気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

涼樹悠樹

魔王と勇者の戦いの裏で4

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「最善であることを願うが次善としては妥当か」

「はいその上で」

「良い 今日が欲しいものはコレであろう?」

 

1519話が収録されたコミカライズ第4巻。

隣国ザルツナッハの街スプルリッツが魔族によって壊滅、さらに魔将が魔王の復活を喧伝しているという一報が王太子が会議している場所にもたらされたりして。

外国の問題以外にも、ヴェルナーも警戒しているウェリーザ砦襲撃イベントも迫っているわけで、なんとも慌ただしいですなぁ……という状況ですが。

 

そんな中でも学校は開かれていて。あくまで学生身分のヴェルナーは登校したりもしてました。マゼル相手への勧誘合戦は、国からの手回しもあったようで下火になったそうで。

ゲーム主人公の勇者が魔王討伐に集中できる状況が整いつつあるのは、安心材料ではありますね。

 

スキルや魔法が存在する世界でヴェルナー自身には魔法が使えなかったようですけども。

ゲーム知識や前世の記憶のある彼は、「魔法回復薬とはなにか」とかの考察をしたり、範囲魔法対策の提案をしたり。

マゼルに紹介してもらって学園の教授に相談をした上で、王太子殿下へ提案書を提出したり、本当にいろいろやってますよねヴェルナー。

王太子が仕事できる人物過ぎて、頼もしいんですよねぇ。原作においてはスタンピードで失われていたのかと思うと、ヴェルナーの為したことは本当に大きいですよね。

 

商隊側のエピソードも描いてくれたのは良かったですね。

フェリが斥候としてしっかり仕事してるし、ゲッケさんも頼もしい指揮官しているし。ヴェルナーが手土産を渡していて、道中の名家で顔を繋いでるのとか仕事細かいな……。

範囲魔法対策もかなり早くに形にしているし、王太子に評価されるのも納得。

あとは、マゼルの故郷アーレア村や彼の妹リリーの様子とかも描いてくれたのは嬉しかったですね……状況はあまりよくなさそうでしたけど。

 

魔王と勇者の戦いの裏で5~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「卿らはここで勝ち残れ! そして愛する家族の元に戻って誇るといい! 戦場は違っても、我らは勇者殿と共に魔軍と戦ったのだ、と! 勝利は我らの側にある!」

 

アンハイムに代官として赴任することになったヴェルナー。

伯爵家子息であり子爵位を持つ彼の事を、王太子含め上層部は評価していて。同じ方向を向けるのなら同僚として扱うし、敵対することになるのならば別の派閥とかみ合わせて疲弊させるなり、一部では共同できずとも協力できる部分を見つけて利用するとか、「どう使うか」と判断されているの、かなり高評価ですよねぇ。

 

ヴェルナー、終盤に魔軍と戦う時に「秘匿するべき」とされる技術を戦場に持ち込んだり、以前に披露した知識の出どころを追及されたり、と原作知識ある者として色々やっていますけども。

そんな彼の提案は突飛に見える部分もあるだろうに、利用できるものは国の利益につなげていく王太子たちの有能さが随所で見られるので、そんな彼らに認められているヴェルナーの株も上がっていくの良い感じです。

 

まぁ若者が認められていくのが面白くない派閥は、ヴェルナーが諸々備えるために奔走している一面を見て、金遣いの荒さから彼を追及する選択を取ったりもして。

……そういう足の引っ張り合いをする人材への、王太子陣営の評価がしっかり下がっていくのも、信頼できますよね。

王太子に話を通してから来ている、というのもあって。ヴェルナーは自身の悪評が出回りそうな行動でもどんどん取っていって。

代官の裁量の範疇ではあるけれど、賊の討伐をするし、それに通じていたらギルド幹部の血縁だろうと処罰していく。それを面白くない人物を洗い出そうとしていたりしますし、かつての敵でも利用できるなら利用したり、と。搦め手も使えるのはヴェルナーの良いところですよね。

……情報を確実に伝えるために、暗号を仕込むために敢えて汚した手紙を送ったりなんかもしてましたけども。本当に何でもやるやつがあるか。リリーが、要所で意見聞かれてましたが、流石マゼルの妹というか。彼女もかなりスペック高いですよね……。何度か挿絵もらってて嬉しかったです。

そうやって準備を整えて、彼が派遣される原因となった魔将ゲザリウスへの対策をしっかりと成し遂げたのはお見事でした、というか。

鼓舞の為に勇者の名前を使ったのが、結果的に本当になっていたりもして。口絵にもなっていましたが、マゼルとヴェルナーが一緒の戦場に立っているシーンはかなり熱かったです。

勇者一行と再会した際に、ウーヴェから結構気になる話をされたりもしてましたので、今後の展開が楽しみですねぇ。

魔王と勇者の戦いの裏で3

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だからマゼルに任せてばっかじゃなくて

俺には俺のできる範囲で当面の目的に「自分が死なない」以外を付け加えたって……

いいよな?

 

1014話と書下ろし小説「王女と侍女の語らい」を収録したコミカライズ第3巻。

王女ラウラに城の奥、ゲームでは「王都壊滅して宮殿が半壊するまで入れない」エリアまで案内されたヴェルナーとマゼル。

そこでは王太子殿下が待っていて……。神託によって「魔王が復活した」という情報が齎されたことを知らされることに。

 

ヴェルナーは、そんな神託が降りていて王太子が亡くなるようなスタンピードが起きたのであれば、ゲーム時代にマゼルが勇者として祭り上げられたのも納得できると考えていて。

彼の理解・整理力が高いので、読者目線でも助かりますねー。王太子殿下が直接平民のマゼルを呼び出すことはできないから、と窓口を頼まれることになった時も直ぐにのみ込んでましたし。

 

王太子殿下が退席した後、ゲーム主人公とヒロインを会話させるチャンス! とばかりにお手洗いに逃げてましたが。

そこでメイドたちからお礼を言われて。自分が助かることを優先しただけで、救われる命が多くなったのは意図しない範囲だったわけで。

だからこそ「もっとできたことがあるんじゃないか」と思ってしまうあたり、ヴェルナーも真面目というかなんというか。

ヴェルナーに見えてなかったマゼルとラウラの会話とか見れたのは嬉しいですねぇ。

 

功績を挙げたことで、色仕掛け攻撃を受けることになったりして。

私生活が慌ただしくなりつつも、マゼルの紹介でゲームにも登場した冒険者ルゲンツと対面したり、様々なことに備えるために商隊派遣計画を立てたり。

精力的に動いているんですよねー。コミカライズ化したことで、原作で挿絵もらっていないキャラのイラストとかを楽しめるのも嬉しいポイント。

依頼の相談をする奥まった扉が防音にするためか、分厚い扉でガタイの良いあんちゃんがドア開けてたシーンはなんかコミカルに映って笑えた。

 

書き下ろし小説「王女と侍女たちの語らい」はタイトル通り。

ヴェルナーやマゼルとの会談を終えた後のラウラが、2人についての話を侍女と話しているシーン。少しの表現の違いから、報告にも変化が出ているのが良いですねー。



魔王と勇者の戦いの裏で4~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「今やっておくと後で楽になるんだよなぁ」

半分は本当。ただ、後で楽になるかどうかは実はわからない。それでもやっておかないと後で手遅れになる可能性が無いとは言えない。

「それにリリーにもずいぶん助けられているから楽になっているんだよ。ありがとう」

 

フィノイ大神殿の戦いを経て異常に気付いたヴェルナーは、それを王国上層部へ報告。

「人に変身できる魔族」が王都に潜り込んでいる可能性を示唆された上層部が、速やかに対処に動いてくれたのはありがたかったですねぇ。

ヴェルナー、若手の注目株で色々と無茶ぶりされることもありますが、治安維持は流石に別領域。王太子の差配によって貴族や衛兵が動いていくことになって。

脳筋世界で武勲を挙げる機会だから、と奮起している人が多かったのはヴェルナーじゃないけど「本当にこの世界はもう……」みたいな気分になりました。

若手で家系的には文官のヴェルナーが名を挙げていることもあって、一部で暴走する相手も出てきたみたいですしね……。

 

でも、それすらも利用して次につなげているあたり、王太子殿下は本当に優秀ですよね。彼がスタンピードで失われるようなことにならなくて本用に良かった。これだけでもヴェルナーの功績は大きいですよ。

とは言え王太子殿下を救うことになったスタンピードの時のヴェルナーはまだ狭い世界で何とか生き延びようとしていたんですよね。ただ、彼の行動によって家族が救われたとお礼を言われたことで、より視界が開けるようになったわけで。

だから、という訳でもないですけど。今回もまたヴェルナーは地味に評価を挙げる行動を積み重ねていくことになったわけです。

 

王都内部の魔族討伐の時も本命の戦力は別だけれど、ツェアフェルト家の関係者を守るのは貴族の務めとして自家の戦力配置とかの指示をしっかりしていたの、好きなポイントですね。

時折ヴェルナー、「まだ学生なんですけど」とこぼすんですが、転生者というプラスがあるとはいえ学生と思えない実績を挙げてきたからなぁ……。

 

貴族らしい駆け引きにはまだまだ疎くて、グリュンティング公爵とか相手には良い感じに動かされちゃう場面もありますが……公爵はまぁ味方だからな。目をかけている若者にちょっと課題を出したりしてくるだけで……。

駆け引きで言うと、ツェアフェルトで預かることになった勇者の家族、特にメイドとして働くことになっていたリリーとの接点が増えて、他の貴族からの介入があった時に珍しく感情を出していたのは彼の性格が伺えてよかったですねぇ。

まぁ父親から怒りは武器にもなるけど扱いには気をつけろ、と指導されちゃう場面もあったわけですが。伯爵家嫡子である以上、必要な指導だけどこれまでの態度からすれば良い変化ともとられているから、ますます期待のハードル上がっていってる感はありますけども。

 

リリー絡みのイベントが増えてきてるんですが、市井の出で宿屋の娘であったことから、市民からも情報を集めているヴェルナーのサポート出来てたのは良かった。

あと、美術的な才能もあって、思った以上に拾い物というとアレですが。なかなか得難い人材をメイドとして確保できたのは、かなりの幸運なのでは。

 

ヴェルナーはゲーム情報を含む前世の知識で対策を練ってきていましたが……彼の記憶にない情報も増えてきて。彼も知らない敵幹部まで現れて、状況がどんどん変わっていく中で、彼が次にどう動くのかが楽しみですねぇ。

書籍加筆キャラのミーネと彼女の実家であるフュルスト伯爵家のエピソードも細々挿入されていましたが……あっちはあっちで厄介ごと抱えることになってそうですしねー。次も楽しみです。

魔王と勇者の戦いの裏で2

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「今 余裕がある部隊なんて存在していないだろう

 ならできる者がやるだけだ」

 

騎士団が壊滅し、王太子殿下も死んでしまう。

そんなゲーム序盤に待ち構えている一大イベントの渦中に飛び込む羽目になったヴェルナー。

敵の仕掛けを見破って、最悪の状況を回避することこそ出来たようですが。

王太子に直言をしたことで見込まれて、年齢も経験も上で家格にしてもよくて同格の相手の指揮を執る羽目になって、内心で冷や汗書いてるヴェルナーが好きです。

 

ゲーム知識があることも影響して、前提条件が違うため他の騎士と意思疎通がうまく測れないシーンもありましたが……むしろ王家への忠誠心の表れと受け取られて評価上がってるからヨシ。

マゼルがボスを倒すまでの時間稼ぎをするだけのつもりでしたからね、ヴェルナー。

なんだかんだ与えられた枠内で限界いっぱいまで奮戦してはいましたが。

左翼側、ミーナが受けたヴェルナーからの助言を基に、この世界にはなかった盾を用いた戦型を即座に適応してみせたフュルスト家の騎士も見事ですよねぇ……。コミカライズで絵が付くと壮観でした。

 

そしてコミカライズ独自シーンで、マゼル達の探索サイドの戦闘シーンも盛り込んでくれてたのは個人的に嬉しかったですねぇ。

いや裏でこんなの動いてて、それを打倒したって言うんだからゲーム主人公なだけはありますよねマゼル。

スタンピードに勝利した後気絶してしまったヴェルナーですが、起床した後は事後処理でできることに手を出してる当たり、貴族としてしっかりしてるわぁ……。

 

巻末SSは「王都学園の小騒動」。

ヴェルナーは療養と事後処理もあって、スタンピード後は学園休んでましたが。

体力のあるマゼルは平民だったこともあり、普通に顔を出したみたいです。そして、噂が広まっていたこともあって、色々とお声がけをいただいて困惑することになった……という一幕を描いたSSですね。

ヴェルナー視点だと見えないエピソードなので、こういうの好きです。

魔王と勇者の戦いの裏で3~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「恐怖を消すには勝利が一番いい。それが小さな勝利でもな」

 

無事に3巻が発売してくれてとても嬉しい、お気に入りシリーズ。

2巻で難民護送任務を無事に終えたヴェルナーは、家の騎士団を指揮して水道橋付近の巡邏警備などを行っていた。

そうした任務を果たしつつ、裏では暴走ののちに消息不明となったマンゴルトについて考察していたり、ヴェルナーは本当に真面目ですね……。

難民がやってきて食い扶持が増えた問題はあれど、なんとか対応できそうかと思っていたところに急報。

 

魔族の軍が活発に動き出し、都市に被害が出たために緊急出動令が出されることとなって……。

またしてもヴェルナーは実家の騎士団を率いて、現場に派遣されることになります。王国において三度しか出ていない「緊急出動令」が出されるほどの危機、と即座に察しがつくあたりは前世知識の底上げありますけど、普通に優秀ですよねぇ。

書籍版で何かと描写が増えているフュルスト家のタイロンなんかは、目先の問題しか見えておらず当主がため息つく場面もありましたし。

……そうやって文官系の家なのに優秀さを見せつけてくるから、反発する輩も出てきてしまうんでしょうけど。

 

かなり早い段階で戦闘地域に駆けつけたヴェルナーでしたけど、そこで勇者と旅をしている筈のフェリと遭遇。

ここにヴェルナーが来るのを読んでフェリをメッセンジャーに派遣したマゼルも偉いし、そこで得られた情報を重視して即座に動けたヴェルナーも見事だよなぁ、コレ。

マゼルが先んじて渦中に飛び込んだため、今しばらく時間はある。しかし、そうやってマゼルが目立ったことで彼の家族に累が及ぶかもしれない、と動けるのがすごい。

 

フェリもしっかりと情報持ち帰って、勇者の見せ場作ってますしね。勇者側とヴェルナー側と解決に動いた事態がどちらもギリギリだろうと間に合ったのは何よりでした。

あとマゼルの家族を保護した後の道程も加筆でボリュームアップされてたし、リリーとヴェルナーが一緒に居る挿絵があったりしたのはWEB読者としては結構嬉しかったですねぇ。無事でよかった。

 

……まぁ、またしても軍規違反で追及を受けることになったりしてましたが。

フュルスト家が恩もあるから、とヴェルナーが居ないツェアフェルト騎士団が使い潰されないようにしてくれてたり、これまでの行いが無駄になってないのが良かった。

ヴェルナーの行動によってゲーム正史よりも犠牲が減っていたり、直近の平原での戦では大勝してしまったこともあって、逆に被害を生じたりする問題もありましたが。そこまで責任はとれないしなぁ……。

現場でも上位のグリュンティング公爵やセイファート将爵が、ヴェルナーの味方側だったのは救いか。

期待の裏返しで難題ぶつけられたりもしましたが。うまくさばいたヴェルナーも、勇者としての活躍をしたマゼルも、格好良くて満足のいく1冊でした。4巻も出てほしいなぁ。

魔王と勇者の戦いの裏で

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「俺は無駄な損害は出したくない つまり――」

「犠牲者を出さない それが今回の伯爵家隊の目的だ」

 

オーバーラップ文庫より刊行されている作品のコミカライズ。

「復活した魔王を勇者が倒す」王道RPGゲームの世界に転生した主人公。しかし彼の転生先は、ゲームイベントでの登場がないモブ貴族ヴェルナーだった。

父が典礼大臣の伯爵で、立場もしっかりしてるんですが……勇者目線の物語じゃ、式典を管理する文官寄りの家系とかそうそう見えないか。

彼の住む王都はイベントで魔族の襲撃を受けて壊滅することになっていて、彼はそれを回避するために自分の身体を鍛えたり、ゲーム世界の知識を活用したりしていく……というのが大まかな流れです。

 

1話は、本編の時間軸でいうとちょっと先のことなんですよね。

勇者としての成果をあげた友人マゼルがパレードの目玉になってる傍ら、ヴェルナーは警備に駆り出されて大変です。

そのあと街の酒場で落ち合って互いの無事を祝ってる当たり、仲がいいですけども。

最初は勇者に近づこうとしていなかったヴェルナーでしたが、「ゲーム本編開始前にどうにかなることはないだろ」と思ってたらヤバそうな状況になってフォローに入ったりしてるので、面倒見がよい。

 

書籍書下ろしエピソードをコミカライズにあたって再構成してたり、意欲的なんですが……1話の最後、雨のシーンは何?! 知らない話なんですが!?

書籍は3巻発売決定してるみたいなんですが、原作者さんの私生活が忙しかったりしてWEBの更新ゆっくりになってるところなので、早くそこまでたどり着いてほしいような、見るのが怖いような。

 

そうやってヴェルナーと勇者の交流を描いた後、ついにゲーム本編が開始。魔物が暴走するスタンピードが発生し、騎士が動員されることになって。貴族家として、ヴェルナーのところからも兵を出す必要があり……ここでも生き延びるために準備して、実際にそれが生きてくるんだからなによりでした。

 

魔物がいるファンタジー世界だからか、脳筋な人が多いというか。

武門の貴族は文官を軽んじる傾向があって、スタンピード直前にあいさつに行ったヴェルナーを歯牙にもかけない党首と、軽視する嫡男が出てきたりしますが。

「この世界ではこういう考えが当然で悪意はない」と受け流せるヴェルナーはえらい。気疲れはしてましたけどね……。

スタンピード時とか、魔物の群れや騎士の戦闘とかが出てくるんですが、画風がそのあたりのシーンに合っていて、良いコミカライズになってると思いました。

巻末には書下ろしSS「天才とマナー」を収録。
ゲーム本編開始前の、平和だったころのヴェルナーと混ぜるの平和な学園模様を描いてました。 


魔王と勇者の戦いの裏で2~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「脚本家の都合なんぞ知った事か」

 

ゲームシナリオが始まったことで、魔王軍の活動が活発化。

ヴェルナー達の住む王国でも魔族が蠢き、ヴェリーザ砦を敵に奪われてしまう事態が起きたわけですが。

シナリオを知っているヴェルナーとしてはある程度は予定調和。1巻で起きたスタンピードでは死ぬハズだったキャラが生き残ったりしてて、それを知ってからはより良い選択肢を模索してもいるんですけどね。

 

砦陥落と言うイベントが起きたことで、王都襲撃も起きるだろうしそれで生き残るために、効率を重視している面もありますが。目線が未来に向いているので、現時点での功績に頓着してない素振りになって、それが逆に他のキャラからの評価につながっているのが面白い。

勇者パーティーの仲間になるキャラがストーリー上で約束されたタイミング外でも加入してくれたり、先述の死ぬハズだったキャラの生存だったり、シナリオは確かにあるけどそれを超越する事も出来るんですよね。

一方で、ヴェルナー自身がそうであるように、ゲーム世界が現実になったことで、描かれていなかった村や国、様々な貴族などの存在も出てきた訳で……。

隣国が魔族によって滅ぼされ、大量の難民が流入することが予想されるため対処する必要が生じる、とか中々に頭痛いですよね……。そんな中でも叶う範囲で対処しようとする王国上層部は結構信用できる。

 

まぁヴェルナーに言わせると脳筋世界な部分もあって。1巻で散々な物言いしてきやがったタイロン氏が、文官系であるはずのヴェルナーの方が功績を上げている現状に不満を抱いて、指示に従ってはいるものの力押ししようとする面も見えるのが心配でならない。

妹のミーナが、ヴェルナーを評価してるのを見るに柔軟性がたりないのでは、と思えてならない。

 

今回の難民移送のエピソードもWEB時代から加筆されていて、ボリュームアップしていたの良かったですね。

王太子や将爵がヴェルナーの事を認めていて、見守る構えなのとかが現時点で示されているのも良い。

それ以外だとゲーム的仕様である「魔物を倒すと稀に宝箱を落とす」現状に対する分析とかもなかなか興味深かったですね。

エピローグでついにリリーの挿絵が見られたのは嬉しかったですねぇ。これからも面白さを維持して進んでくれる良作なので、是非とも3巻を読ませてほしいところです。

魔王と勇者の戦いの裏で1~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「ま、神ならざる身なんで何でもかんでもは無理だ。できる範囲を可能な限りでいこう」

 

伯爵家の次男として生まれたヴェルナー。

彼は異世界で生きた記憶がある転生者で、さらにこの世界は生前プレイしたことのあるゲーム世界だった。

とは言え、現実になったことで差異も生じている模様。容量などの原因でゲームではイベントのない街以外は描写されなかったけど、彼の生家を始め、登場しなかった街や貴族などが存在していた。

 

ゲームのストーリーは、タイトルにもありますが魔王が復活したので、勇者が世界中を回って討伐するという王道ファンタジー。しかし、魔王軍もただやられるだけではなく、勇者が国を空けている間に、王都を襲撃し甚大な被害を出すなんてイベントも用意されていた。

それを知っているからこそ、ヴェルナーの目標は「死にたくない」となり……王都襲撃イベントが起きても生き延びられるように、努力を続けた。

 

学園に通っている間に、ゲームの主人公である勇者マゼルとは親友と呼べる関係になっていたようです。

WEBだとこの親友になった状態のエピソードが基本なんですが、書き下ろしの番外編「王立学園~勇者と貴族たち~」がヴェルナーとマゼルの学園時代を描いていて、書籍化して嬉しかったポイントの1つですね。

自分がいかに生き延びるか、に焦点を置いていたヴェルナーは大臣の息子って立場もあって学園では一歩引いた立場で。それもあって入学初期の勇者には近づかなかったそうですが……それでも、その地位故に見過ごせないものには手を出す辺り、根が善良ですなー。

 

そしてついに、ゲームスタートを知らせるイベント、魔物暴走が開始。

まだこの世界の人々が魔王復活に気付いていないせいで、国の戦力が削られる負けイベントみたいなもの。勇者が魔物を操っていた魔族を倒したことで、これで壊滅まではいかないそうですが。

これで壊滅的打撃を受けた騎士を自由に動かせなくなり、勇者パーティーが少数精鋭で大陸各地を回る羽目になるんだよな、みたいに「そこはゲームだから」で納得しそうな部分に理由付けをしてるのが面白いです。

他にもこの世界の貴族の派閥とか、特殊な爵位があるところとか。情報開示が多めかなぁと思うんですが、こういう演出大好物なので楽しかったですねー。

 

魔物暴走に貴族の義務として出兵する事になったヴェルナーは、つまりは蹴散らされる側だった。だから彼は生き延びるために短い間で出来る準備を整え、適切な指示を与えた。

それはゲームイベントや地球の歴史などの様々な知識があったからできた事で、犠牲こそ出たものの、本来は死ぬはずだった人を生き延びさせる事も出来た。

 

この影響はかなり大きいと思うんですよね。番外編で描かれてましたが、当初勇者への接触を控えていたのは、物語開始前にゲームストーリーを知っている自分からの情報提供で状況が変わってしまうのを恐れていたから、というのが理由の一つだったようですが。

序盤のイベントから盤面ひっくり返してると、どんどん予想外が増えて生きそうな予感。まぁ、それもまた彼が生き延びようとした結果で、それで救われた人が増えてるんだから良い変化なんですけどね。

 

自分の実力が勇者パーティーについていける領域にはないとヴェルナーは自覚していて、それはおそらく確かなんでしょう。

でも、彼の影響はかなり大きくて序盤のイベントでも展開が変わりましたし……ヴェルナー自身は、自分の評価が低い感じがしますが。

いずれ王都襲撃があるのが分かっているから、その時生き延びる為に全力で視野が狭くなりがちなのかな。でも、ヴェルナー結構この世界に染まっているというか。なんだかんだで、伯爵家の息子として相応しい振る舞いをしっかりできてると思うんですよね。

 

ウェリーザ砦絡みで演習をしていた時のエピソードが加筆されていて、とある村の危機を救ったりしてたんですが。そこで、胃が痛くなりながらでも、責務を全うできるのは評価高い。

1巻ではゲームのメインヒロインは登場するんですが、その相手は当然ゲーム主人公のマゼルなわけで。後書きでも語られているように、ヴェルナーに対する正ヒロインは1巻では登場しません。その分もあってか、女性キャラ追加する形での加筆されてて挿絵までもらっててびっくりしました。

正ヒロインのイラストも堪能したいので是非とも続いてほしいですねぇ。

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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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