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『ふむ……どうやら、面白い人生になるようだな。大きな魂の人間よ』

「面白い人生」

『私を連れて行く気はないか? そなたの人生を見させて欲しい』

 

気が付いたら、伯爵家ハミルトン家の五男、リアム・ハミルトンになっていた主人公。

作中において貴族は何か功績を挙げることで爵位を与えられ、3代の継承を許される。それ以上に家を続けたければ、家を継いだ後継が継承権のある間に新たな功績を挙げる必要があるとかで。

ハミルトン家は『最古の貴族』と呼ばれるくらい代を重ねて来たみたいです。

しかし、直近の当主たちは継承を認められるだけの功績を挙げられず、当代当主であるリアムの父は功績がないまま第三世代になってしまった。

 

……厳密にいうと、2代前の当主が名の知れた魔物を封印し、リアムの父たちまでの継承権を確保して、リアムの父の代で討伐を成し遂げることで次の3代継承権を得ようとしてはいたみたいですが。肝心の討伐に失敗して戦力を失い。王族に娘を嫁入りさせる、という貢献を功績とようと足掻くフェーズに入っているとかなんとか。

実家の継承権もどうなるか読めない。そもそも四男・五男は当主の予備としての価値も高くなく、四男のブルーノも他の家への婿入りで家を出ようとしてました。

娘への期待から、次代として見込んだ長男以外への扱いは雑になっていて……リアムは、ハミルトン家の書庫で魔導書を読み漁り、魔法を極めるのを趣味にすることになったわけです。

 

怪しげな人物と鉢合わせたりもしてましたが……その人物が魔法士としての腕は確かで、リアムに色々と教えてくれたのはありがたかったか。

「気付いたら別人になっていた」系の転生モノでも、ついつい地球から異世界への転生と受け取ってしまいがちですが。リアムの前世は一応作中世界っぽいですね。「以前住んでいた村にモンスターが出て、村中が怯えていたけれど有名なハンターが対峙してくれたと聞いてほっとした」みたいな文章が終盤に出てくるので。

黒炭よりも煙が出なくて高温になる「白炭」を作ったり、乾麺を作ったりと妙なアイデアはあるわりに、怪しげな師匠から魔法を教わっているときに「素数」を知らなかったりして、知識に偏りがあるなとは思っていて若干モヤモヤしてたんですが、中盤~終盤とは言え作中で触れてくれたので一応納得はしました。

 

魔法を極めて、いずれ家を出て独立する方向で準備を進めていたリアムでしたが。

趣味に走りつつ成果を上げている弟に、長兄アルブレヒトが焦って暴走した結果問題を起こしたりして、それを治めるために奔走する羽目になったりもして。

……それが、彼の思っている以上の問題になりそうというか、厄介ごとばかり詰まった爆弾みたいな情報な気がしますけど。当人がそこまで気にしてなさそうだから、まぁいいか……。