気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

植田亮

影≒光 駆動編

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「まるで……恋をしているみたい……」

 

シリーズ完結を彩る短編集。

光輝とルーシーの出会いを描く「そうして二人の旅は始まった」。

今も鈍感とツンデレで微妙にかみ合ってない2人ですけど、相手の事を知らなかった初期はもっとバチバチぶつかっていたとか。

そんな中で教授ことオルトが自分の趣味の為に長期の外出を決めて、2人だけで生活することになって。過ごす時間が増えた中で、ルーシーの気持ちに変化が生じたのは良かった。

 

双子の学生時代のエピソード「七不思議への招待状」。

まだ光輝が才能に目覚めていなかった時期、それでも友人たちとわいわい過ごした時間はあったのだ、というのは良かった。

……七不思議とあるとおり、怪異と遭遇する羽目になったりするのでほっこりするばかりではいられませんでしたが。まぁ無事に決着したのは何より。

 

そして各エピソードの間に、46巻で起きた事件が解決した後から御影が帰国するまでの日常シーンを描いたSSが挟まっている、と言う構成ですね。

短編集としてはそこそこまとまってる箸休めの回って感じですが、これが完結巻と言われると不完全燃焼感が強いとは思いました。

影≒光 突破編

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「本当に……本当に、助けてもらっていいの……?」

(略)

「ああ、でないと俺がここにいる意味が無いからな」

 

光輝たちが関わることになった、ジュエルとベルタ、ミンティの問題に決着がつくことになる第6巻。

正直やっと終わったか、と思ってしまっちゃう冗長さはありました。

御影のおせっかいによる介入が無ければ、もうちょっと重い決着を迎えることになっていたでしょうし、過去に血は流れましたがまだ先に希望の残る終わりになったのではないでしょうかね。

 

騒動が終わった後に御影が、ルーシーに図々しいくらいの態度で接していたのは「遠慮しない関係になりたかったから」とか言ってましたけど。

それちょっと良いように言い過ぎじゃない? とは思うんですよね。遠慮しないでバチバチ言い合える関係っていうのも良いものではありますけど、このイギリス編ではルーシーが折れて協力するっていうシーンが多くて、御影の我を通してるばっかりで「貴女の意見尊重するかはわからないけど、私の意見は聞いてもらう」張りの傲慢さを感じる。

光輝がミンティ誑し込んでた時も圧かけてたし、ブラコンレベルが上がりすぎて御影の印象ドンドン下がりましたね、個人的には……。



影≒光 暴走編

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「お前はどう思う? 好きな人達を殺して手に入れた居場所で、幸せに暮らしていけるって――本気で思うか?」

 

意識不明のジュエルの扱いについてどうするか。

ルーシーは最低限の情報を与えたら、あとは魔術師なんだし自力でどうにかしろというスタンスでしたが。

放っておけないからと御影は助けることを決めて、姉として振舞って光輝を連れていくことに。そうすると、ルーシーとしては面白くないから手を貸さざるを得ないわけですが。

 

ルーシーが素直になれずツンケンしちゃってるから問題が悪化してるきらいはありますが。

それを言ったら光輝の鈍感さもそうだし、状況が一番分かってる御影はブラコンで口をつぐんでるし。最終的に折れるのはルーシーで、一番割を食う形になってる気がして嫌だなぁ。

加害者だろうと状況によっては救おうとする星之宮の傲慢を見ている気がする。

 

ジュエルを実家に送り届けることは出来ましたが、彼女が消息不明となっていた3年の間に父は殺され、母は壊れてしまったという状況はかなり厳しい。

とは言えジュエルも「自力でなんとかする」と言うので、別れることとなり……御影本来の目的である観光をすることになったわけですが。

そこで今回の騒動の関係者、ベルタに庇護されていた少女ミンティと出会うんだから本当に引きが強すぎる……。

影≒光 激突編

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「こんな風に引っかき回されると思ったから連れてきたくなかったのよ……!」

 

夏休みを利用して御影がイギリスへ電撃訪問し、ついにルーシーと対面することになる話。

驚かせたいからと光輝にも事情を伏せて渡航するのはいいですけど、英語喋れず、外国に不慣れなうえ、事情を伏せてるから迎えにも来てもらえない状況でどうやってたどり着くつもりだったのか。

空港で迷ってるじゃん……そこで助けてくれる善人に会えたのは良かったですけど、それがルーシーの姉たちだって言うのは引きが強い。

 

光輝もなんだかんだでブラコンだから、異国にきた御影に構うし。

そうしてると、弟子を取られて面白くないルーシーが不機嫌になるし。

そうやってバチバチやってる女性2人に囲まれて、鈍感光輝は核心に気付かないし。

どうもじれったくてもどかしいというか、それを通り越して若干イライラすら覚える。

せっかくイギリス舞台なのに、御影という存在が引っ掻き回しまくっていて、ルーシーが始終不機嫌状態なのちょっとかわいそうだしな……。

 

ルーシーが光輝に修行をつけるために霊地に踏み込んだら、そこに封じられた少女が居て。

厄介ごとにはかかわらないようにしようとルーシーが言ってるのに、断りも入れずに封印を解いて、衰弱してる少女を救う方法が御影にはなく、ルーシーに頼む羽目になるんだから、御影があまりにも勝手でなぁ……。

 

そして後半は唐突に、その救い出された少女ジュエルの過去回想が挟まれているわけですが。

……本編ではまだ彼女封印解かれて覚醒もしてない状態なのに、唐突に過去編挟まれてもちょっと困惑するというか……。

退魔の家に生まれたジュエルが、ベルタという親に捨てられた少女を拾い親しくなり……決別に至るまで。まぁルーシーの懸念通り厄介ごとですねぇ……としか。

影≒光 シャドウ・ライト 陰陽編

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「家族を救いたいって思う気持ちを、弱いとは思わないでってこと」

 

ところ変わって舞台は日本。メインを張るのは双子の姉、御影。

一般の学校にも通っている彼女でしたが……陰陽術の才能に比べて学業はダメダメらしくて、試験前に頭を抱えていましたね。

ポロっとこぼれた情報によると、光輝の方は地頭が良いらしくて割と意外でした。弟に勉強叩き込まれたから何とか今の学校に入れたらしいし、毎日起こされてるところとか、割と日常生活ダメダメですよね御影……。

 

時を同じくして、紀詠という退魔師の家系でもとある事件が起きていた。

そこには力を重視するあまり周囲を威圧する長兄と、兄に実力は一歩劣るが人柄ゆえに慕われている次男、そして戦いに向かない性格を自覚し治癒と結界の術のみを学んだ妹の3兄妹が居て。

長兄が当主になるべく次男を叩きのめそうとしたところ、実は弟に手加減されていた事実に気付き……さらに歪んでしまうことに。

 

妖魔の誘いに乗ってまで力を求めた長兄は、実家を滅ぼし、弟を叩きのめし……他所の退魔の家まで襲撃するようになった。

辛くも生き延びた次男狭霧は兄を止めるために動き始めて……別の依頼によって動いていた御影と出会うことになるのですが。

星野宮の理念は尊いものではあるけれど、甘いは甘いよなぁとどうしても感じてしまう。それでも目的を達成し続けてきた強者故に、許すことを意識できているというコトでもあるのでしょうが。

終盤はちょっと駆け足だったかなぁと思いましたが、暴走を止められたのはひとまず良かった。



影≒光 シャドウ・ライト 英国編

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「追憶をいけないことだとは言わないわ。『過去』が無ければ今の自分は無いわけだから。たまには『過去』を懐かしむのもいいと思う。――だけど生きられるのは『今』だけだっていうことを忘れないで。『未来』は『過去』から続いてきた『今』を生きる君が引き寄せるモノだから」

 

未熟さを痛感し、英国に戻った光輝。

そこで師匠たちと再会を果たしたわけですが……師匠のルーシーも祖父の教授も、光輝の覇気のなさに気付いてはいましたが、ひとまずは様子見。

旅の資金稼ぎのために、ルーシーと共に魔術学院に持ち込まれた高額報酬の仕事を受けることにしたわけですが。

 

それが、高名な錬金術師から出された、親族を狙った襲撃犯からの護衛任務。

既に何度か失敗し、依頼を受けた人も返り討ちにあってしまって、誰も受けようとしてないという曰く付きの依頼だったわけですが。

それでも受けようって辺りルーシーは、なかなか剛毅な性格していますね。

 

そして依頼人のエリオット・トラヴァースと対面もしてましたが……なかなかひねくれたご老人だったというべきか。

なぜ高名な錬金術師の関係者を、手当たり次第に襲撃するような輩が出てきたのか。エリオットは心当たりなどないと言っていましたが……。

依頼内容が、襲撃犯を捕獲して依頼者の前に連れてくること、になっている時点で心当たりしかないって言うね……。

 

復讐に燃える敵だったり、護衛対象として出会った家に伝わる術に才能を示せなかった少年だとか、光輝との対比になるキャラが多かったですかねー。

鏡のような相手との出会いや、師匠や姉からのアドバイスで再起できたのはまぁ良かったんじゃないでしょうか。

エリオットの行いに巻き込まれた形になるトラヴァース関係者や、襲撃犯ヴァルの抱えていた事情とかを思うと、どうにも浮かばれませんが……一度血が流れた以上、どうしたって三方良しの決着にはならないから、ビターなのも止む無しか。

影≒光 シャドウ・ライト

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「その後悔だったら、さっき散々した。俺はそれと折り合いをつけて生きていくって決めたんだ――もう逃げない。たとえどんなに恨まれても辛くても生き抜いてやる」

 

再読。退魔を生業とする陰陽師の家系、星野宮。

そこに双子の姉弟が生まれたのですが……姉の御影は陰陽術に才能を示したものの、弟の光輝は才能どころか術のために必要な呪力すらもなかった。

そのため門下生には馬鹿にされるし、当主である父からも苛烈に対応されまくったわけです。

鬱屈した日々を送る中で光輝は自身の持っていた「精霊を見る能力」を異国の魔術師に認められて、海外に修行に乗り出すことを決意。

 

そして一年ほどの修行を経て、光輝はある程度の実力を会得することに成功した……のは良かったんですが。

それまでの父親の対応もだいぶ悪かったので、力をつけた息子に反抗されてボコボコにされそうになるのはまぁ正直仕方ないと思います。

ただ光輝は光輝で、師匠からまだ修行が終わっていないって反対を受けているのに、それを押しきって帰国して父に喧嘩を売ってるのはさすがに青すぎるというべきか。

馬鹿にしてきた門下生は一蹴できたし、父に嚙みつくこともしたけど、結果的に叩きのめされてますしね……。

 

その戦いのときに父が持ち出した武器を光輝が破壊したわけですけど。それが新たな災いを呼ぶきっかけとなって。

言ってしまうとここまでの出来事って、壮大な親子げんかでしかないんですけど。副次効果として起きた事件の犠牲者が多すぎるのがあまりにもなぁ……という感じはする。
とはいうものの再読してるので、大分懐かしい気分になりました。



夏の終わりとリセット彼女

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「峰康君。人を怖がるのはいいよ。誰だって、きっとどこかで、臆病な自分を抱えてる。だけど、逃げて逃げて、それで一体君は何処に行けるの?」
「――――」
「人と人は、ずっと同じ場所になんて立ち止まってはいられないよ。だって、時間は過ぎるし、季節は巡るし、年は取るし、人は変わる。暖かい場所にだけはいられないの。(中略)逃げた先に、きっと幸せなんてないんだよ。一人で生きることに、幸せを予感できないから、だから寂しいんだよ」


あらすじを読めば大体内容が分かります。
夏休み、クラスメイトの桜間さんが記憶を失った。
風紀委員を務めていた完全無欠の「正義の人」。
そして主人公、峰康の「カノジョ」。
彼氏がいたことも忘れてしまった桜間さんは峰康をみて「あなたはい、私が一番嫌いなタイプの人間だと思います」と言い放つ。

順当に青春モノですね。
唐突に異能発言したりバトル展開になったりはしない。
それぞれが欠点を持っている、等身大の少年少女の物語。
彼女、桜間さんは「正義の人」と評されるだけあって、曲がったことを許せない。
風紀委員としてルールを守れない相手には厳しく当たるし、言葉も鋭くなる。
彼氏、峰康は事なかれ主義で、何事もあたりさわりなく対応し、仮病で授業を休んだりする不真面目で、臆病な少年。

彼氏彼女の関係だったことは知られているわけでクラスメイトにからかわれたりとかはしていますが。
二人とも、お互いのタイプが違うことを知っていて、うまくかみ合わずにいます。
峰康は、自分の行状から桜間さんを怖がっている部分があるし。
桜間さんも、峰康のことが分からずに戸惑っていますし。

記憶喪失で関係がまっさらになり、「嫌いなタイプ」とばっさり切られる。
記憶を失う前も、世間一般のカップルみたいにくっついていたわけでもなく、微妙な緊張感を持っていた状態のようですけれど。
ともあれ、壊れてしまった関係。
周囲からのお膳立てもあり、なんとか修復したり、また亀裂が入ったり、と。
青春してるなぁ、という感じです。
峰康がグダグダと悩んだりしている部分は、好き嫌い分かれるかもしれませんが。
多感な年ごろだしああいうのもいていいんじゃないかなぁ。
たまにこういう青春一直線な話を読むと、安らぎますね。
いや、異能モノとかも好きですけど、同じ料理ばかりだとさすがに飽きが来ますし。
なかなか良質な物語だったと思います。


紅炎のクロスマギア~狂える竜と災厄の魔女~

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ヨアキムは選択した。選んだと自分では思っていたが、もしかたしたら答えははじめから決まっていたのかもしれない。


借金返済に追われる魔術師のヨアキムは、龍に閉ざされた牢獄都市へと向かう。
牢獄に囚われた魔女を開放するという依頼を果たすために。
杖を使った魔術が、独特のものみたいなんですが、その辺りの説明がもう少し欲しかったかなぁ。

あとは・・・ギスタークが分かりやすく屑でいっそ安心しましたけれど。
しかし、あの程度の俗物が偽王として君臨出来てる、って三眼王の血統はいったい何をしていたのか。
アレで5代目だという事ですけれど。
初代は、強力な仲間を従えた開祖みたいなもんだから、問題は・・・まぁ敵視とかはされてたろうけど、ないとして。
ギスタークがどうやって偽王となったのか。実は父親の代から入れ替わっていて、それを継いだ、とかが愚物の君臨としては穏当なコースかと思うんですけど。
その場合は、三代目か四代目あたりが怪しいのかな。流石に、初代の次、二代目から入れ替わりっていうのは無理なんじゃないかと。できたとして、真の血統が今まで残ってるっていうのも考えにくいし。

しかし先代までは質実剛健だった部屋を、趣味悪いものにしたとも書いてありましたし。
そもそも王が入れ替わるような政変があったというのに、気が付かれない者なんだろうか。
後継者の家族は、息がかかっていた相手に殺された風ですし、まるっきり知られていないってわけでもなさそうですけど。王家の親衛隊である9人の神将とかは疑問に思っていないのだろうか。
指示に従っている面々が居るっていうことは、真の王と誤解しているのか、あるいは神将自体が既に腐っているのか。
これ以上ないほどわかりやすい紋様があって、それによって得られる力があるなら、それを鑑定する道具とか当てもよさそうなものですが。

王の血筋と力が疎まれた、にしてもたがたが5代――5代目が偽物だと考えると実質4代ですか――で腐り落ちるような組織で国を運営できるのか疑問が残りますけど。
腐った官吏が利権を得るために、絶大な王を追いだした・・・いや、竜をも従えるような王をそうやすやす追い出せても国成り立たないと思いますけど。
いくら初代のなした業とはいえ、4代でそこまで血も能力も薄れないでしょう。
イスタ歴、という暦で847年なのに、5代目というあたりに答えがあるんですかね。継承できる人物が限られている、とか。
・・・あぁ、そもそも紋様が封印されていて、力を発揮出来なかったから、力が脅威とならず追放された、っていうパターンもありなのか。
イビスゲイルを狂った状態とはいえ支配できていたという事は、「偽の王紋」が存在して、それで騙されているのか。
うーん、案外考え出すと止まらないな。

・・・ギスタークがいかにして王になったのかが、この作品の一番の謎かもしれません。
現状だとわからないので、悪魔と契約して、立場を入れ替えたとかで良いような気がしてきました。
この世界悪魔いるのか知らないですけど。ただまぁ、その手の願望をかなえた結果って悲惨な道しか残ってないですけどね。

3か所を3人で封印しているんだったら、一か所ずつ解けていくようにすればよかったのに。
額の紋章も、一人目で出てくるし。
まぁ、それを言ったら手の甲の紋章が、なぜ既に出ていたのかっていうのも謎ですけど。

こう、全体的に嫌いじゃないんですけど、テンポが遅いといいますか。
盛り上がりが足りなかったかなぁ、と思います。
最後の方に、真の王と偽の王が~云々出てきますが、なんか、インパクトが足りないというか。
一冊丸々プロローグみたいな感じで、今回は全体的に盛り上がりが足りない。
王道で、外れではないんですが、もうちょっと振り切った話を読みたかった
 

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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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