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「弟子よ。よーく覚えておいた方が良いです。魔術は力です。道具です。恐ろしいものです。権力と同じで、扱いを誤れば、簡単に人を傷つける」

「はい……」

「力さえあれば何をしても許されていいなど、そんなの魔物と変わりません。常に己を律することは難しいかもしれませんが、絶対に踏み越えてはいけない一線だけは超えないようにしなければいけません……」

 

主人公のミーメは、平民の魔術師。

幼い頃に転生者として前世の記憶を取り戻した彼女は、魔術にハマり早い段階で一人で家を出て、腕を磨き自立して暮らしていた。

魔術を付与して作る様々な魔道具があることで、都市で過ごす分には快適に暮らせる。

魔術を利用した犯罪に走るバカもいるし、貴族という地位を持つからと増長するバカも居たりしますけど。国の上層部にはまともな人が良いのはありがたい。

 

この世界では、魔術に目覚めた人は瞳の色に変化が生じる。多くの人は「水」や「土」、「炎」や「光」と言った第一属性のみに目覚める。

それに習熟した一部の人間だけが第二属性に覚醒し、片方の目の色が変わる。第二属性は、第一属性みたいな分かりやすい自然現象みたいなくくりではなく、作中に登場した例でも「船」とか「槍」とか「治療」、過去の事例では「蛙」とか「指摘」みたいな結構広い概念のものもあるとかなんとか。

 

そして、表紙のイラストでミーメがオッドアイとして描かれている通り、彼女もまたその第二属性に覚醒した魔術師だった。

第二属性に覚醒した人物は、より強力な魔術を扱えることができ……宮廷魔術師として国に召し抱えられることがほぼ既定路線のようですが。

ミーメは平民で後ろ盾がないこと。呪いや病などとイメージが結びつきやすく、犯罪利用されることもあり、悪い印象を持たれがちな「闇」という第一属性を得ていたこと。

彼女なりに満足のいくライフスタイルを確立していたこととか、色々な事情があって市井で暮らしていた。

 

そんなある日、かつてミーメが気まぐれに教えた結果、第二属性に覚醒したことで彼女を師と慕う宮廷魔術師として勤める公爵家の三男、ヘルムスが彼女の前に現れて。

闇属性の悪印象もあって、呪い対策などで国として必要な人材が不足しつつある中で、有望な人材候補として声をかけに来た、とのことで。

組織に属すると制限も増える。しかし、だからと言って平民にまで声掛けの範囲が広がっている中、誘いを断り……その結果、国が荒れるのも望ましくはない。

色々な事情を加味した上で、ミーメは城に仕える道を選ぶことになったわけですが。

ヘルムスが彼女を誘った身であり、弟子でもあることからいろいろな面倒事から守ろうとしてくれているのは良いですね。師匠自慢が過ぎるのはちょっとアレですが……。

 

ミーメの実力を宮廷魔術師のお歴々が直ぐに認めて、受け入れてくれているのが良い。

突如現れた平民の16歳に過ぎない少女が、婚約者がおらず狙われまくっている公爵家子息と交流があることで、やっかみを受けたり。

長年続いていたと思しき事件の取っ掛かりを見つけてしまったり。実力を示すために狩りに出かけた先で予想以上の獲物と鉢合わせたり。

想定外の事態も多いですけど、ミーメの実力で大抵の問題を解決できてしまうのは見ていて安心感がありますね。

トリニティアイっていうタイトルの意味とかも、1巻で回収されているので1冊の満足度は高い。読了後、WEB版まで読みに行ったくらいには気に入りました。イラストも可愛かったので、刊行続いて欲しいですねぇ。