「この男は基本的に自分勝手で自己本位で享楽的なロクデナシです。ロクデナシはロクでもないことしか言いません」
「ロクデナシにも傷付く心くらいはあるんだけどなぁ」
「ほう? それは初耳だ。ならもっと傷ついて泣いてみろ、ロクデナシ」
ヴィルたちがたどり着いたのは、日本の東京。
けれど、ここは現実の東京とは違って、異世界転移装置である塔が実在していて。
最も、全ての人がそれを見ているってわけではなくて、可能性のある、わずかな人々が見える程度だとか。
研究機関はあるようですが、それは「見えないものを見る」為に各種装置を駆使してのもので、亀の歩みのようで。
転移によって、塔が見える少女の家に押し入ってしまった三人。
独り暮らしをしている少女の保護者に連絡はつかず。
転移の衝撃が、爆発事故のような様相になっていて。
……そりゃあ、日本で爆発騒ぎがあれば警察出動してきますよね。
ヴィルたちは彼女の提示した『黙っていてくれればしばらく面倒を見る』という取引に応じて、とりあえずの宿を得ていましたが。
状況がよくわからないだろうに、取引を持ち掛けられるあたり、中々このナナミという少女は肝が据わってます。
ヴィルは自分のしたいことしかしないロクデナシだし、ミュートは喋らないうえにおおよそヴィルについていくだろうし。
エリザにしたって基本常識人でも、ヴィル絡みだと突っ走るからなぁ。
ここで頭脳担当出来るキャラクターが出てきたのは幅が出ていいんじゃないかと。
……ま、彼女も塔が見えている時点で、ヴィルたちの同類候補なわけで、途中、同類に昇格してしまいましたが。
意外と早くヴィルの家族絡みの情報が出てきたなぁ、という感じですが。
それ以上に、この塔に関しての謎が深まった感じもあるわけで。
このペースでロクデナシが増産されていくと、「なぜこの異世界たちは無事だったのか」ってぐらいの展開になるんじゃないかと思っているんですが。
少なくともナナミはヴィルたちに価値観ぶっ壊されて行動起こしてしまったわけで。
割り振られたコードからすれば、旅人は多くはなくとも、ある程度はいるんでしょうし、あちこちで騒動起こしてると思うんですがねぇ。
実際、今回も最後にまたひと騒動怒りそうなネタがぶち込まれて、ヴィルがどうするのか今から楽しみなんですが。