「誰も彼も、十字架を背負っているものだ。水明くんだってそうだよ。風光くんという十字架を背負っているから、だからああして、夢へ夢へと向かって進んでいけるんだ。だから君も、いつかそうなるっといい。そうすれば、キミも限りない夢(そこのないよくぼう)へと向かって、走り続けられる」
水明たちが地球へ帰還している間、レイジ達もぼーっとしているばかりではなく。
ハドリアス公爵が普遍の使徒と繋がっていたという事実を、国王に伝えなくてはならないとティータニア王女が言ったため、一時帰国することになって。
剣士としての姿を知っているティータニアから見て、剣に陰りが見えたことはないから裏切ってはいないだろう、ってことでしたけど。暗躍してるのは間違いないのが面倒というか、なぁ……
レイジがサクラメントを持った影響か、変な囁きを聞くようになったり、制御できてないけれど未来を垣間見たりだとか、変な挙動を見せるようになっているのが心配ですねぇ。
魔族側、勇者に与えられている恩恵を偏重させようと工作していて、その対象がレイジになりそうな気配がありますし、どうなるやら。
魔族側も大きな動きを見せていないそうですが、それは水明の考察通り新しく強い魔族を作り為に、弱いコマを削っているから。
その中で、魔軍の将であるムーラが魔王ナクシャトラから命じられた人間の国への侵攻を命じられていたところ、リシャバームが魔王からの許可をもらったと言ってちょっと介入してきたりもして、敵側もピリピリしてる感じがしますねぇ。
そしてレイジ達が国へ帰還していたタイミングで、魔族の襲撃があって……転移によって国境を越えて直接王都を叩きに来る辺りは本気でしたけど、いくつかの思惑がまじりあった結果、完全包囲したりはしない温さも交じっていて。
敵の温さによって、王国側にも気のゆるみが生じかけていましたが。
そのタイミングで水明たちが帰還したのは、引きが強いというか。持ってるよなぁ。
初美が帰還した際に開祖から新たな技を授けられていたり、ハイデマリーが実力を見せるシーンがあったりしたのは良かったですね。
ハイデマリーは自分自身が魔術の基盤だから、異世界でも調整してしまえば問題なく魔法が使える、というの考察が正しかったのはありがたかったか。
水明も盟主からアドバイスをもらっていましたけど、また回答を見出せてない状況で。そこで魔軍の将と戦って痛手を負わされたというか、切り札一つ切らされたのは痛いか。
あの世界の魔術師の底知れなさがまた一つ描かれたとも言えますが……ボチボチ水明に異世界でも本気を出してほしさはあるんですけども。こっちはこっちでどうなるやら。