったものの背を押され同行を決意したオットーの関係は中々綺麗だったと思います。
しかしまぁ、全てが明らかになってみると、誰もかれもが不器用だったというか。
間違った方向に進んでいるのが分かっていても止まれなかったんだろうなぁ、と思うと悲しくなりますが。
それで多くの命が失われたんだから、もっと早くに止められなかったんだろうか、とも思ってしまうのは止められない。
オットーの師匠も「過ちを犯した」と自覚していて、そんな中でオットーに希望を託した形で。それに十分に彼女は応えたと言ってよい。
彼女が辿り着いていなかったらもっと悪い形になっていた可能性も高いですし、最悪の未来に辿り着く前に踏みとどまったともいえるか。これからの彼女達の道行きは険しいでしょうが、どうか先達たちのような間違いをせず幸せになってほしいものです。