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「ナオ君、謙虚ですの」
「でも、若さがないなぁ。もっとがつがついっても良いと思うけど……」
「ヨシノ、良いことを教えてやろう。この世界、調子に乗ったヤツから死ぬんだぞ?」
ダンジョンにある崖で罠にはまり分断されてしまったナオとナツキ。
崖に残されたハルカ達もハルカ達で大変そうではありましたが……落ちた方もまた殺意高いというか。
ナオは順序を無視して練習していたレベル8の風魔法『空中歩行』。当然使いこなすことはできていないけど、落下の勢いを殺す程度の事は出来て。
それが無かったら普通に死んでたでしょうし……落ちた先は落ちた先で、安息の暇はないぞとばかりに鉄砲水が発生したり、隠密技能を持った魔物や樹木に擬態したトレントなんかが出没する、気が抜けないエリアが広がっていた。
1人で落ちていたら、仮に落下や鉄砲水を堪えられたとしても、野営時に交代で見張りをするなんてことも出来ず、精神ガリガリ削られて破滅しそう。
ナオとナツキは2人いたし、どちらも警戒を怠るようなタイプではなかったので、なんとかそれらの脅威を超えて……帰還装置のある場所を発見。
警戒しつつ来た道を辿って戻ってきたハルカ達よりも先に地上に帰還していたのは、ちょっと笑ってしまった。
一足先に帰還したナオ達は地上で「明鏡止水」のメンバーと交流してましたけど。
やっぱり魔法鞄があるのとないのでは狩りの効率が大違いだし、そもそも転移してから今までの間にある程度の信頼と地位を確立して、快適な生活を実現してるナオ達のパーティーはかなり特殊な部類なんですよねぇ。
スキルレベルとかが低いものがある状況ですらコレだから、近くに居て仲良くして恩恵にあずかりたいと考えるのもまぁ自然か。
ただ与えてもらうばかりではなく、旅をしてきた経験から知識を提供したり、酒造りに手を出そうと動き始めたハルカ達に、米を仕入れてくる部分を担当しようかと提案してくれたり。
ナオに養ってもらおうとガッツリ外堀を埋めに行ってるユキみたいに、優良物件だからという気持ちも無いわけではないみたいですけど。ただ助けられるだけじゃなくて、出来る範囲で助け合おうとしてくれるのは良いですねぇ。
……タガが外れて暴走している転移者が多かったから、助け合えるのはホッとします。
酒造り、ハルカ達は本格的にやるつもりはなかったみたいですけど、心待ちにしてる人が多かったり、代官にまで話が行ってしまったために止まる事は出来ず。
どうせやるなら、冒険者以外の収入源の一つになればと色々試行錯誤を始めることにして。
ハルカ達より周囲の熱意が凄かったですけど、いざやり始めたら楽しそうなのでヨシ!