気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

橙乃ままれ

ログ・ホライズン外伝 ハネムーン・ログズ4

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「だから何も心配いらない」
「そうしたらきっと新しい街で出会いがある 君たちの家族が見つかる」
「もう自由なんだ」
「今は持っていないものでもこれからなんだって作っていけるさ」


悪くはないけど、物足りないというか。
スピンオフで多少原作とのずれが出たりするのはいくらかは許容範囲かと思うんですが……
それも本当に多少の範囲で済めば、の話というか。

ハーメルン壊滅の裏話について。
円卓会議を結成しようっていうこの時期はまだアキバも荒れていて、料理の秘密すら気づいている人は少なかった。
そんな段階で、サブ職業を活用した悪事というか装備補強でのインチキなんてできるものなんだろうか。
もともとゲームでもそういうロールをやっているギルドだった、とかなのか。
うーん、微妙なところで終わってしまったなぁ。

ミナミ側の気になるキャラクターをわざわざ出して置いてそっちのネタには踏み込めずに終わってしまったからなぁ。
何とも言えない感じがあります。
円卓会議を設立するときのシロエが格好良く描かれているのは中々いいと思いましたが。ただ、アイザックが「脅迫するつもりか」と激昂するシーンとか迫力足りないように思える場面も多々。
全体的には荒いというか際立ったものが感じられないまとまり方にも見えて、本当に残念。

ログ・ホライズン外伝 HoneyMoonLogs (4) (電撃コミックス)
松モトヤ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-08-27

ログホライズンTRPGルールブック

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『ゲームだからって侮ンな! 現実だからってビビンな!』
『……指示が矛盾してますが』
『楽しく戦れってことだ! 単純(シンプル)だろうが!』
       ――〈黒剣騎士団〉ギルドマスターと参謀の会話


ログ・ホライズンの世界を舞台とした、TRPGのルールブック。
リプレイが先行していて、ルールブックが後から出るという愉快な販売の仕方されてますが。
普通、逆じゃね? あるいは、同時発売とか。

ログ・ホライズンは、ネットゲームやっていた人々が、なぜか「ゲームに似た異世界」に来てしまった、という話です。
原作1巻で、シロエや直継が戦闘訓練をやっていましたが、現実となった世界では、ゲームと同じように戦闘するのも難しい。
ので、TRPGのシステムとしては「レベル」とは別の「キャラクターランク」というものを採用。
これは、この現実となった異世界において、どれだけ適応したかというランクになるわけで。
ゲームでのレベルはフレーバー要素ですねー。
レベル90あろうが、レベル1だろうが、キャラクターランクが等しければ、出来ることも変わらないのです。

構造がかなり入れ子になっていて、素人向けではないかなぁ、という感じが。
原作あるシステムは手を出しにくいような気もしますがね。実際書店バイトの観点で言うと入荷数とか少ないですし。
このゲームで作るキャラクターはそもそもゲームのものですから、「ゲームのプレイヤー」のプレイヤーをやるという何ともメタな構造で。
原作で言えば、アカツキですかね。彼女は高い身長の男性キャラでプレイしていましたが、実際には身長の低い女性だったわけで。
で、暗殺者ロールプレイとかやっていたわけですが。
まぁ、初めてプレイするうえでは、「ゲームのプレイヤー」のことは意識せず、自分がキャラクターを作っていたら、という想定でやる方がやりやすいんじゃないだろうか。

人物紹介のところで掲載されていた「典災(ジーニアス)」。
大災害後に確認されている、謎のモンスター。既存と異なる性能を持つ相手。
海外編の方で少し出てきていたと思いますが、この解説も興味深かった。
「この世界がゲームを模している世界だ」と認識しているような物言いをしていることから考えると、彼らも冒険者たちと同じような来訪者なのかもしれない、とかなんとか。
実際のところ、まだまだ分からない事が多いんですけどねー。
原作の方で話が進んで、謎がとかれるのを待ちたいところ。


ログ・ホライズンTRPGリプレイ 宵闇の姫と冒険者

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AK 「はぁ? 煩悩にとらわれとるじゃと? そんなヤツはワシらの中には……」
ウルフ (AKをさえぎって)「そこを退いてもらおうか!」(一同爆笑)
AK 「いたよ……すぐそばに!」(笑)


プレイヤーに、『B.A.D』・『アリストクライシ』の綾里けいし。『覇剣の皇姫のアルティーナ』のむらさきゆきや。
『マージナルオペレーション』の芝村裕吏。『オーバーロード』の丸山くがね。
この4人を迎え、原作者、橙乃ままれがGMを務める豪華なリプレイ。
・・・・・・ルールブックより先行してリプレイだけ出るのはどうかと思いますが。
いや、ある程度は作者HPで先行公開されてたりするので、そっちで参照できる部分もありますけど。
でもやっぱりルールブックが欲しいよなぁ、と思うところです。 

内容は、普通に面白かったですよ。
原作の雰囲気を壊さずにうまくデータ化されていると思いました。
そもそも原作の『ログ・ホライズン』からしてゲーム世界風の異世界に来てしまったプレイヤーの物語ですからね。
本文や注でも触れられてますがメタ×メタ×メタ。
「ゲームキャラクター」の「プレイヤー」の「プレイヤー」というややこしい構造になってます。
でも、こういう構造だから原作でいうとアカツキみたいに女だけど男で登録していたーとかそういうネタができるわけですね。
ネカマとネナベしかいないパーティーをいじるシナリオとかを一瞬思いついたけど、実行する当てがなかった。
アキバが落ち着くまで外観再決定ポーション使えませんけど。

かなり重要なキャラクターがNPCで出てきたことにはちょっとびっくりしましたが。
さすがにオール作家。
創作に携わる人々のロールプレイは堂に入ったものですしたね。
戦闘時の作戦も本気なのがうかがえて、そこそこ楽しめました。 

第一話「絶海の孤島! 冒険者大地にたつ」
第二話「密林逃避行、冒険者よ大地を駆けろ!」

の二話収録。
パーティーは〈盗剣士〉で、ぼっちなセイネ。
〈武士〉でセイネのストーカー。セイネが絡まなければ至極まともな狼マスクの、ウルフ。
〈召喚術士〉で、なんと御年78歳。グッズを取り扱う会社社長である、ヘッジホッグ・AK。
〈神祇官〉で、服装のセンスは悪いが、結構パーティーの良心でもあるマスダさん。

戦闘の時とか、それぞれの職業で全く別モノだっていうのがよくわかりますね。
データがなくても、原作を知っていればなんとなくわかる部分もあります。
いや、どうせならルルブ手元に欲しかったですけどね。
楽しかったので、ぜひ続刊が出てほしいものですが、どーなりますかね。

ログ・ホライズンTRPG リプレイ 宵闇の姫と冒険者
橙乃ままれ
KADOKAWA/エンターブレイン
2014-03-31
 

ログ・ホライズン 西風の旅団3

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「逆ですよ」
「みんなが笑ってくれるから ボクも笑っていられるんです」

敵味方の線引きが明確なソウジロウ。
ゲームを模した異世界。
PvPを仕掛けられている状況。
人が人に暴力を振るうこと。
現実とデータ。その境がなくなっていくと、ソウジロウは戻れなくなるところに行ってしまうかもしれない。

そうさせないために、必要なのは〈西風の旅団〉として負けないことだ、と。
それがこのギルドにいる条件。
ナズナもなかなかいいキャラですよねー。

そして西風の旅団の結束が強いというか、騒動が落ち着いてからの会議の風景が笑える。
シロエに対して嫌われていると思っているから、微妙に距離作ってるんですよね。
しかし、いきなりシロエが改革に乗り出そうとしていて笑える。
一応、ちまちまとシロエ側の描写も入っているんですけどねー。
にゃん太班長との会話のシーンがみたいですが、本編コミカライズは止まってるからなぁ。
2巻はまだですか。

さておき、シロエが動き出して、クレセントムーンが始まるところまで描かれました。
次回で、ソウジロウたち西風側からみた円卓会議結成までいきますかねー。
とりあえず、嫌われていると思い込んでいるソウジロウと、誘いを断ってばつが悪い思いをしているシロエとの会話のシーンが早く見たい。

 

【海外編】竜吼山脈

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「……ま、その、日本に渡るところは良いとしたって。そこに着くまではどうするんだよ。ここは、ユーラシアのど真ん中なんだぞ。地球の円周がおおざっぱに四万キロメートルだとして、その四分の一で一万キロ。ハーフガイアにしたところで五千キロだ」
「時速五百キロだったら十時間で――」
「どんな旅人だ、ソニックブームが出るわっ!」
 
ログ・ホライズンの海外編。
橙乃ままれさんのサイト『橙乃ままれOFFICIAL SITE』に掲載されている作品です。
トップページから、ページ左側にある『LOG HORIZON』のタブをクリックすると、その下に出てきます。1~9まであって、1話は3~4P程度。 
(サイトからは見れなくなった模様。内容としては9巻相当)

単身で妖精の輪に飛び込んで北米サーバーから中国サーバーにわたり、その上で、うっかりレイドコンテンツの真ん中で孤立してしまった、〈暗殺者〉レオナルド。
快活で、問題があるならぶち壊していきそうな、勢いで生きているような、ある意味で太陽のような〈格闘家〉のカナミ。
カナミは、〈古来種〉のエリアスと、不思議な言動をする〈施療神官〉 のコッペリアを連れていた。

カナミは、ローマ在住で西欧サーバーに属する冒険者だったが、この〈大災害〉について知るために、〈日本サーバー〉へと向かう旅の途中だった。
それにレオナルドも同行することに。
途中で、〈召喚師〉のKRも合流。一時的にだが、同行することに。
・・・まぁ、そのKRの物言いではっきりしましたが、カナミって、やっぱり「あの人」なんだよなぁ、といいますか。
うん、シロエもそりゃあ苦労するはずですな。
ちなみにKRは〈幻獣憑依〉という召喚した幻獣と操作を入れ替えるネタ魔法を使って、海外サーバーの様子を見に来ているんだとか。本体は日本サーバーの安全な場所。
まぁ、日本は馴染みが集めてくれるだろうし、ということで脚を伸ばしたとか。それはそれで結構度胸居る行動だと思います。

まぁ、半年かけての長期計画として日本に向かう5人。
道中で、なにやら怪しいモンスターを発見し、その討伐をしたりとイベントをこなしています。
そのイベントも、ゲームとしてのイベントというよりは、〈大災害〉に関係しそうなイベントなんですよねー。
〈古来種〉に関して何やら興味深いこと言っている輩もいましたし。

で、カナミとの邂逅を経て、KRはミナミに。
かつての仲間の伝手を使い、その中枢に入り込む。
・・・主賓のための舞台を作る、とか。結構無茶というか自分楽しむためにものすごいことしでかしそうな予感が。

そんなKRさんは、最新の7巻にもちょろっと出てましたね。
8巻では新人プレイヤーが西に行くようですし、その辺で出てくるのだろうか。
これからログ・ホライズンに手を出すなら、2部開始の6巻読む前あたりに読むと面白いんじゃないかなーみたいに思いますが。
さてはて。本編にもそろそろカナミさんでてくるんですかねー、どーなんだろ。

ログ・ホライズン7 供贄の黄金 ドラマCD付き特装版

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ウィリアムに譲れない願いがあるように、誰にだってそれはあるのだろう。
シロエにだってそれはある。でなければ、シロエは今だってギルド未所属のままであるはずだ。
そしてデミクァスにさえ、それはあるのだ。


6巻の裏側で、シロエが一体何をしていたのか、というお話。
シロエはある目的のためにお金を必要としていて、金策に走る。
その結果として、大規模戦闘へと挑戦することになって。

直継が突っ込んでいましたけど、シロエはどれだけ自分に制限を課せばいいんでしょうかね。
かなりのドMというか。本人は楽をしたいって言っていますけど、手抜きで楽をするっていうのが許せない性分なんでしょうね。

大規模戦闘に協力してくれることになったのは、かつて円卓会議設立の際に、そのくらいを蹴った、シルバーソードのウィリアム。
アキバで気まずい思いしてるんじゃないかなぁ、と思ったら、彼らススキノに拠点を移してたんですね。
円卓会議代表にシロエが選出したぐらい、実績のある戦闘系ギルドが来たことによって、ススキノには治安が生まれたようで。
治安を生むための円卓会議を蹴り、行き着いた先で、治安を生んでいるっていうのは中々の皮肉と言いますか。

シロエとススキノが組み合わされば、避けて通れないのが・・・えーっとデミグラスさんでしたっけ?
P107の挿絵のシロエの目が、すごいどうでもよさようで。
のちのちデミクァス自身が 「面倒臭いな」としか感情の色を浮かべなかったと思っているんですが、それがまさしく、という感じの表情で、絵師さんグッジョブ。

新キャラのてとらも結構いい性格していますよね。
直継との軽快なやりとりも結構楽しかったです。ギルドというか、住処というか、まぁ、それに関する話をしていたあたりは結構気に入っています。
あとは、ウィリアムの叫びを聞いた後に、「勝たせてあげたい」というあたりとか。
単なる新キャラってだけじゃなくて、最後に衝撃的な事実をいくつかぶつけてきて、今後の展開に絡んでくるのかなーみたいな感じが。
気に入ったので、これから活躍していってほしいですねー。

「(略)どんなにアホに見えたって、偽物じみた金ピカだって、俺が、俺たちが、それはすごいって思ったらそれはすごいんだよ。それが選ぶってことじゃねーか。俺は選んでここにいるんだ!」 

大規模戦闘の中で、ウィリアムが叫んだこの言葉。
もっと長くて、もっとみっともない部分があって、だけど、心に届く熱を持った言葉なんですよね。
ウィリアム自身は自分をダメなギルマスだと思ってるようですけど、あの言葉に共感して、それで動かせるっていうのは、十分な資質だと思いますけどね。 

さて、次回は記録の地平線の新人組+セララの新人組のお話になるようで。
しかも、西に向かうとか。この世界で西って言ったら、真っ先にミナミが出てくるんですけど、どうなるんですかね。
今回は巻頭でミナミの状況も結構描写されていましたし、アキバの面々の誰かがそろそろいくことになるのかなーとか、ミナミが盛大に仕掛けてくるのかなーとか思っていたんですが。
どうなりますかねー。

どうなるかといえば、クラスティさんが、なんか異変に巻き込まれてどこぞに行ってしまったんですが、あれどうなるんですか、マジで。
クラスティさんいないと、結構大変でしょう。
そもそもDDDという一番大きな戦闘系ギルドのリーダーで、円卓会議の代表でも会って、現在はゴブリン討伐遠征に参加している。
レイネシア姫との関係もシロエの策では、クラスティがとりなして関係を維持するってものがあったのに、どうするんでしょうかね。
まぁ、レイネシア姫は6巻で「水楓の乙女」たちという友だちができたので、クラスティさんが必ずしもフォローしなくてはいけない、ってわけではなくなってきているわけなんですが。
今後の展開がますます気になる感じですね。
今から楽しみです。

限定版のドラマCDは、まぁ、それなり。
記録の地平線のメンバーが家探しする話と、クラスティとアイザックの話です。
題名からして丸わかりですけどね。
家探しの方のカラシンさんが出てきたあたりが一番面白かったかもしれない。
新しい発見をした場面ですけど。
……カラシンさん、新技術発見に浮かれて、意識飛ばしていたせいで、記録の地平線のリフォーム海洋機構に持っていかれたんだろうか、と思うと……。



 

ログ・ホライズン6 夜明けの迷い子

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もっと儚くて、ささやかで、大事なものがアカツキを守っている。

新章開幕。
前回、自分の中に甘えが芽生えていたことに気が付き自信を失うアカツキの話。

アキバの街で起きた、発生するはずのないPK事件。
衛兵によって阻止されるはずのその行動が実行できたのはなぜなのか。
折しも、3・4巻で起きた『ゴブリン王の帰還』を完全に片づける為に、多くの冒険者がアキバを離れている最中だった。
円卓会議代表のクラスティもその遠征に参加していて、他の代表も何人か参加しているために、アキバに残っている円卓会議所属のギルドの負担が増している状態での事件。
冒険者は死んでも復活できる。そのこともあって、ある種のオカルトとして殺人事件は広まっていく。
ただ、放っておいていい理由にはなりえないわけで、行動を起こすところもある。
身内に手を出されたから、と西風の旅団のソウジロウも動く。
今回で大分印象変わりましたね。

「さて。ボクも先輩の後輩にくらい、少しは贈り物をしないと」


口伝周りのそれぞれの価値観だったり会話が、いい味だしてると思う。

そうした事件が起きている中で、アカツキは、自信のないままふらふらと、シロエに言われたから、とレイネシアのところに通っている。
クラスティが居ないこともあってか、彼女の周りには冒険者の女性陣が訪れお茶会をすることが増えていた。
迷いながらも通い続けて、そこで結んだ縁と絆が、彼女たちの力となる。

「ままなりません――」
「もう少し、どうにかなりませんか?……サービスしてくれませんか? 手加減――してくれませんかね」


嘆きを聞いたアカツキが行動し、ソウジロウに学び、そして、あの白い浜での静かな邂逅。
そこから、友達になっていく過程といいますか、自信を取り戻し、そしてその先へと進んでいく状況が綺麗なんですよね。

記録の地平線のメンバーが交流していくのが好きなので、その点では若干物足りない。
ただまぁ、アカツキの悩みとそれが解決に至るまでの流れっていうのは、良いものでしたね。
7巻で語られる裏側のお話も楽しみです。
個人的に一番気に入っているのは後半の戦闘の中でも特に、P290からの武器のエピソードですかね。

PK事件だけではなく、世界そのものに、新たな変化が生じているようで。
それが今後どう影響してくるのか、楽しみですね。


ログ・ホライズン5 アキバの街の日曜日

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「シロエくんはね。――“なんでもあり”の方が生きるタイプだろうね」
「彼は策士なんかじゃないと思うよ。なりふり構わず、手段を選ばず、一切の見返りを求めず、目的以外気にかけない。そういう状況では無類の強さを発揮する。あれは妖刀のたぐいだ」

五十鈴とルンデルハウスを仲間に加えた『記録の地平線』。
4人で始まったギルドだったのに、今ではその倍、8人も在籍している。
まぁ、一ギルドに焦点を当てれば小さな変化ですけれど。
大災害以降、そうして変化が出る程度には、時間が経過していて、その上帰還方法については未だ見当もつかないとなれば、この世界で生きていく覚悟を決めないといけないわけです。

そして人間が生きていくには、娯楽が欠かせない。
というわけで、ある程度状況が落ち着いてきたことから企画された、「天秤祭」。
アキバの冒険者たちが、この世界で初めて行う、プレイヤー主導のお祭り。
まさしく、日曜日、つまりは祝日といった様相です。

祭りともなれば、あちこちで恋の話題が咲くようで。
シロエの周りも華やかですし、マリエールの方にも春が来そうな雰囲気。
今回は、ミノリとアカツキのそれぞれの悩みが描かれていて、なかなか良かったと思います。
救出された恩と、そこから積み重ねてきたものを眩しく感じ、追いかけ続けているミノリ。
これで中学生っていうんだから、末恐ろしいもので。
一方でアカツキは、その身長によるコンプレックスがあって、それに縛られない関係を欲していた。
だからこそ、いざ得られたらその安寧に甘えてしまった、と最後には衝撃を受けるわけなんですが。
別に、安らぎを得ることが悪い事だとは思いませんけどねぇ。

ただ、祭りを行っているだけではなくて。
アキバとは別の形で落ち着きを見せたミナミの街からの攻撃を受ける、天秤祭。
シロエがそれに気が付いて、打った手っていうのがまたすごいといいますか。
なんですか、西風の旅団って、実は結構恐ろしいところですか。
目には優しいけど、近づいたら怪我じゃすまないような臭いを感じたんですが。

一番最後、シロエの元を訪れた、西の総領、濡羽。
彼女の言葉は、シロエをかなり困惑させ、悩ませましたが、一つだけ選択を間違えた。
大災害の直後だったら、シロエは濡羽に連れられて行ったかもしれない。
けど、彼は、覚悟を決めていたから。そこだけ読み違えてしまったのかと。
読んでいた時に、あのイラストには結構こっちの背筋にも来るものがありましたけど。
気合入れてますね。
さて、シロエと濡羽はなにやら、既刊の方法についての、なにがしかの意見というか考えを持っているようですけど。
それが明かされるときはいつになる事やら。
まぁ、気長に待ちます。


ログ・ホライズン4 ゲームの終わり 下

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「そんなに悲観することはありませんよ。死ななければよいんですから。そうすれば、記憶の剥落は起こらない。それに……」

(略)

――それに、もしそこに意義が見いだせないのならば、死よりも生の方が恐ろしいのは、どちらの世界でも一緒ではありませんか?

 

冒険者たちが忘れていた、定期クエスト「ゴブリン王の帰還」。

王の戴冠により勢力を拡大したゴブリン達は、その勢いのまま軍を動かす。

その脅威は、チョウシの街の新人プレイヤーにも、自由都市同盟イースタルの領主たちにも等しい衝撃を与える。

 

助けないですます理由ならたくさんあるのだ。

助ける理由がない。

しかし、助けたい気持ちは、ある。

 

と本文中に書かれていましたが。

新人プレイヤーたちが、冒険者として自由であるために。自分が自分であるために下した決断は結構尊いものだと思いますよ。

ゲームの世界だから、と割り切ることだってできたかもしれないのに。

そうやって楽な道に逃げなかったことは、素直に称賛されるべきでしょう。

そしていざ行動するとなったら、登場人物たちの頼りになること。

ミノリやトウヤ達新人プレイヤーも、この合宿で得たものを活かして行動してく。

そして引率だった直継やにゃん太も、ベテランプレイヤーとして、その経験に恥じない活躍をしているわけで。

 

新人たちが戦っている一方で、領主会議の方においても動きがあって。

対応の難しい問題にぶつかり、会議が硬直状態に陥った時のレイネシアの行動がまた素晴らしい。

大変だとわかっていて、怠けの虫をなんとか取っ払って、無力である自覚を持ちながら、それでも行動を起こしたことはすごい。

大地人が単なるNPCではないと、本当に実感できたのはこのあたりかもしれません。

 

円卓会議が布告したクエスト。

それを引き出したのが、ぐうたら姫であるというのは、中々面白シチュエーションですよね。

戦闘が多くて見どころも多かったですけど、今回はやっぱり最後のシロエの下した行動が見事だったかと。

ミノリの信頼に、余すところなく答えたその結果は、何か新しい火種を起こすのかもしれませんけれど。それでも、良い決着だったんじゃないかと思うわけで。

 

(ミノリが頼るのなら、助けなくてはならない)

それは意思ではなく、もはや前提だ。

 

そういう思考をできること、そして結果を導き出せること。シロエっていうのは本当に「腹ぐろ眼鏡」なんて二つ名が可愛く思えるような恐ろしさを持っているように思いますけど。それでも、格好いいんですよね。

やっぱ、この作品は好きです。

 

ログ・ホライズン3 ゲームの終わり 上

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「最近、耐久度が高くて使い減りのしない防御用の盾を手に入れたんです。敵と自分の間に挟み込むのにコツはいりますが、無理なく誘いを断れますから大丈夫でしょう」

 

新人プレイヤーの強化訓練…という名目を打ち出してまでバカンスを楽しもうとするマリエールさんが好きです。

今回は新人たちの物語を進行しつつ、シロエは別の場所での戦いに挑みます。

とはいっても、その戦いは武器を手にするわけではなく、政治的・精神的な戦いの舞台なわけですけど。

 

自由都市同盟イースタル。大地人たちの結成している同盟。

それに「円卓会議」を取り込もうと、招待状が送られてきたわけで。

クラスティが行っていましたが、この段階にあって、アキバの街が割れていたら、どんな切り崩しを受けたかわからないわけで。

そういう意味で、2巻でシロエが行動を起こした意味というものはあるでしょう。

 

円卓会議代表となった戦闘系ギルドのクラスティ、その兼ね合いから選ばれた生産系ギルドのミチタカとともに、使節に選ばれたシロエ。

円卓会議結成の立役者なんだからもっと働けって思惑もあるようで。

しかしその思惑が別方向に発展していくとはだれも予想できていなかったでしょうね。

賢者の訪問とそれによってもたらされたシロエの気付き。それが成果を発揮するのは少し先の話になりますが。

そのヒントを得て、実行できてしまうっていうあたり、恐ろしい智謀というか。

 

一方で、新人プレイヤー合宿の一環としてダンジョンに挑むトウヤとミノリ。

新人の視点から戦闘を語ることによって、連携の難しさとか特技の特徴とかを説明していくのは分かりやすくていいですね。

一度に全部説明しようとすると、情報過多でわけがわかなくなるんで。小出しにしていくべきですが、結構情報の出し方が上手いんじゃないかと思っております。

P137のイラストとか、何回も失敗して撤退しているあたりとかもいい感じですね。失敗を重ねているからこそ、最後の成功が光って見えるんじゃないかと。
 

あとは、今回の見どころは、ぐうたら姫ことレイネシア姫の登場でしょう。

ぐうたらなのに結構キャラクターとしては魅力的なんですよね。クラスティとのやりとりが面白いからこそでしょうけど。
最初読んだときには、大地人のユニークキャラとして出てきたのかと思いましたけど。
まさかあぁいう行動に出ようとは。 

 

会議と、新人合宿と、2つの場所で進行していく物語。

しかし、タイトルにあるように今回は上巻なわけで、最後にはちょっとした事件が発生します。

ちょうどアニメも3巻のエピソードに入ってきたので、これからが楽しみですねー。

 

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
 コメント歓迎。ただし悪質と判断したものは削除する場合があります。

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