「どんなにつらくて苦しいときも 最後の最後まであきらめないでください」
「ちょ ちょっと… なんですのそれ? そんなことが望みですの?」
「はい それが私の望みです」
王立学園を舞台に、3人の王子様との恋を楽しむ乙女ゲーム。
ブラック労働をしていた大橋零は、そのゲームをプレイすることが息抜きだったが……ある日プレイ中に気が付いたらゲーム世界に入り込んでしまっていた。
さらにゲーム主人公の特徴であるテイラー姓も持っていて……。好きなゲーム世界で過ごせることになったわけですが。
乙女ゲームをプレイする女子ではあったものの、彼女の推しは攻略対象の3人の王子様ではなく、ヒロインに嫌がらせをする悪役令嬢クレアであった。
レイもまたゲームヒロインのように彼女からの嫌がらせを受けることになるわけですが。推しからのコミュニケーション! とテンション上がってるのは、もう限界オタク過ぎて笑うしかないんだよなぁ。
そして推しを前にしてテンションバグっているオタクの相手をするには、クレア様はちょっと常識人に過ぎたというか。
貴族令嬢として立場もありながら、平民相手の嫌がらせにも自ら動くあたり美徳でもあるような、貴族としては欠点も抱えて良そうな気配はありますが。
レイの目線で見る彼女は、なんか見守りたくなる微笑ましさがあり、レイが推しているのも分かるなぁ、という感じです。
クレア様に注目してもらって嫌がらせしてもらうために、ゲームと同じイベントを発生させようとするの、歪なんだよなぁレイ。
でもそれだけ推している熱と、抱え込んだ知識は本物で……。それを活かして、1巻時点でクレアのメイドとして潜り込んでましたからね。クレアの父を言いくるめたワードは妙に意味深で気になるところですけど。なんのゲームイベントが絡んできてるんですか。