「わたしに協力してもらえたら、あなたの彩禍様を分離することもできるかもしれません、その後、彩禍様に無色さんを改めてご紹介いたしましょう。彩禍様のいない間、務めを果たしてくれた恩人です、と」
「何をすればいいんですか? ちょうど世界が救いたかったところです」
玖珂無色少年は、ある日不可思議な空間に迷い込み、運命的な出会いをした。
その相手こそ久遠崎彩禍。あらすじによれば、300時間に一度滅亡の危機を迎える世界を救い続けてきた最強の魔女のようですが……。
何者かによって負傷させられ、死にかけていた。そんな状態ではあったけど、眼を奪われ、恋をして、どうにか助けようとしたところを、彼もまた何者かによって攻撃され瀕死に。
彩禍の術によって2人が合体し、彩禍の身体に無色の意識が乗った状態で覚醒。
彼女の従者である黒衣から状況の説明を貰い、彩禍が学園長を務める学園に通う事を求められます。
一目ぼれした相手の身体になっていたのもありますが、状況説明してくれる時に「彩禍さんのタイプってどんな人ですか」とか初手で聞く辺り、無色くんエンジン全開だなぁ、って感じはしましたけど。
先述の通り、彩禍は世界を守護し続けてきた存在で、彼女でしか対応できなかった事例も過去にはあった。
でも今の彩禍様の肉体には無色の意識しか感知できず……どうなってしまうかと思っていた所、最強の肉体を得た無色が彼女の能力を行使する事に成功。
それを見た黒衣の交渉によって、その任務を代替することになるわけですが。
まぁ火事場の馬鹿力を毎回期待するわけにもいかないので、適当な言い訳を付けて学園で魔術の講師について学ぶことに。
彩禍大好きな無色の言動によって、彩禍像がどんどん歪んでいきそうですけどね……。
あと、彩禍を交渉材料に出されると即座に頷く無色くん面白くて笑った。
好きな人の身体を得てどうとでも出来そうな環境で、交渉材料に求めるのが「彼女が戻ってきたときに紹介してもらう」とか「告白する権利が欲しい」とか、「コレだけの事をしたんだから応えてくれ」ってものではなく、あくまで改めての接点を欲する辺り、言動ほど無色くんぶっ飛んでないというか、ある程度の一線は守ってる感はあります。
……と言うか、むしろ割と初心ですよね。融合状態にある彩禍と無色は、一定条件を満たすと肉体が切り替わってしまうってのが途中で分かりますが。
変換に至る流れがもう……。でも、愛ゆえに暴走し、愛ゆえに戦う彼は結構面白い主人公で嫌いじゃないですね。