気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

氷純

千早ちゃんの評判に深刻なエラー2

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「岩筋さん、訓練を急いでください。仮想敵はボマーです」

 

根暗コミュ障少女、千早ちゃん。

遠隔操作で新天地の探索を行う仕事を続けているわけですが……上手く交流できず、そういう時に「キモ」とか言われてより心の傷が深くなって、交流できなくなってしまうなんて負の連鎖に入っていたり。

彼女自身は普通に調査任務とか平和な仕事をしたいのに、仕方なく戦う羽目になって、その結果なんだかんだ評価を稼いでしまって、戦闘任務ばかり振られる毎日。

 

コミュ障ながらも限定メニューが気になって、自分へのご褒美として新界由来の素材を使ったケーキとかを買いに行って。

それがとても美味しくて……だから開発促進のために素材に関係した調査任務を受けようとしたり、根が一般人なんですよね。自分の欲求に素直。

……ただ、その依頼を出していた先が、彼女を劇場型の過激派ボマーだと誤認している企業で、「またウチを巻き込もうとしてる!?」と誤解されたり散々ですねぇ。

 

まぁ赴いた先で武装勢力が密かににらみ合いをしていたり。そんな中で研究の助けになるかもしれない変種を見つけて、否応なく戦いに赴いたりするあたり、行動力がバグってるのも確かなんですけど。

結局千早ちゃん、外から見た時にしっかり戦果上げてるのが問題なので……。何回か任務失敗するくらいがちょうどよいんじゃないか、とか思っちゃいますが。

でも、機体破損とかしたら最悪損害賠償とかくるし一般人な彼女からすると敢えて失敗するのも悪手なんですが。

彼女の巻き込まれライフはまだまだ続くようですが……強く生きて欲しいですね……。

見切りから始める我流剣術2

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「追いついただけで満足してんじゃねぇぞ、半端野郎!」

(略)

「――剣を継ぐなら生き抜け!」

 

我流剣術を磨き、その末に魔法斬りという奥義を確立したリオ。

彼はその実力を見込まれ、故郷の村を襲った異変の手がかりでもある宝玉の調査を任されることに。

そしてリオが妹のシラハと一緒に訪れたのが、辺境でも有数の危険地帯であるリヘーラン。

冒険者を騙って襲ってくる輩が増えてるとかで、森の中で武器を向けられたら遠慮せず殺せ、と最初に教わるくらいには殺伐とした土地の模様。

 

しっかり冒険者として周囲に認識してもらうために、夕食はギルドで取ることを勧めてくれたり、裏手にある訓練場には腕利きの奴隷剣士ガルドラットが居て、実力を測ってくれたりと、フォローも充実してる印象を受けましたけどね。

 

ガルドラットは言葉数多いほうじゃないですけど、アドバイスは的確ですし。我流剣術を使うリオとシラハにもしっかり為になることを教えてくれるので頼れるんですよね。

実際現場で動いている冒険者たちにも慕われてるみたいでしたし。……それだけに、奴隷という身分のまま留め置かれているのには事情があるんだろうな、と推測できるわけですが。

 

リヘーランならではの良さを持ってはいるみたいですけど、かつて悪夢と呼ばれるほどの事件が起きた土地でもあり……調査対象になるだけの理由は確かにあるんですよねぇ。

ギルドの資料室を見る限りでは宝玉の発見報告はないけれど、何かを隠すような記述のされ方だったと言いますし。

リオ達が過去の事件について調べる一方で、故郷の村で暗躍していたミーレンの影もちらついて、新たな悪夢が起きようとしているんだから厄介極まりない状況でしたが。

 

それでも諦めずに足掻くのがリオらしいというか。

過去の事件に因縁のあるガルドラットが心残りを果たして死に瀕したとき、まだ先があるだろう! っていう主旨の喝を入れてたのが面白かった。

その直前にリオも危うい状況があって「剣も持てずに死ねるか」とか零したり、割ととがった生き方してますよね、リオ。嫌いじゃないですけど。

シラハが閉じ込めようとする気持ちも若干分からないでもない。彼女の執着もまた過剰傾向にあるのは確かですが。それぞれの優先するものを譲らない、という意味では似たもの兄妹ですからね……。相変わらずのやり取りが見られて楽しかった。

あと、WEBとはリオ達が出くわす事件の流れも変わってきていて、そこも面白かったですね。ミーレンとの決着がついたものの、謎は多い状態なわけですから書籍の刊行続いてほしいものですが、どうなるかなー。

見切りから始める我流剣術1

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「才能がないから、なんだよ? 俺は最初から今ある剣術を極めようなんて欠片も思ってない。自分の身を守るための剣術をただ楽しいから作ってるんだよ。カリルはただ、才能がないのを言い訳に剣をやめた自分と傷をなめ合う相手がほしいだけだろうが。人の努力に水を差して中途半端に終わらせるように言ったかと思えば、利口ぶって他の道を探せだと? 腕一本でも触れるような剣を作ってから抜かせよ、半端者!」

 

WEB既読。

主人公のリオは辺境の山村に生まれた少年。そこには剣術道場があり、ある程度身体が育ってから通う事になっていた。

この世界には邪獣っていう魔法を扱う害獣が現れるため、自身や村を守るために戦闘技術が必要だから、っていう理由なんですが。

いざリオが通ってみたら、先輩たちは最初の走り込みをサボってるし、それを師範に指摘しても治そうとはしない。オマケに論点をずらしてリオを言いくるめようとまでしてきて……。

 

あまりにもアホくさくて、リオは道場に見切りを付けます。

両親にもありのままを伝えてましたが、反抗期だと思われたりしてるのは悲しい所。お年頃なんだね、うんうん。という冗談はさておき。

実際リオが見切りをつけたのも納得しちゃうくらい、道場の空気緩んでるというか。門下生の中に技術を笠に着て慢心してるの居るし、そういう奴に限ってリオに定期的にちょっかいかけてくるしで、緊急事態に本当に役に立つのかって思うんですよねぇ。

読者目線だと直接目にしたリオの判断が正しいと思うんですがね。実際、後に一部から不満が出た時リオが口にした正論を、村長も内心で認めるくらいには。まぁ感情が絡む問題にも発展して、理屈だけじゃ解決しないんですが。

 

道場には通わないことになったけれど護身のための術は必要だということで、リオは走り込みに加えて、自分にあった剣術を作ろうと試行錯誤を開始します。

村の片隅に棲む、片腕の元冒険者カリルからのアドバイスを貰ったりして、少しずつ形になっていくのは楽しいですね。身体強化魔法なんかも教わったりしてましたが、リオは他の人に比べてその上限が低かったり、既存剣術の才能がなくて。

一度挫折したカリルと意見がぶつかることもありましたが、なんだかんだで上手くまとまって良かった。

 

まぁそんなほのぼの修行譚だけで終わるはずもなく。邪獣が出る山に故あって入ったリオが、記憶を失くした少女を保護したり。

山を調査するために冒険者がやってくるんですが……WEBにはいなかった新キャラが混じってて、それがもうやたら胡散くさかったりして、厄介事起きる気しかしないというね。

案の定黒幕側の人間で、かなり引っ掻きまわされちゃいましたねぇ。

新たな因縁が生まれたりしてましたけど、リオの本質を見抜く眼は健在なので、これからも頑張ってもらいたいところです。

十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる3

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「人と向き合うのは考えることと同義だよ。他者の答えを流用するのは不誠実だ。不誠実な付き合い方ではいつまでも流されて生きることになる。三百年生きた僕の経験則だ。では、おやすみ」

(略)

「……結局、腹をくくらなければ前を向けないんだよな」

 

シリーズ完結巻。

吸血鬼の里帰りに付き合い、隠れ里フラウハラウへと向かったトールたち。

道中のトールとキリシュの会話が、結構好きですね。長く生きる彼が、どうして人間と一緒に暮らしていたのか。そしてなぜ、彼女を吸血鬼にしたのか。

その問いかけの裏側には、いずれ来る別れが約束されている2人の関係を、キリシュがどう考えていたのかと見抜いて、トールにアドバイスしてくれた辺り、三百年の経験は伊達じゃない。

 

……まぁ、そんなキリシュにしたって、いざピアムを失うかもしれないという段階まで、自分の行動がハッキリしてなかった部分もあるみたいですし、大いに悩んでトールなりの答えを出してもらいたいところ。

そして辿り着いたフラウハラウには、かなり長命な始祖が滞在しており……異界について詳しい彼女なら、トールが元の世界に変える方法を知っているかもしれないなんて甘い罠まで在ったわけですけど。

なぜか始祖から、吸血鬼を敵視してるという太陽教会の経典の眠る遺跡の攻略を依頼されることに。吸血鬼対策されてる遺跡を「テーマパークみたいで面白かった」とか言えちゃう始祖様よ……。

 

実質的に冒険者トップだというパーティーを太陽教会側が雇っていた為、トールとの競争になって。状況によっては代表との決闘で話はまとまったんですが、相手側のファライの癖が強くてなぁ……。扱いがアレなのも納得。

WEBだと発見した資料の情報が前書き欄に書かれていたのですが、書籍化に当たってしっかり資料っぽく挿入されてて良かった。

 

トールと双子は遺跡が危険なのもあって、トールが単身遺跡で資料を探し、持ち帰ったそれを2人が解析するっていう役割分担をしていましたけど。

双子は情報収集もしっかりこなして、トールのサポートをしていましたが……。その過程で得られた情報もあって、悩みが深まった模様。

トールとの縁は得難いもの。それは序列持ちという戦力としてではなく、双子が抱いた恋心によるもので。でも、思考が繋がっている2人は、それ故に悩むことになったようで。ヒロインズの方もしっかり描いてくれてるのはポイント高い。

 

書き下ろしの新章が、太陽教会のダンジョン後~最終決戦の間に挿入されています。

トールが以前知り合った獣人のガルハンが「新しいダンジョンが、トールの故郷に繋がっているかも」なんて話を持ってきて。章のタイトルがそのまま「九年前の故郷に続くダンジョン」なんだからズバリなんですが。

WEBだと双子の「詰め」の方が先でしたけど、地球に通じるダンジョンへの対処で「帰ってしまうかも」という不安を感じさせてしまってたのはアレですが。

トールはトールでケジメを付けようとしていたからこそ、終わるまで言えなかったってのも分からなくはない。加筆で、三人の関係がより良く見えるようになったので、嬉しかったですけど。

最後、三人の旅路で出会った人々と力を合わせての総力戦とか、熱くて良かったですよね。
トールが戦闘力でソロBで序列入りしてるのが改めて納得できる戦いぶりでした。

詰みかけ転生領主の改革7

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「殺しの魔法がこんなくだらない代物なはずないだろ。あれはもっと派手で、俺でも真似できないようなとんでもない遺物だよ」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

シリーズ完結巻。WEBでは後日譚も描かれているので、気になった方はそちらもどうぞ。

負傷したチャフたちが行動できるようになるまで。商会連合を乗っ取ったホルガ―やザシャが双頭人形と道を別つ準備を整える期間。

 

様々な思惑が蠢く中で、奇しくも各勢力は準備に半年ほどを費やすことに。まぁ、その間もソラ達が止まっている筈はなく、リュリュ・サニアに任せた切り札の新造船を隠したり、件の粘土板についての答え合わせエピソードが入ったりしています。

 

神話の時代、この世界は「人は人を、獣人は獣人を」のみたいに同じ種族を殺すことができなかった。しかし、殺しの魔法使いが現れたことで、同族を殺せるようになった。

そのために、教会は魔法使いを敵視する教えを広げていたそうですが。その「殺しの魔法使い」が何を思ってそんなことをしたのか、を記していたとは。

 

教会が教えを伝え続けていたように、粘土板に書かれた知識を重視する側の末裔もいて。異国に行って遺跡を荒らしていたフリーダも途中で合流したりしてましたが、思わぬ情報ばかりが出てきたなぁと思いましたが。徒に否定しないソラ達が好きです。

遺跡があったために双頭人形も目星をつけていた場所で、敵側を上手く騙しおおせたのも愉快でしたしね。

 

状況をひっかきまわしてばかりだった双頭人形。

その配下も振り回されていたのは哀れに思う部分もありましたが。それまで火事場盗賊団として好き勝手暴れ回った他国の間者集団なわけですし、因果応報か。

逃げ回っている相手を、負傷の癒えたチャフたちが夜襲して削り、火炎隊まで合流したあと、トドメにソラまで来るんだから逃げ場ないですよねぇ。

商会連合に苦い思いをさせられてた期間長かったですし、決着はこれくらい完全勝利じゃないと。


詰みかけ転生領主の改革6

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「それは妥協ではないのですか?」

「――支え合いだ。受け売りだが、しっくりくるだろう?」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

ソラ・クラインセルト子爵は処刑された、と言うことにして。仮面をつけた謎の貴族空・クライン伯爵として帰還したソラ。

家臣団を引き連れて「発展を再開しよう!」と宣言した辺り、言い訳を作れれば隠すつもりはなさそうですけどね。

実際、そうやって誰からみても答えに推察が出来るから住民に歓迎されたわけですけど。

 

爵位にまつわる騒動でソラや家臣団が自由に動けない状態でも、敵は待ってくれず。

両親は国外追放して、レウルの干渉も無視できる状態になったけれど。イェラが作り上げた商会連合と、裏側で蠢いている銀の娘たちが手を伸ばしてくる……というか、これまでに蒔いた種を収穫に動きだしてる辺りが面倒臭い。

 

さらに、粘土板を狙って大樹館に何者かが潜入していた痕跡まで見つかって。商会連合を表だって潰そうにも、国王から釘を刺されているため難しい。

伯爵という地位を得ても、ソラの苦悩はまだまだ続くって事みたいですね……。

粘土板についてソラは解読したものの、それをサニアに預けて。リュリュとシャリナの三人娘が解読に挑戦することに。ますます「なにか」が有りそうで、答え合わせ回が楽しみですね。

 

あとはシャリナが村の再興という夢を諦めず、ソラの知恵を借りながらでも道筋を作ったのはお見事。イェラから途中交渉を持ち掛けられてもバッサリ切り捨ててましたしね。

チャフが根回しをしたうえでソラに意思表明をして、彼なりの意地を示し結果も出したのも成長を感じられて良かった。復路で負傷する羽目にはなってましたが、今の彼ならしっかり意趣返ししてくれることでしょう。

詰みかけ転生領主の改革5

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「何をしている。俺も拘束しろ。覚悟の上だ、遠慮はいらん」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

父親と教主レウルが手を組んだことで、爵位剥奪されそうになったソラ。それでも可能な範囲で対策を取っていたのはお見事ですが。

子爵位にあるうちに無理を通して支援しても、痛んだ偽造品を混ぜることで評判を落とす手にしてくるとか、レウルのこと好きにはなれないなぁ。

 

まぁ、ソラもソラで偽書使ってのだまし討ちを仕掛けるわけで、どっちもいい性格してるのも確かなんですけど。

クラインセルト伯爵領で、教会を信じ、ソラの悪評を信じ、その果てに見捨てられた民草の怒りは正当なものでしょう。

かつてのソラを知っている村人の描写とかが増えているのかな? WEB読んだのが大分前なのでちょっと自身が無い。

世話になった夫婦に託された娘のために食事を抑え、状況を読んで行動を起こし、新しい畑を任されることになった彼は応援したくなりましたね。

 

科学力で魔法に対抗する「新生教会」としての立場を叫んだガイストが、伯爵領で安全な保存食の実演をして炊き出しをしてたり。

助命嘆願してるチャフの場面とか、解像度はあがっていた感じがしますね。……チャフはチャフで、多少融通効くようになってもまだ視野がせまいようですけど。

ソラが居なくても機能する家臣団の有能さが他所にも知れ渡り、彼女達を狙った密偵とかが侵入したりする一幕もあったようですが。しっかり逃げ延びてるあたりは流石。

牢獄の中で、レウルとソラが神話時代の出来事が描かれた粘土板について、思わせぶりな話をしていたのは気になるところ。何書かれてるんでしょうね、アレ。


詰みかけ転生領主の改革4

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「私からこれ以上を申し上げることはできません。いつの日か、殿下が目指す未来と実現への手段をお聞かせ頂いた時、私が目指す楽園の話をしましょう」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

未だチャフはソラへの敵意を隠すことはなく。頑迷から頑固に悪化した、ソラには評価されていましたが。

足踏みを続けているチャフを置き去りにしていく、リュリュやサニアの成長が著しくて目標や意識の差が激しいなぁと実感しましたね。

 

そんなある日、ソラはチャフと一緒に王都に呼ばれて。

秘密裏に勧めたい計画に必要な装置をソラに立案してもらいたい、とのことでしたが。チャフは未熟さを指摘され、孫のようにかわいがってるシドルバー伯爵にしごかれることに。

それでもまだ噛みついてばかりではありましたけど、最終的には見えていなかったものに気が付いて、成長してくれたのはまぁ良かった。

 

延々噛みつく野良犬が傍に居ると、読んでて疲れますしね……。まぁ、害にしかならない父親とそれに与する教主っていう厄介な敵がソラにはまだ居るんですけど。

エピローグでソラが呟いた「腐ってやがる」という、伯爵領側の打ってきた手と、それによって死んだ民草の事を思うと、苦い顔になるのを止められない。

ソラも手を打ってないわけではないけど、届く範囲には限りがあるし、敵に潰されるしで散々だっていうんだから辛い。

 

いつかはソラの想像を超えた解決策を提案したいというリュリュが好きです。

中盤にあったガイストとの「同じ方向を見ている」という話。ガイストは同じ方向を見ているだけだけど、自分はソラの居る場所に追いつこうとしているんだ、という違いが示されてたのも好きですね。

ソラからの目配せがあったとはいえ、自分で解決方法を考えて実施することで、リュリュ自身が言葉だけではないって証明したのを含めて良かった。


十年目、帰還を諦めた転移者はいまさら主人公になる2

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「ロクック、解決策が見つかるまで遊んでやるよ」

「……俺は殺してほしんだけどな」

「なら、殺すしかないと思わせるくらいに暴れてみせるんだな」

 

双子と共に旅をするトール。

フラーレタリアを離れた三人は、近くに旧文明の遺跡があるファンガーロの街を訪問します。目的は、魔機車と呼ばれる魔力で動く車を買う為。

ユーフィトメ―リィが多少なり護身の術を身に着けていようと、商会の令嬢であった二人

に徒歩の長旅は辛いという事もあって、足を確保しようと思ったみたいですね。

 

Cランク昇格条件にあげられる魔機獣と簡単に遭遇してしまう辺り、魔機都市の名前は伊達ではないというか。ダランディやフラーレタリアなら大騒ぎだからな、と言う敵をあっさり片付けてしまう序列持ちのトールの強さが光る序章からスタート。

この三人の旅の様子、見ていると本当に和みますねぇ。どのキャラも好きなのでストレスフリー。

 

向かう道中でトールの事を知っている冒険者、ロクックと遭遇して。彼は彼で、ファンガーロ公認のソロBという立ち位置を確立してるようですが。

ソロBの二人が話していると、気の知れた男同士だからか、子供っぽい部分が見えてトールの印象が変わるというか。より柔らかくなった感じがしていいですねぇ。

 

……ファンガーロに来る前に、トール自身がフラグを立ててたせいもあってか、ここでもまた騒動に出くわすことになるんですけど。

多くの遺跡から魔機獣が生産されるファンガーロでは定期的に遺跡の掃除をする必要がるそうで。完全に排除しようにも他の遺跡から来た魔機獣に修理されてしまうって言うのは厄介ですが。倒せる術があるならボーナスタイムって認識にもなるのか。たくましい職員さんが好き。

 

ロクックが抱えていた問題に対して、事後処理が出来るように手を回していたのは偉いですけど。そんな思惑を超えて、より良い解決法に辿り着いてしまうトールと双子たちが凄い。

フラーレタリアに戻って、べっ甲素材の交渉をしたり書籍化で追加されたエピソードに関連した加筆があったのは嬉しかったですねぇ。

 

その後は新しく相談を受けて、芸術で栄えた街に行くことに。キナ臭い部分のある依頼だったので直接受けることはせず、現地調査をすることにしてましたが……。

吸血鬼に興味があるという双子のために、向かうのを決めた辺りトールは彼女達に甘い。なんというか微笑ましいトリオですよね。
結果的に戦闘になっていましたが、彼以外に対応できない魔機獣がいたりして、序列持ちの実力を改めて示してくれて格好良かったですねぇ。

あなたを救いに未来から来たと言うヒロインは三人目ですけど?

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全力を出し切ったあの日が消える。同じ試合なんて一つもない、正真正銘のやり直しだ。

――それでも、俺はこんな最後を認めない。

 

タイトルで序盤の雰囲気が分かる系の作品。

SFモノですね。「未来に死んでしまう」主人公を救うために、未来から来たとヒロインが宣言して来る話ですが……なぜか、それが三人も居て!?

未来人同士が「未来の記憶がある」事に気が付いてしまうと、記憶が失われてしまう為彼女達が協力することはありません。

 

そもそも、クラスメイトの笹篠明華と後輩の迅堂春は主人公と交際した未来からやってきた、というあたりで主人公を取り合ってるライバル関係みたいな所がありますからね……。

女子がバチバチやっていると、必然的に未来の知識がこぼれそうになって、それぞれの記憶が消えてしまうも知れない、と主人公が内心ひやひやしてる辺りはコミカルです。

彼の親戚の松瀬海空もまた未来からやってきた存在で、このループ現象に関与してはいるけれど、誰が使っているかは分からないという塩梅で。

 

最初は未来人たちから齎される情報に困惑して、振り回されていることも多いですけど。予言されていた事故を回避できたと思ったら、新たな障害が現れて。今度は主人公がループを使って人を助けようと奔走するのは格好良かったです。

すぐ正解に辿り着けるような万能性はないけれど、等身大の主人公と言う感じがして、ヒロインが好きになったのも分かるなぁと言う感じ。この時点だと春ちゃんが好きですねー。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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