気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

椎名優

本好きの下剋上 第四部 貴族院の図書館を救いたい!1

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「わたくし頑張ります 貴族院の図書館のために全力を尽くします!」

 

『本好きの下剋上』がWEB完結してる長編、ということもあってコミカライズが2部・3部・4部と3シリーズ同時に走ってる珍しい作品ですね。

シリーズファンとしてはまとめて楽しめるから嬉しいですけど、新規参入の読者は注意。……「第4部」から手に取る人は、そう居ないとは思いますが。

 

主人公のマインが事件によって2年もの眠りについてしまったところから目覚めるシーンから始まります。

最初の見開きが側近になる人々のイラストがあって、登場人物多い章だから大変そうだなぁって感想が最初に出てしまった。

 

眠り続けていた影響もあって思うように動けない彼女に、神官長は魔導具を貸してくれて。それで動けるようになったあと、貴族の義務として貴族院として学校に送り出されることに。

1年入学を遅らせることも出来なくはないけど、弱みになるから通えるなら通った方がいいとか色々事情はありましたが。最終的にマインのやる気を起こさせたのが、蔵書数2位の図書館だっていうんだから、ぶれないなぁ。

 

1話の、「心配されてる、薬飲みまくってた神官長」のコマがめっちゃシュールで笑えて好き。

天馬に挟まれてるレッサーバスも、なるほど特徴的すぎて笑えましたし、「辛うじて落第はしておりません」なアンゲリカの表情が好き。

城での準備を整えて、これから貴族院ですよ~と言う所で終わり。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ ふぁんぶっく6

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「其方が確実に貴族を目指すならば、この冬しかない。どれだけ苦しくても負けるな。今しかないと、心に刻め」

 

恒例の口絵、表紙、関連イラスト、ラフ画ギャラリーからスタート。

女神の化身Ⅴの、地下書庫口絵がマインが虜になるのも分かる神秘的な感じがして好きです。いやまぁ、マインの場合は本があればどこでも天国にできそうですけど……。

ジュニア文庫版の表紙袖に描かれたらしいデフォルメキャラ達が可愛くて、ここで見られて良かったです。

初見だったクリスマスポストカード2020とか20214月キャンペーンカードのイラストも好き。

 

書き下ろし短編はディルク視点の『貴族になるための準備』。

子供向けの魔術具を与えられて、それに魔力を貯める為に準備が進んでいく感じですが。

ただの孤児が貴族になろうとしてることに、周囲からは厳しい目を向けられてます。

魔力を貯めるのも間に合うかどうか。最悪の場合はマインの様に、歳を一つ誤魔化す可能性もメルヒオールから示唆されたようですが……ローゼマインが去った一年後どうなってるかは分からない、とダームエルに言われて奮起するのが良いですね。

香月先生のプロットまで乗ってて2度美味しい。

 

ドラマCDレポートの後に、今回のQ&A

本編も進んできたのもあって、神々関連の質問が多かった印象ですね。

ローゼマイン視点だと領主家やカルステッド邸でもペットを飼っていないが、実はあまり一般的ではないのか、的な質問に「精神的な支えになるため、主要キャラになってしまう」というメタ搦めた回答が出てきたのは笑いました。

それ以外にもローゼマインは城と神殿を行き来するから面倒みられないとか複数の理由も挙げられてましたけども。

 

驚いたのは、国境門の外にある外国。てっきりユルゲンシュミットの外にある国はそれぞれに繋がりがあるのかと思いきや、違う次元にある国もあるとかでびっくりしましたねぇ。WEB本編で後に描写されてる部分に若干引っかかりを覚えてたんですが、この回答で納得がいきました。

あとはラウレンツがローゼマインのことをどう思っているのか、への回答も面白かったですね。許容範囲が広い。


本好きの下剋上 第五部 女神の化身Ⅵ

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「それは、そうですけれど……。だって、わたくしが希望を述べてしまったら命令になるではありませんか」

(略)

「相手を尊重するのも大事ですけれど、貴女が自分の希望を伝えることも大事なことですよ。(後略)」

 

プロローグはフロレンツィア視点。ローゼマインがツェント候補であることに驚き、自分の子供達にも影響が大きく出ることを懸念して……領主夫人だなぁ、という感じの視点ではありましたが。

ヴィルフリートの抱えている問題は把握していたけれど、粛清の影響で側近が減っているのもあって、そっちに回せる人材が無かったという問題もあるようです。

 

「間が悪い」と言っていますが、本当に悪い方に色々重なったな、というのはあります。遠ざけたハズのオズヴァルトと連絡を取り合ってたりするヴィルフリートの迂闊さは彼の問題だからな……。

彼女としてはローゼマインの教育の不足を補いたかったけれど、城に来る機会が少なかったためままならず。エルヴィーラから教育を受けてはいると思うけど……と考えていましたが、エルヴィーラはエルヴィーラで最後のセーフティネットになればいいと距離を測っていた部分もあったそうなので、母親たちの思っているよりも教育、足りてない部分ありますよね……と読者視点でツッコミたくなった。相談、大事。

 

王の養女になる話は、領主候補生と影響を受けるローゼマインの側近など一部にしか伝えられませんでしたが。移動のために与えられた一年の猶予で引き継ぎと準備を済ませることに。

一年でさえ覚えることが多くて大変だという声が出ているのに、王族が最初にその猶予すら用意しようとしてなかった分、評価が辛くなりますよね。

 

ヴィルフリートは、婚約解消に関する問題で怒りをあらわにする場面もありましたが。兄と妹としてならローゼマインとの付き合いも続けられるだろう、と妥協してくれたのはまだよかった。

子供たちのお茶会で仲間はずれでぐぬぬってなってるローゼマインは面白かったですね。

他に笑ったシーンだと、ボニファティウスへのオルドナンツを要求するマティアスとユーディットの護衛騎士たちとか。ローゼマインがリーゼレータを口説くシーンとか好きですね。

                                                                                                               

エピローグが領地を移動する話を聞いたルッツの話。婚約者になったトゥーリとの会話が、変化を感じてよかったですね。今度は成長していて、親ともしっかり話せたのはなにより。

ディートリンデ視点の「ランツェナーヴェの使者」は、頭が痛くなる話でしたね……傀儡にしやすそうな子だ……。

 

「わたくしの希望と問題点」はリーゼレータ視点のエピソードで、婚約者のトルステンから無理な要求を押し付けられていて困惑していたとかで、解消できてよかったと正直思いました。ローゼマインに口説かせる前に、しっかり根回ししてるエルヴィーラは流石です。

「騒動の事情聴取」はジルヴェスター視点の、アウブ・アーレンスバッハの葬儀で起きた騎士の暴走に関して、王族から話を聞かれる話でしたが……。暴走したの、エーレンフェスト出身だったとは、なるほど。ジルヴェスターの勘が当たってるんだろうな、というのと、王族の無遠慮さがまた垣間見えて頭痛くなりました。

本好きの下剋上 第三部 領地に本を広げよう!2

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「ちょっと聞いてよ神官長がひどいんだよ!」

 

三部コミカライズ2巻!

星結びの儀式を行う為に城に向かうマイン達。

城の側仕え筆頭ノルベルトが登場しますが、「出来る執事」って感じで好きなデザインですね……。

 

成人の護衛騎士たちは夜の宴に参加するために離れる事になって。コルネリウスとアンゲリカが護衛に付くことに。

いや小説版の挿絵でも思いましたが、アンゲリカはた目には儚げな美少女って感じだよなぁ。その実態は勉強苦手ウーマンですが……。

 

側仕えの紹介も行って。リヒャルダから「姫様」呼びされて固まってるローゼマインのコマが笑えて好きです。

神殿の仕事が立ち行かないからフェルディナンドにはしばらく結婚しないで欲しい、と欲望直結した本音を養父に打ち明けられる彼女が強い。まぁ、ジルヴェスターとは巫女見習い時代からの付き合いですからね……。

 

儀式を終えて、神殿へ。そして、料理処に向かうまで。

かなりポンポン話が進んでいきますね。領主が神殿に来ると聞いて青ざめている側仕えたちのコマが、他人事だと愉快。

料理食べてるシーン、パンに驚いているフリーダとか、表情豊かでいいですね。

 

神殿建設からフェシュピールコンサートの準備を進めて。

ブリギッテの工房への立ち入りを禁じた時、黒い背景で目を見開いているローゼマインが貴族に近づいている感覚を味わった。ダームエルなら、いかようにも処せると言いながら自分にも当てはまることを理解して、正しく振る舞おうとしてるんだから……凄まじい覚悟ですよね。

 

番外編コミック「ベンノとグスタフの憂鬱」で溜息ついてる二人は、本当にお疲れ様です……しばらくハードモードですね……。

巻末SSはカルステッド視点で「家庭内の変化」。

エルヴィーラの様子がおかしい、とフロレンツィアに聞いて騎獣で駆けつける辺り、騎士団長という職務に忠実過ぎるだけで、妻を大事にしてるんですねーという感じはする。

 

まぁ、第二・第三夫人間でのアレコレとか御しきれてなかったのは減点対象ですが。……その上、ローゼマインに指摘されるまで第一夫人の資質に気付いていなかったのもいただけませんが。

居心地が良くなってきたとはいえ、フェシュピールコンサートが決まって、とってもウキウキしてるんです、とはすぐに言いにくいよね。ジルヴェスターに筒抜けになっちゃうし。

最終的には夫婦間で楽しい会話をした後打ち明けられて、頼み事もされてましたが。頑張れ騎士団長……無理だけど。

本好きの下剋上 第二部 本のためなら巫女になる4

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「俺も言葉が足りなかったようだ その…助かった」

 

職人の家から商人見習いになったルッツ。

彼の道には困難が多くて。家族からの理解も得られず、ギクシャクする事に。

商売のためにルッツを外に連れて行きたい。

けれど、両親の反対があるからそれも難しいとベンノも言ってましたが。

 

ベンノが養子縁組を考えてるとか、マインが孤児として受け入れてしまうとか。

番外編「息子の成長」でも詳しく書かれていましたが。ルッツの父親が色々考えているは確かでも、それを伝えてなかったのは不義理と言うか。

描き下ろしSSもこの騒動を見ていたギル視点の「家族という存在」ですし、4巻はルッツのエピソードがメインだった感じ。

 

一応、前回のタウの実騒動でマインが反省室送りになって体調を崩したり。

それによって神官長が逆に衝撃を受けたり、常識と戦い葛藤しながら寝具を送る羽目になったり。

いずれ貴族に取り込まれる時のために教養を身に着ける準備を始めたりとかもしてるんですが。

 

ルッツ家の騒動は、父親がもう少し言葉を尽くしてたらこの大騒動にはならなかっただろうな……と思わなくないただここまで揉めたから、本音を引き出せた感じもあるので難しいですねぇ。

盗聴防止用の魔道具の実物を見られたのもコミカライズで良かった点ですねー。中々便利そう。色々な方法を考えていましたが。最終的に神官長が間に入って事情を詳らかにすることで丸く収まったのは何よりでした。


本好きの下剋上 第二部 本のためなら巫女になる3

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「今度デリアが困ってたら助けるから

ちゃんと助けるから…

だから…泣かないで」

 

孤児院を救うために動きだしたマイン。

ギルがやる気になって、フランもサポートしてくれたために順調に進んで。

孤児院に嫌な思い出があるデリアは、直接手助けこそしてくれませんでしたが、神殿長への報告はしない、と約束してくれて。

 

作業としては順調ながら、どうしても出費はかさむのでマインは頭を悩ませてます。

その過程で、自分たちでご飯を作れるようになろうと、孤児たちが森に出られるようにしたりして。

マインは書字版を作って、権利をベンノに売ったりして金策してます。いや、絵になると書字版分かりやすいですね。こういう形なのかー。

カルタ制作も楽しそうでいいですねー。ヴィルマの書いた絵がちょっとだけ見れましたけど、いい感じでした。デフォルメ風のイラストは受け入れられないようで残念。

 

星祭りに参加して、タウの実の真実に気付いたりしましたが。

その影響でちょっと土がボコボコになってるのを神官長に見つかってしまって。お叱りシーンはまた次回……。

番外編のコミックは「儀式用の衣装の注文」で、マインとトゥーリがコリンナと儀式用の衣装について相談する一幕。

描き下ろしSSは、孤児院の女子リコ視点で「タウの実拾い」。マインが助けなければ、洗礼式まで生きられなかった、と香月先生からお墨付きをもらっている彼女が、楽しそうにしてて良かった……って思えるエピソードでした。

本好きの下剋上 第三部 領地に本を広げよう!1 

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「なので権力で面倒なやりとりをとばして孤児院兼工房を…」

「誰だこいつに権力持たせたの!」

「領主である養父様です」

 

本編で言うと、領主の養女編。

平民の家族と離れ離れになり、身分と名前を偽りマインからローゼマインとなることになって。

上級貴族の「お母さま」と対面するため、馬車に乗ってる場面からスタート。

 

わざわざ第三部から手に取る人は居ないでしょうけど、説明すっ飛ばしてスタートしてますなー。第一話で顔合わせから洗礼式の準備まで入ってるので、結構イベントもまとめてテンポよくやってます。

個人的には、コミカライズを章ごとに分けたからには、細かいイベントも描いてほしくなりますが、描写が細かいからある程度は取捨選択しないといけないのも分かるので難しい……。

 

養女にするための聖女伝説の演説をしてるジルヴェスターが、とっても楽しそうですね。

貴族社会のルールをまだまだ把握できていないローゼマインは、色々と困惑してます。側仕えがいる生活や、護衛騎士がつくこと。領主の息子であるヴィルフリートの勝手さ。

フェルディナンドが計算づくでローゼマインの虚弱さアピールしてるのは、本人的にはたまらないでしょうけど、実際有効な手なんですよね……。

 

描き下ろしSSはトゥーリ視点の「初めての手紙」。

利用価値を示し続けなければならないマインの心配をする家族が良いですね。

秘密の手紙のやりとりをルッツが提案してましたが、「紙は高価だ」という意識から一枚の紙にみんなで書いて読みにくくなってるのには笑ってしまった。

本好きの下剋上 第二部 本のためなら巫女になる2

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「一緒にやろうぜマイン」

「助けてやりたいんだろ?」

 

神殿業務を手伝う中で、収支を「神の御心」とかぼかして表現されてるとか。

それが分からず都度確認するマインに、計算だけ任せた神官長は賢明ですね。数字だけ扱えば良いなら、質問攻めにも会わないし。計算は性格ですよ、その子。

 

そして、問題児としてつけられたギルに仕事を任せたマインでしたが……彼は限られた時間でマインの部屋とそこに向かうまでの通路掃除して。

主に認められたい、というか見返してやるって躍起になった結果でしょうけど。優先順位付けられるのは大事ですよ。意外と有能。

 

直ぐに倒れるマインのために与えられた、孤児院長の部屋。

そこにはオーブン付の厨房が備え付けられており、ベンノに相談の上、料理人の教育を行うことになりました。

部屋を整えるための準備を行っている場面とか、なんかほのぼのしてて好き。

 

本が読めなくて嘆いたり、神殿内での「貴族」としての振る舞いについて不勉強でギクシャクしたりする場面もありましたが。

マインのレシピとして再現されたイタリアンを、美味しそうに食べてる図とか、マインらしくていいなぁ。

 

孤児院長の部屋は整えられて、環境が改善されつつありましたが。

……肝心の孤児院そのものはかなり危機的な状況でそれを知ったマインは改善したいと思うものの、弱みを作るわけにはいかないために初手で神官長には断られて。

ルッツに励まされ、フランに相談して、再挑戦するのはとても主人公していましたね……。

隠し部屋の描写もあって、絵になると分かりやすいなぁとニコニコ読みました。

 

描き下ろしSSは神官長視点「孤児院騒動の裏側」。

膨大な仕事を手伝ってくるマインが役に立つ、と言うのは早い段階で認めていた様子。

神殿長との対立は得策ではないし、手を出すのには面倒なところ。

まだまだ神殿と貴族の事情に疎いマインが暴走しているのを見ていた神官長、相当頭が痛かっただろうな……。

本好きの下剋上 第二部 本のためなら巫女になる1

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「青色の衣を着た今のお前は貴族だ 堂々としていろ 絶対に俯くな」

「できるか?」

「…やります」

 

原作小説が今26巻くらいまで出てるんでしたっけ。

ストックが膨大なので、第二部~第四部と章ごとにコミカライズを同時進行してるのは主力商品として推してる感じが凄いしますねー。

こちらは第一部も担当していた鈴華さんが引き続き描かれる、「神殿の巫女見習い」編のコミカライズですね。

冒頭に神殿の見取り図を描いてくれているのはありがたい。

 

平民ながら、貴族に近い青色の衣装をまとう神殿の巫女見習いになったマイン。

貴族と近しいエリアと言うことで危険もある……というか、神殿長がヤバい人物なのは間違いないんですが。

当人は「本が読めるよ!」とテンション上げてるんだもんなぁ……。「いやっふぅ!」してるコマは可愛かったですけど、もうちょっと危機感持っていいのよ?

……本とか家族が絡むと暴走するから無理かー。

 

誓いの儀式を行うために、祭壇に神具が置かれているのが印象的ですね。

聖杯がでけぇな……ってなった。マインが小柄って言うのもありますけど。

その後の誓いの言葉のシーンで、神々のイラストが出てるのもコミカライズならではでとても美味しい。

どの神様も麗しいですねぇ。……命の神の中身はアレですけど。

 

平民の娘が貴族扱いを受ける事を快く思わない人は多く……神官長は、優秀な人間は評価するし、仕事を手伝ってくれると分かっているから疎まないと言ってましたが。

利用価値があるから利用する、って言う判断基準何だよなぁ、この時点では。

 

副題の通り「本のため」に巫女になった彼女ですが。神殿内部は下町とも違う常識がある世界で、困惑する場面も。

青ざめているマルクさんとか、中々貴重な場面も見られます。

未熟なマインがそれでも主として認められようと努力するのはいいですね。魔力と体力の見極めが出来ずぶっ倒れたりしていて、目の離せない状態ですけど。

 

巻末SSは「フランと平民の青色巫女見習い」。

タイトル通り、神官長の側仕えであるザーム視点で描かれる、フランがマインに着けられる前の状況と、「青の衣を着た平民」相手に困惑している神殿サイドの事情が描かれてます。

虚弱さを理解させる例として、ぶっ倒れたのは結果的には良かったんでしょうかね……。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部 女神の化身Ⅴ

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「どこまでとおっしゃられても……。取れる時に、取れるところから、取れるだけ、取っておくもの、とわたくしは教えられて育ちました」

 

プロローグはボニファティウス視点。

彼は次期領主としての教育をヴィルフリートに施していたそうですが……不満を口にするだけの現状では、相応しいとは言えないとジルヴェスターに申し出て。

名捧げのルールが変わってしまう懸念をローゼマインに伝えてくれたりと、孫娘愛が強すぎる面白キャラなだけじゃなくて、ちゃんと周囲が見えてるんですよね。

 

「ローゼマインは人を育てるのが上手い。どれも私が欲しいくらいだ」なんて最高の褒め言葉じゃないですか。

フェルディナンドから、他の領主候補生の側近と力量差が生じてるとか言われてましたしね。

ボニ様に比べると、ジルヴェスターは甘いなと思わざるを得ない。嫌いではないですけどねぇ。ここで忠告を貰っているのに、結局ヴィルはあぁなるわけですし。

 

この巻だけでもローゼマインの周囲は騒がしいです。

王族の願いで、未成年なのに地下書庫の調査を手伝わされるし(これはローゼマイン自身も楽しんでますけど)。

他の領地からは中央神殿に入れようとする動きがあったり、果ては王族に迎え入れようとまでしてきますからね。

 

星結びの儀式が挿絵になっていたのは最高でしたね。

神々しいって言葉が出てくるのも納得できる、迫力があった。

そして、祠巡りを強要されたローゼマインと、王族として命令してくるアナスタージウスとエグランティーヌの挿絵も、構図とローゼマインの顔に陰入っており断絶を感じる構図が目を引きました。

 

商人聖女の章が、好きなんですよね。

下町で育ち、神殿で学び、領主の養女にまでなった彼女だからこそ見える世界と出来る提案がある。

ローゼマインが積み重ねてきた時間の集大成とも取れる交渉ですから。

……脅しも混じってるけど。まぁ、交渉相手になる王族が、話し合い席を設けたからいいだろう? と思ってる傲慢さが透けて見えて、イライラするシーンでもあるんですけど。

 

祠巡りの時もそうですけど、ローゼマイン達の貢献は小さくないと言いながら、向こうの都合ばっかり押し付けてくる王族はハッキリ言って嫌いです。

アナスタージウスの方は、祠巡りを終えた後にすまなかったと言ってくれる描写が入ってましたが。一回の謝罪で許せるような真似じゃないぞ……。

 

ちなみに書籍化で祠巡りの描写は加筆されていて、それぞれの神様の授けてくれる言葉が分かるようになってます。細かいですけど、結構嬉しいポイント。こういうの気になるんですよね。

 

エピローグは、ヒルデブランド視点。WEB版の『閑話 望みと出口』。

恋は盲目状態で暴走をはじめそうな王子が恐い恐い。マグダレーナは、変に昔んフェルディナンドを知ってる分、認識が歪んでる部分はあるよなぁ、と思います。

まぁ、ローゼマインみたいな突飛な存在に影響されて、変化したことを他領の人が把握するなんてのは難しいでしょうけど。

 

巻末SSはアドルフィーネ視点の「望まぬ結婚」とオルタンシア視点の「シュラートラウムの花」。

前者は、順調にジギスヴァルト王子の株を落とす話でしたね。いやぁ、傲慢ですね。

自分達の意見が通って当然と言う振る舞いと、言葉選びのセンスがなくて敵ばっかり作ってる気がする。これで本当に貴族院出てるのか……? って思いたくなる。

これはアドルフィーネが、個人的に好きになれないというのも分かる。無理はない。むしろナーエラッヒェは彼のどこがいいの……?

それでも政略結婚だから、と受け入れていたのに無茶ばっかり言うんだもんな……。

 

オルタンシア視点では、彼女が智の番人として覚悟を示してくれてるのが好印象。

一方で、彼女の夫である騎士団長には不審さが募るといいますか。……最後のシーン、正直怖かったですよ。おっかない。

 

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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